イラク近代化とは? わかりやすく解説

イラク近代化

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/06/07 09:43 UTC 版)

サッダーム・フセイン」の記事における「イラク近代化」の解説

独裁者として、イラク恐怖統治していたサッダームであるが、1970年代から80年代掛けてイラクアラブ随一社会世俗化図り近代国家にしたという功績がある。その一つイラク石油国有化である。 バアス党政権ソ連共同南部最大ルメイラ油田開発させた後、1972年国家的悲願だった石油事業国有化断行した長年イラク外資系イラク石油会社権益独占され石油利益国家還元されていなかった。一般に石油国有化はサッダームの功績一つあげられているが、実際に計画立てて指揮を執ったのは、当時石油大臣であるムルタダー・アル=ハディーシーであり、政治決断をしたのがサッダームである。 バアス党政権は、国富公平な配分掲げていたが、原油収入限られていたため国有化後も、思うよう成果が上がらなかった。事態好転したのは1973年石油輸出国機構原油価格が4倍に急騰した時だった。このころを境にイラク石油収益伸び続け1980年には、1968年から比較して50%260ドル達した。 この石油収入背景バアス党政権第3次五ヵ年計画立て上中階級解体社会主義経済国有化推進イラク経済的自立目指した。石油産業軍装備、原発ソ連、その一部フランス鉄道建設ブラジルリン酸塩生産施設ベルギー旧ユーゴスラビア東西ドイツ中国日本にはハイテク分野専門家外国人労働者専門技師派遣要請した。 これにより、バアス党政権は約400ドル懸けて第4次五ヵ年計画進め全国通信網電気網を整備し僻地にも電気が届くようになった貧困家庭には無料家電配布された。また農地解放により、農業機械化農地の分配推進し最新式農機具まで配られ国有地70%が自営農家与えられた。こうした政策により、1970年代後半にはイラク人口35増加したまた、水利事業にも積極的であり、ドイツイタリア協力モスルダム(旧サッダーム・ダム)、ソ連協力でハディーサー・ダム、中国協力で新ヒンディーヤ・ダムなども完成させた。 国内総生産における国営部門比率72年には35.9%だったのに対し77年には80.4%と増加事実上バアス党政権が、国民に富を分配する唯一の存在となり、最大の「雇用主であった1970年から1980年まで年率11.9%という二桁経済成長イラク一人当たりGDP中東で最も高くなり、サウジアラビアに次ぐ世界第2位石油輸出国になった。 他にもサッダームはイラク全国学校作り学校教育強化した教育振興により児童就学率倍増したイラクの低識字率改善のため、1977年から大規模なキャンペーン展開し全国規模読み書き教室開講し参加拒否すれば投獄という脅迫手段用いたものの、イラク識字率アラブ諸国で最も高くなり、1980年代大統領となったサッダームにユネスコ賞が授与された。 また、女性解放運動積極的に行なわれ性別による賃金差別雇用差別法律禁止し家族法改正一夫多妻制度を規制女性婚姻の自由と離婚権利認められた。女性の社会進出推奨し当時湾岸アラブ諸国では女性が働くことも禁じていた中で、イラクでは女性公務員増え予備役であるが軍務に付くこともあった。男尊女卑の強い中東において「名誉の殺人」が数多く行われていた中、この「名誉の殺人」を非難した人物であることは、あまり知られていない。もっとも、1991年湾岸戦争以後は、イスラーム回帰路線推し進め、この「名誉殺人」も合法化アルコール販売規制女性の服装規定厳格化進めた。 さらにイラクハブ空港であるバグダード国際空港(サッダーム国際空港)を建設した。 これらは石油生産性がピークに達するバクル政権と、それが連続するサッダーム政権初期功績である。がしかし、後のサッダームはイラン・イラク戦争湾岸戦争での二度に渡る戦争での債務その後国連制裁によってこれらの成果無に帰してしまった。

※この「イラク近代化」の解説は、「サッダーム・フセイン」の解説の一部です。
「イラク近代化」を含む「サッダーム・フセイン」の記事については、「サッダーム・フセイン」の概要を参照ください。

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