アブデーロスとは? わかりやすく解説

Weblio 辞書 > 辞書・百科事典 > 百科事典 > アブデーロスの意味・解説 

アブデーロス

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2023/04/16 15:47 UTC 版)

アブデーロスにちなんで建設されたというアブデーラの遺跡(西門)。

アブデーロス古希: Ἄβδηρος, Abdēros)は、ギリシア神話の人物である。長音を省略してアブデロスとも表記される。ロクリス地方の都市オプースの出身[1][2]ヘーラクレースに仕える少年で、ヘーラクレースの難行の1つであるトラーキアの王ディオメーデースの人喰い馬を捕らえる冒険に同行した[1][3][4]。トラーキア地方の都市アブデーラはアブデーロスの名前に由来する[4]

神話

アブデーロスの系譜伝承については諸説ある。ピンダロスによると海神ポセイドーンナーイアスのトローニアーとの子[5]アポロドーロスによるとヘルメース神の子という[1]。他にもトロイア戦争で戦ったパトロクロスの兄弟(したがってメノイティオスの子)[6]、エリノスの子とする説もある[2]

アポロドーロスによると、ヘーラクレースはトラーキアまで航海し、ディオメーデース王に仕える人喰い馬の馬飼いたちを力で従わせたのち、馬を海岸まで引いて行った。これに対してディオメーデース王がビストーン人の軍勢を率いて追いかけて来た。このときアブデーロスはヘーラクレースに馬の護衛を命じられたが、人喰い馬を押さえることができず、大地の上を引きずられて死んでしまった。ヘーラクレースはディオメーデース王を殺すとアブデーロスを埋葬し、墓の近くに都市アブデーラを創建した[1]

しかし、アブデーロスの死については人喰い馬に食い殺されたとする伝承が一般的である[4][7][8]ピロストラトスによると、アブデーロスは人喰い馬に食い殺されるが、ヘーラクレースは人喰い馬からアブデーロスの身体を奪い返す[7]。12世紀の詩人ヨハネス・ツェツェース英語版は、ヘーラクレースがディオメーデースと戦っている間にアブデーロスが人喰い馬によってバラバラに引き裂かれて食い殺されたので、アブデーロスのためにアブデーラを創建したとしている[8]

ヒュギーヌスは、ヘーラクレースによってディオメーデースおよび人喰い馬もろともに殺されたとしている[9]。さらに異説によると、アブデーロスはアテーナイテーセウスに殺されたという[10]

脚注

  1. ^ a b c d アポロドーロス、2巻5・8。
  2. ^ a b ツェツェース『キリアデス』2巻299行-308行”. Theoi Project. 2022年5月12日閲覧。
  3. ^ ピロストラトス『ヘーローイコス』26。
  4. ^ a b c ストラボーン、7巻8・43。
  5. ^ ピンダロス断片52b『パイアン』第2歌。
  6. ^ プトレマイオス・ヘパイスティオン、39”. Tertullian Project. 2022年5月12日閲覧。
  7. ^ a b ピロストラトス『エイコネス』2巻25・1”. ToposText. 2022年5月12日閲覧。
  8. ^ a b ツェツェース『キリアデス』2巻304行-306行”. Theoi Project. 2022年5月12日閲覧。
  9. ^ ヒュギーヌス、30話。
  10. ^ プトレマイオス・ヘパイスティオン、12”. Tertullian Project. 2022年5月12日閲覧。

参考文献

関連項目




英和和英テキスト翻訳>> Weblio翻訳
英語⇒日本語日本語⇒英語
  
  •  アブデーロスのページへのリンク

辞書ショートカット

すべての辞書の索引

「アブデーロス」の関連用語

アブデーロスのお隣キーワード
検索ランキング

   

英語⇒日本語
日本語⇒英語
   



アブデーロスのページの著作権
Weblio 辞書 情報提供元は 参加元一覧 にて確認できます。

   
ウィキペディアウィキペディア
All text is available under the terms of the GNU Free Documentation License.
この記事は、ウィキペディアのアブデーロス (改訂履歴)の記事を複製、再配布したものにあたり、GNU Free Documentation Licenseというライセンスの下で提供されています。 Weblio辞書に掲載されているウィキペディアの記事も、全てGNU Free Documentation Licenseの元に提供されております。

©2025 GRAS Group, Inc.RSS