アサヒペンタックス系シリーズ
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「PENTAXの銀塩一眼レフカメラ製品一覧:35mm判 (ねじ込み式マウント)」の記事における「アサヒペンタックス系シリーズ」の解説
アサヒペンタックス系シリーズとは、初代機『アサヒペンタックス(以降はAPと記述する)』のボディをベースに派生した『アサヒペンタックスS2スーパー』までの機種を指すものとする。 『アサヒペンタックスSP』以前の機種はボディ内蔵式であるTTL露出計が搭載された機種はなく、すべて電気供給なしで動く「完全な機械式カメラ」であるため、現在においても清掃、調整によって完全稼動する機体が多い。またペンタックスのカメラの構造は当時の他社製品と比較しても非常に分解、組み立てがしやすいため、相応の技術を習得している者ならば自前である程度の調整、修理が出来る。そのため現在においても愛用している愛好家がいる。 アサヒペンタックス(Asahi Pentax、AP、1957年5月発売) - 現在まで続く記念すべきペンタックスカメラ第1号機である。アサヒフレックスIIAの機構をベースにPSマウント化した。旭光学工業初であり、国産カメラとしては2番目にペンタプリズムを搭載した一眼レフカメラである。アサヒペンタックスという名称がそのまま「シリーズ名」となってしまったため、後の機種と区別するためにAPと通称されるようになった。当時の35mm判カメラはレンジファインダーカメラが主流であり、一眼レフカメラはまったく新しいジャンルのカメラであり実際に商品として受け入れられるかどうかは不明瞭であったため、大手メーカーは開発はしていたものの既存のレンジファインダーカメラに重点を置いていた。しかし旭光学工業は一眼レフカメラが主流になると確信し、総力を結集して開発し製品化した。当時としては小型軽量であり価格も手頃であったことから、結果的にこの機種はアマチュア層を中心に人気商品となった。この成功を見て、他社も続いて一眼レフカメラを製品化するようになった。アサヒペンタックスS2発売とともに生産完了となった。 アサヒペンタックスK(Asahi Pentax K、1958年5月発売) - アサヒペンタックスAPの高級機として開発された機種である。その"K"の名称は「King」より由来する。最高1/1000秒の高速シャッターと半自動絞り(シャッターレリーズに連動して、レンズの絞りが絞り込まれるが、そこから開放への復帰はレンズ側のレバーによって手動で行なう)を実現し、新たにその対応レンズ群としてオートタクマーレンズが登場した。この機種よりシャッター速度設定がライカなどで採用されてきた従来までの「国際系列」から、現在の標準となっている「倍数系列」に変更された。特筆すべき点はシリーズで初めてファインダー接眼枠にアクセサリー用のスリットが設けられたことである。これはファインダー系アクセサリー製品を考慮してのものであり、また後のS3にてファインダースリットに固定する方式の外部連動式露出計が製品化されている事実から考えると大変興味深い。なお、後に発売された普及機アサヒペンタックスS2がコストパフォーマンスと実用性において上回ってしまったために正統な後継機は登場していない。アサヒペンタックスS2発売とともに生産完了となった。 アサヒペンタックスS(Asahi Pentax S、試作のみ) - アサヒペンタックスKと同時発売される予定であったがマーケティング戦略上発売を見送ったとされる試作機。社内に明確な記録が残っていないために「謎の存在」とされているが、ペンタックスカメラ博物館に収蔵されている。 アサヒペンタックスS2(Asahi Pentax S2、1959年5月発売) - アサヒペンタックスAPの普及機として発売された。製造設備の整備や生産工程の大幅な見直しによってケース付き51,500円であったアサヒペンタックスKに対してケース付き35,000円と従来機種に対して大幅な低価格化を実現しヒット商品となった。この系統機が本流となったファインダースクリーンには、従来までは中央のすり面(マット面)とフレネルレンズだけであったのに加えて、中央部にマイクロプリズムが採用され、マット面と使い分けることによってピント合わせがしやすくなった。廉価機であるため最高シャッター速度は1/500秒までであるが、前面にあった低速側シャッターダイヤルを廃し、現在の標準仕様である低速・高速を統合した「1軸不回転式シャッターダイヤル」が採用されたなど操作性においてアサヒペンタックスKを上回ったために後のモデルの普及機として定着し、主力機の性能に合わせてスペックアップが図られ、最終的には最高シャッター速度が1/1000秒にまで向上しアサヒペンタックスS3以降の機種のオプションである外部連動式露出計『ペンタックスメーター』にも対応するようになった。 アサヒペンタックスS3(Asahi Pentax S3 、1961年4月発売) - 対応レンズ群であるスーパータクマーレンズを使用した場合、シャッターレリーズによって「1.絞り込み」「2.露出(露光)」「3.絞り開放」までの動作を自動で行う「完全自動絞り」を実現した。またシャッターダイヤルの速度表示が現在の標準である「等間隔式」に改良された。最高シャッター速度も1/1000秒となり、更にファインダーも改良され、より高性能なクロスマイクロプリズムが採用された他、その他の機械構造の改良や内面反射防止処理も施されより使いやすい製品となっている。価格帯はアサヒペンタックスS2とはぼ変わらないままで旧来の高級機であるアサヒペンタックスKと同等以上となった。この機種からアクセサリーとしてシャッターダイヤルの設定に連動する外光式露出計『ペンタックスメーター』が用意され、新たなTTL時代の到来を予感させる。 アサヒペンタックスS1(Asahi Pentax S1 ) - アサヒペンタックスS3の普及機にあたる輸出専用モデル。社内に明確な記録が残っていないために「謎の存在」とされているが、ペンタックスカメラ博物館に収蔵されている。 アサヒペンタックスSV(Asahi Pentax SV ) - アサヒペンタックスS3の後継機。シリーズで初めてセルフタイマーが搭載された。名称にある"V"はドイツ語でセルフタイマーを意味する"Voraufwerk"より由来する。また新たに裏蓋の開放によってリセットされる初の「自動復元式フィルムカウンター」が搭載された。更にファインダースクリーンの視認性も向上された他ミラーボックスの全面的改良、部品の高品質化などが施され、見えない点でより使いやすい製品となった。これによって内蔵TTL露出計が搭載されていない以外は、ほぼ現代のカメラの最低基準を満たすこととなる。 アサヒペンタックスS2スーパー(Asahi Pentax S2 Super 、1962年7月発売) - アサヒペンタックスS2の後継機種であり、自動復元式カウンターの実装などから事実上はアサヒペンタックスSVからセルフタイマーを省いた廉価機である。最高シャッター速度は1/1000秒。
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