【Mi-8】(みるはち)
旧ソビエトのミル設計局が開発した汎用ヘリコプター。
NATOコードはHip(ヒップ)。
1961年にMi-4をベースにした原型機が初飛行した。
単純で頑丈な構造と汎用性の高さが特徴で、軍用、民間含めて12,000機以上が生産されている。
現在も製造、販売が行われており、旧東側諸国、アフリカ諸国だけでなくドイツの警察やアメリカの航空会社でも使用され、コミューター機としての使用や個人、企業の所有機も存在する。
日本でも朝日航洋が重量物の空輸用に1993年まで使用していた。
軍用型は特に旧共産圏やアフリカ諸国に輸出され、第一線機として使用されている。
派生型としては対潜ヘリコプター型のMi-14「ヘイズ」や輸出型のMi-17「ヒップH」がある。
スペックデータ
乗員 | 2名+兵員32名 |
全長 | 25.24m |
全高 | 5.65m |
主回転翼直径 | 21.19m |
円板面積 | 356.0㎡ |
空虚重量 | 7,160kg(Mi-8) 7,100kg(Mi-17) |
離陸重量 (通常/最大) | 9,800kg/12,000kg(Mi-8) 11,100kg/13,000kg(Mi-17) |
発動機 | イソトフ TV2-117Aターボシャフト(出力1,104kW)×2基(Mi-8) TV3-117MTターボシャフト(出力1,454kW)×2基(Mi-17) |
補助動力装置 | イーフチェンコ=プログレース AI-9Vターボジェット×1基(Mi-17) |
速度 (最大/巡航) | 134kt(Mi-8) 135kt/129kt(Mi-17) |
航続距離 | 445~500km(Mi-8) 500km(Mi-17) |
上昇率 | 549m/min(Mi-8) 540m/min(Mi-17) |
実用上昇限度 | 4,500m(Mi-8) 5,000m(Mi-17) |
ホバリング上昇限度 | 1,760m(Mi-17) |
武装 | S-5 57mmロケット弾ポッド×4基 S-8 80mmロケット弾ポッド×2基 9M117(AT-2「スワッター」)対戦車ミサイル×4発 9M14「マリュートカ」(AT-3「サガー」)対戦車ミサイル×6発 250kg爆弾×4発 500kg爆弾×2発 12.7mmガンポッド×2基など |
バリエーション
Mi-8系統
- Mi-8 "ヒップA":
Mi-4改装の原型1号機。エンジン1基と4枚羽根ローターを持つ。
- Mi-8 "ヒップB":
原型2号機。エンジンを2基搭載し、5枚羽根ローターを持つ。
- Mi-8 "ヒップC":
軍用強襲ヘリコプター型。外部武装ラックにロケット弾ポッドを装備可能。
- Mi-8PS "ヒップD":
ヒップCにアンテナ等を追加した空中通信機型。
- Mi-8T:
民間向け貨物・旅客輸送型。最大座席24席。
- Mi-8PS:
旅客・VIP輸送用。
- Mi-8TPS:
空中通信機型。
- Mi-8MT/TV:
エンジンをクリモフTV-3-117-MTターボシャフトエンジンに転換した型。
輸出用はMi-17と呼ばれる。
- Mi-8MT「レターユシチイ・クラーン」:
貨物輸送型。貨物室に備えられたクレーン操作室が特徴。
- Mi-8MT「メテオ」:
気象観測機型。12機改修。
- Mi-8MTV:
与圧式客室を採用し、TV3-117VMエンジンを搭載した軍用輸送機型。
基本的には上記の機体と同じ。
- Mi-8MTV2:
装甲の強化やパラシュートなしでの空挺装備、重量物引上用機上クレーンなどを搭載した改修型。
30名の空挺兵を輸送できた。
- Mi-8MTV-3:
武装の種類を増やした改修型。代わりにハードポイントが4箇所に減少した。
- MI-8MTV-5:
新しい複合素材を用いたローターブレード、軸套、緊急用着水装備などを装備した改修型。
機外に5tまでの物資を吊り下げることができる。
- Mi-8MTA:
近接戦術偵察機型。
- Mi-8MTB:
空中病院機型。
- Mi-8MTBM:
医療機(ドクターヘリ)型。
- MI-8MTBMPS:
捜索救助医療機型。
- Mi-8MTD:
救難機型。
- Mi-8MTT:
帰還宇宙船の捜索機型。
- Mi-8MTKO:
多目的昼夜間輸送戦闘ヘリコプター型。
光学電子ジャイロスタビライザーや赤外線およびレーザー暗視装置のほか、昼夜間用監視装置や航法装置が搭載された。
また武装も強化されており、各種ロケット弾や機関砲コンテナの他、対戦車ミサイルも搭載可能で、9M14「マリュートカ」ならば6発、M-17P「スコルピオーン」ならば4発を搭載できる。
- Mi-8MTM:
空中病院機型。
- Mi-8MTN:
宇宙飛行士への医療支援機型。
- Mi-8MTP:
電子妨害機型。
- Mi-8MTPB/MTPI/MTPSh/MTRD:
電子妨害機型。
- Mi-8MTPB/MTPI/MTPSh/MTRD:
- Mi-8MTPR1/MTPR2:
電子妨害機型。
- Mi-8MTS:
電子妨害機型。
- Mi-8MTU:
機首に円形ドーム型の大型レドームを備える電子妨害機型。
ウクライナ空軍が配備していた。
- Mi-8MTSh1/MTSh2/MTSh3:
電子妨害機型。
- Mi-8MTYa:
電子妨害機型。
- Mi-8MT-1S:
電子妨害機型。
- Mi-8MTS/MTT:
電波偵察機型。
- Mi-8MTSkh:
農業用機型。
- Mi-8MTF:
写真偵察機型。
- Mi-8MTF(II):
煙幕妨害機型。
- Mi-8TB/TV"ヒップE":
軍用支援型。
機首に12.7mm機銃を装備し、AT-2対戦車ミサイルを搭載可能。
- Mi-8TBK"ヒップF":
ヒップEの改良型。AT-3対戦車ミサイルを搭載する。主に輸出用。
- Mi-8TL:
航空事故調査機型。
- Mi-8R/K:
砲兵観測支援機型。
- Mi-8MPS:
救難機型。
- Mi-8VZPU/VPK:
空中指揮通信機型。
- Mi-8TS:
砂漠仕様。
- Mi-8IV"ヒップG":
空中指揮通信機型。乗員室後部から突き出すアンテナが特徴。
後にMi-9に名称変更された。
- Mi-8SMV"ヒップJ":
電子戦機型。胴体両側面に大型アンテナを搭載し、センサー類を追加装備している。
- Mi-8PPA"ヒップK":
SMVの輸出向け。胴体両側に大型のアンテナ配列を持つ。
- Mi-8PD:
空中指揮管制機型。ポーランドが運用している。
- Mi-8MA:
極地調査機型。
- Mi-8MB:
救急救難ヘリコプター型。
- Mi-8TG:
燃料にLPGを使用する型。
- Mi-8-8AMTSh:
夜間攻撃機型。9M120「アターカV」対戦車ミサイルを装備している。
Mi-17系統
- Mi-17"ヒップH":
Mi-8MTの輸出型。
- Mi-17M/V:
Mi-8MTVの輸出型。 - Mi-13:
電子妨害機型。Mi-8MTIとも呼ばれる。
- Mi-14"ヘイズ":
対潜ヘリコプター型。詳しくは項を参照。
- Mi-17-1V:
Mi-8MTV-1の輸出型。
- Mi-17-1VA:
1989年のパリ航空ショーで公開された空中病院機型。
エンジンはTV3-117VM(出力1,678kW)を搭載する。
- Mi-17G:
Mi-17-1VAの輸出向け派生型。
- Mi-17KF:
カナダのケロウナ・フライ社およびハネウェル社との共同開発で完成された輸出型。
イルカ型機首に西側製電子装備を搭載する。
- Mi-17M:
大型のタラップ式ローディング・ランプを装備し、搭載機器を一新した改良型。
積載量は5tに増加された。
- Mi-17N:
Mi-8MTKOの輸出型。
- Mi-17MD:
Mi-8MTV-5の輸出型。
右舷の扉、タラップ式ローディング・ランプ、イルカ型機首が特徴。
- Mi-17P:
旅客機型。
- Mi-17PI:
輸出向けの電子妨害機型。
- Mi-17PP:
Mi-8MTRBの輸出型。
- Mi-17PG:
輸出向けの電子妨害機型。
- Mi-17RRA:
電子戦用の派生型。
- Mi-171:
Mi-8AMTの輸出型。
- Mi-171TP:
Mi-171の改良型。
- Mi-171Sh(Mi-8AMTSh)「テルミナートル」:
強襲ヘリコプター型。対戦車ミサイルを運用できる。
- Mi-172:
Mi-8MTV-3の輸出型。
- Mi-172PT: 改良型。
- Mi-17Z-2:
チェコスロヴァキアで製作された電子妨害機型。
- Mi-18:
軍用輸送機型。貨物室容積を増やすため、胴体が1m延長されている。
政治・経済的理由から開発は中止された。
- Mi-19:
Mi-8MTをベースにした空中指揮通信機型。
- Mi-19R:
Mi-19の派生型。ミサイル師団用に製造された。
- みるはちのページへのリンク