川勝平太
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2024/05/10 09:34 UTC 版)
人物
大阪府で生まれ[2]、京都府京都市で育つ[2]。1997年以降長野県北佐久郡軽井沢町に自宅があるが[3][4]、静岡県知事就任後は基本的に静岡市葵区にある知事公舎に入居している[5]。
経済学者であり専攻は比較経済史で、研究内容としては英国議会資料の分析などが挙げられる。早稲田大学で助手、講師、助教授、教授、国際日本文化研究センターで教授、副所長、財団法人総合研究開発機構理事などを歴任した。元静岡県知事の石川嘉延に「富国有徳」との県のスローガンを提案するなどブレーンとして活動した。このため、知事への立候補の際には地元の京都府知事ではなく静岡県で知事を務めることになる(後述)[注 1]。
後に、石川からの要請を受け、静岡文化芸術大学の学長に就任した[2]。
その後、石川の辞任を受け、いったんは立候補を否定したものの、2009年6月5日に静岡県知事選挙への出馬を表明した。公職としては、小渕内閣に設置された「21世紀日本の構想」懇談会[6]、第1次安倍内閣に設置された教育再生会議[7]と「美しい国づくり」企画会議[8]に於いて委員を務め、国土交通省では国土審議会の委員を務めた。京都市社会教育委員会委員、東京都大学運営諮問会議新大学の教育研究に関する検討会委員にも就任した。
来歴
生い立ち
京都府出身[9]。石油や石炭、セメントの販売を営む三光商店(後の三光商事)代表取締役を務めた川勝弘の長男として生まれる[10][11][12]。母は同じく三光商店社長を務めた中島真治の長女[10][13]。高校は京都市内の洛星高等学校に通い、卒業した[14]。当時の同級生には、建築家の六鹿正治、医学者の竹中洋と市田隆文、経済学者の杉村芳美、法学者の嶋津格らがいる[14]。早稲田大学政治経済学部経済学科に進学[9]。1972年3月に同学を卒業すると、早稲田大学大学院経済学研究科に進学[9]。1975年3月、同院における修士課程を修了[9]。大学時代の指導教授は正田健一郎である[15]。その後、同大学の大学院博士課程在学中に、イギリスに渡り、1977年から1981年までオックスフォード大学ウルフソン・カレッジで、ピーター・マサイアス(英語: Peter Mathias)の指導を受けた[16]。1985年10月、オックスフォード大学で博士号を得た[9][17]。
研究者として
![](https://weblio.hs.llnwd.net/e7/redirect?dictCode=WKPJA&url=https%3A%2F%2Fupload.wikimedia.org%2Fwikipedia%2Fcommons%2Fthumb%2F7%2F75%2FHeita_Kawakatsu_2007.jpg%2F200px-Heita_Kawakatsu_2007.jpg)
早稲田大学の政治経済学部助手、講師、助教授を経て、1990年4月に教授に昇任した[9]。1998年4月、国際日本文化研究センター教授に就任した[9]。
その後、2007年4月に静岡文化芸術大学学長に就任した[9]。学校法人静岡文化芸術大学理事長は静岡県知事石川嘉延であり、石川の誘いを受けて学長に就いた。その後、理想の学校教育具現化委員会などで石川県政を支え、静岡県学術教育政策顧問の廣部雅昭と共に石川のブレーンとして活動した。
政治家として
![](https://weblio.hs.llnwd.net/e7/redirect?dictCode=WKPJA&url=https%3A%2F%2Fupload.wikimedia.org%2Fwikipedia%2Fcommons%2Fthumb%2F8%2F81%2FHeita_Kawakatsu_cropped_1_Heita_Kawakatsu_20130901.jpg%2F200px-Heita_Kawakatsu_cropped_1_Heita_Kawakatsu_20130901.jpg)
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2009年5月、自由民主党と民主党に所属する静岡県議会議員、日本労働組合総連合会静岡県連合会、民主党代表代行小沢一郎らから、同年7月の静岡県知事選挙への出馬要請を受け[18]、自由民主党・民主党の相乗り候補者として名前が挙がった[19]。静岡県知事選挙への立候補が取り沙汰されると、川勝は「私の身は理事長(石川嘉延知事)に預けてある。理事長が『やれ』と言うならノーとは言わないが、99.99%ないと思う」[20]と述べて立候補を否定していた。超党派の議員らから立候補を要請されても、川勝は「身を理事長(石川嘉延知事)に預けている」[21]との理由から、これを固辞していた。自由民主党の静岡県議会議員らは、当初は川勝の擁立を目指したものの、最終的には離脱した。
その後、出馬・不出馬に関する発言を二転三転しつつも[22][注 2]、最終的に民主党、社会民主党、国民新党の推薦で同選挙への立候補を表明した。立候補表明直前に学校法人理事会に対し辞表を提出し、受理された[24]。退任後の2010年11月、静岡文化芸術大学の名誉教授となった[25]。
選挙戦は自由民主党と公明党が推薦した元参議院議員の坂本由紀子との激しい戦いとなった。民主党は、元参議院議員の海野徹と川勝の候補一本化を目指したものの不調に終わり、分裂選挙となった。鳩山由紀夫、岡田克也、菅直人など民主党幹部も連日応援に駆けつけた結果、坂本を15,000票差で破り初当選した。
※当日有権者数:3,037,911人 最終投票率:61.06%(前回比:16.57pts)
候補者名 | 年齢 | 所属党派 | 新旧別 | 得票数 | 得票率 | 推薦・支持 |
---|---|---|---|---|---|---|
川勝平太 | 60 | 無所属 | 新 | 728,706票 | 39.58% | 民主党・国民新党・社会民主党推薦 |
坂本由紀子 | 60 | 無所属 | 新 | 713,654票 | 38.76% | 自由民主党・公明党推薦 |
海野徹 | 60 | 無所属 | 新 | 332,952票 | 18.09% | |
平野定義 | 59 | 日本共産党 | 新 | 65,669票 | 3.57% |
2009年7月7日、静岡県選挙管理委員会の告示を経て、静岡県知事に就任[26][27]。知事の任期は、選挙の投開票が行われた7月5日から4年間となる[27]。
2013年6月16日に投開票が行われた知事選挙ではスポーツコンサルタントの広瀬一郎らを破り再選。
※当日有権者数:3,026,955人 最終投票率:49.49%(前回比:11.57pts)
候補者名 | 年齢 | 所属党派 | 新旧別 | 得票数 | 得票率 | 推薦・支持 |
---|---|---|---|---|---|---|
川勝平太 | 64 | 無所属 | 現 | 1,080,609票 | 72.61% | |
広瀬一郎 | 57 | 無所属 | 新 | 345,617票 | 23.22% | 自由民主党支持 |
島津幸広 | 56 | 日本共産党 | 新 | 61,980票 | 4.16% |
2017年6月25日に投開票が行われた知事選挙ではバルセロナオリンピック柔道銀メダリストの溝口紀子を破り、3選した[28]。
※当日有権者数:3,060,965人 最終投票率:46.44%(前回比:3.05pts)
候補者名 | 年齢 | 所属党派 | 新旧別 | 得票数 | 得票率 | 推薦・支持 |
---|---|---|---|---|---|---|
川勝平太 | 68 | 無所属 | 現 | 833,389票 | 59.67% | 連合静岡推薦 |
溝口紀子 | 45 | 無所属 | 新 | 563,316票 | 40.33% |
2021年6月20日に投開票が行われた知事選挙で、前参議院議員の岩井茂樹を破り4選[29][30]。
※当日有権者数:3,014,952人 最終投票率:52.93%(前回比:6.49pts)
候補者名 | 年齢 | 所属党派 | 新旧別 | 得票数 | 得票率 | 推薦・支持 |
---|---|---|---|---|---|---|
川勝平太 | 72 | 無所属 | 現 | 957,239票 | 60.50% | 連合静岡推薦 |
岩井茂樹 | 53 | 無所属 | 新 | 624,967票 | 39.50% | 自由民主党推薦 |
辞意表明
知事在職中に数々の物議を醸す失言や行動が続いた(下記)、2021年、自民改革会議と公明党県議団は知事を失職させる知事不信任決議案の提出を検討した。しかし決議には前議員の3/4の賛成が必要であり、知事を支持する立憲民主党議員らからなるふじのくに県民クラブが反対したために決議に至らなかった[31]。そのため知事の給与減額条例および拘束力のない辞職勧告決議が可決されるにとどまり、川勝は知事続投を宣言した。その後も問題発言や問題行動が続いたが、区切りがついたとして、2024年4月に知事辞任の表明を行った(後述)。当初は6月の県議会開会のタイミングで辞職することを明言していたが、早期の辞職を要求する意見が高まったこともあり、予定を前倒しして同年4月10日に中沢公彦県議会議長に辞職願を提出した。これにより同年5月9日付で知事を退職する事となった[32]。なお、5月10日以降、次期知事が就任するまでは知事職務代理者として副知事の森貴志が職務を代理する[33]。
家族・親戚
川勝家は代々農業を営み、南桑田郡(現・亀岡市)で有数の大地主として知られた[34]。六世祖父・光従、五世祖父・平太夫の2代にわたって庄屋を営み、特に六世祖父の在職中には天保の大飢饉に遭遇し、幾多の困難を冒して郷土のために奮闘した[34]。墓所は亀岡市旭町の川勝家墓地にあり、同地の臨済宗大雲寺を菩提寺とする[34]。
川勝家
自家
- 六世祖父・(葵菴?)光従(生没年不明)
- 五世祖父・平太夫(生没年不明)
- 高祖父・儀左衛門(生没年不明)
- 曽祖父・光之助(1854年4月4日(安政元年3月7日)生)
- 高祖父・儀左衛門の長男として南桑田郡旭村に生まれる[34][36]。7代目の家督を継いだのち、1875年(明治8年)旭村戸長に挙げられ、1879年(明治12年)3月に最初の京都府会議員に当選した。1881年(明治14年)3月辞任の後、1882年(明治15年)7月(補欠)、1884年(明治17年)6月、1888年(明治21年)1月と改選期ごとに再選され、1889年(明治22年)死亡退職するまで在任した。その間、常置委員に4回、第5組幹事に3回挙げられる[34]。
- 府会で活動するかたわら、郷里にあっては1879年(明治12年)地方有力者とともに盈科義塾を設立し、また地方衛生会委員、日本赤十字社幹事、京都倶楽部委員などを兼ねた[34]。一方で、1886年(明治19年)有志と京都倉庫株式会社を発起してその重役となり、翌1887年(明治20年)5月には京都染物会社(のち京都織物会社に合併)の発起人となる。さらに1889年(明治22年)には京鶴鉄道会社を発起し、発起人中より選ばれて創立委員となるなど実業界においても活躍した。 若くして政界・実業界に頭角をあらわし、前途を嘱望されていたものの肺がんのため、1889年(明治22年)9月25日に京都市上京区西洞院下立売下ル西側の別宅で死去した[34]。享年36[34]。
- 妻は旭村の農業、平井孝兵衛の次女・やお子[34]。弟は園部銀行頭取を務めた高見種吉[36][37]。なお高見の妹(養子先)は商工貯金銀行支配人を務めた野村鶴次郎に嫁ぎ、野村の妹が永山武敏(霊友会初代会長)の弟・武美に嫁いでいるため、川勝家は高見家・野村家をまたいで永山家とも縁戚関係を結んでいることになる[38][39]。
- 祖父・誠之(1884年(明治17年)5月生)
- 父・弘(1917年(大正6年)12月15日生)
- 母・定子(1925年(大正14年)8月20日生)
親族
- 大伯父・正之(1881年(明治14年)11月生)
注釈
- ^ この時点での京都府知事は荒巻禎一や山田啓二が就任していたが、川勝はその対抗馬として京都府知事選に立候補すべきとの意見もあった。なお、2022年時点での京都府知事は西脇隆俊である。
- ^ 出馬記者会見では、出馬を否定していたことについて、大学理事長である知事から出馬を命じられることはないという趣旨の発言と述べたうえで、自身は一度もぶれていないとした[23]。
- ^ 「新しい歴史教科書をつくる会」結成会見時の賛同者(78人)には、会田雄次、阿川弘之、石堂淑朗、伊藤隆、大宅映子、小田晋、河盛好蔵、川勝平太、北方謙三、木村治美、日下公人、草柳大蔵、小島直記、小室直樹、佐々淳行、佐藤愛子、佐藤誠三郎、田久保忠衛、竹内義和、芳賀徹、長谷川慶太郎、秦郁彦、馬場のぼる、林健太郎、藤本義一、村上兵衛、屋山太郎、石井公一郎、鈴木三郎助、種子島経、山本卓眞などが名を連ねた[73]。
- ^ オンライン会議には代理として県の危機管理監が出席したが静岡県としての発言は行われなかった。
- ^ 1975年当時、早稲田大学では法学部以外の学部の助手には任期がなく、政治経済学部の助手は必ず専任講師へ昇任していた。[196]。川勝は博士課程へ進学し、助手に就任した27歳の時に専任講師への昇任が約束されていた
出典
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