ラブリュス 古代ギリシア

ラブリュス

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/03/29 03:37 UTC 版)

古代ギリシア

迷宮を意味するlabyrinthos(ミケーネ語: daburinthos[12])は、labrysという言葉と関連があると思われる[要出典]古代ギリシア語テーセウスの神話では、ギリシア神話の labyrinth はミノアのクノッソス宮殿との関連でよく使われており、伝承が文献に記されるずっと以前から長く言い伝えられてきた。

古代ギリシアの陶芸の絵では、動物を生贄として捧げる場面を描く際にラブリュスが描かれることがあり、特に雄牛を殺す際の武器として描かれることが多い。

ベルリンの「ペルセウスの壷」(F1704、紀元前570-560年ごろ)では、ヘーパイストスゼウスの頭を切り開いてアテーナーを取り出した現場から逃げようとしている場面が描かれている。ヘーパイストスはその手術に使った道具である両刃の斧を肩にかついでいる。通常ヘーパイストスが手にしている道具はハンマーであり、ここで両刃の斧を使ったという点には象徴的意味がある。ゼウスが女神メーティスを飲み込んだことは、女神を象徴的に引き降ろし、それ以前の伝統的宗教を抑圧したことを象徴している。しかしその娘であるアテーナーの誕生を許したことは、従来の信仰が根強く残っていて完全に根絶できなかったことを示している。もともと地母神と結婚していたヘーパイストスがアテーナーを解放する道具としてラブリュスを使ったのにはそのような背景がある。

古典期のギリシアの硬貨には、カリアのラブラウンダで祀られているゼウスを描いたものがあり、貨幣研究家の間でZeus Labraundeus(Ζεὺς Λαβρανδεύς)と呼ばれている。その左手には長い王笏を持ち、右肩に両刃斧をかついでいる。

両刃斧はトラキアの芸術にも見られる。アレクサンドロヴォ=クルガンフレスコ画で両刃斧を振るっているのはザルモクシスと見られる。




  1. ^ 片刃斧は「半ペレクス」を意味する hēmipelekys と呼ばれていた。例えば、イーリアス 23.883
  2. ^ "Just as the bishop's crozier is derived from the functional shepherd's crook," according to A. Trevor Hodge, "The Labrys: Why Was the Double Axe Double?" American Journal of Archaeology 89.2 (April 1985:307-308) p 307.
  3. ^ The functions of Neolithic stone axeheads are discussed by Marija Gimbutas, "Battle axe or cult axe?", Man 53 (April 1953:51-54).
  4. ^ A.J. Evans, "Mycenaean tree and pillar cult and its Mediterranean relations", Journal of Hellenic Studies XXI, pp 108, 109.
  5. ^ Λυδοὶ γάρ ‘λάβρυν’ τὸν πέλεκυν ὀνομάζουσι プルタルコス、『モラリア』, 45 2.302a.
  6. ^ W.H.D. Rouse, "The Double Axe and the Labyrinth" The Journal of Hellenic Studies 21 (1901), pp. 268-274, による批判。この中で、新たに発見されたファイストスの宮殿で同様のシンボルが見つかったことにも言及している (p. 273)。
  7. ^ 「アルカロコリの神について少なくとも2つの事実が明らかである。その神は武器と特別な繋がりがあったということと、男神ではなく女神だったということである」 Emily Townsend Vermeule, "A Gold Minoan Double Axe" Bulletin of the Museum of Fine Arts 57 No. 307 (1959:4-16) p. 6; ボストンの金のラブリュスは、それに刻まれた線文字Aからアルカロコリのものと見られている。
  8. ^ C. Michael Hogan, Knossos fieldnotes, Modern Antiquarian (2007)
  9. ^ Dartmouth College: Minoan Religion
  10. ^ Blinkenberg, "The thunder weapon in religion and folklore; a study in comparative archaeology" 1911: 19.
  11. ^ ラブリュスの形状の分類については
    Caterina Mavriyannaki, "La double hache dans le monde héllenique à l'âge du bronze," Revue Archéologique, New series (1983:195-228).
  12. ^ da-pu2-ri-to-yo (KN Gg 702), daburinthoyo potnia すなわち「Labyrinthの婦人」
  13. ^ SwadePages Origin & History of Gay & Lesbian Symbols!


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