ヨウサイ ヨウサイの概要

ヨウサイ

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2024/02/07 04:24 UTC 版)

ヨウサイ
ヨウサイ
分類
: 植物界 Plantae
: 被子植物門 Magnoliophyta
: 双子葉植物綱 Magnoliopsida
: ナス目 Solanales
: ヒルガオ科 Convolvulaceae
: サツマイモ属 Ipomoea
: ヨウサイ I. aquatica
学名
Ipomoea aquatica Forssk. (1775)[1]
和名
ヨウサイ(蕹菜)
英名
Water Morning Glory
Water convolvulus[2]
water spinach
kang kong

名称

多くの異なった名称でもよばれており、茎が空洞のためクウシンサイ(空芯菜)ともよばれ、またエンサイ(莚菜)などの別名がある[4]。中国名は蕹菜(草菜、空心菜)[1]

  • クウシンサイ(空心菜)[1][3] - 茎が空洞になっていることから、中国語では空心菜(コンシンツァイ、拼音: kōng xīn cài)と書き、日本語でも「くうしんさい」の読み方で普及している。なお、同じ読みで「心」を「芯」に変えた、「空芯菜」という登録商標が日本で取得されている[5]
  • アサガオナ(朝顔菜)[1][3] - アサガオ菜[6]アサガオのような淡紫色または白色の花を付けるため。
  • エンサイ[1] - 台湾語の蓊菜の訛り。「燕菜」とも書かれる[6]。「エンサイ」「莚菜」が野菜・料理・飲料の名称として商標登録[7][8]。「莚」は草むしろを意味する漢字で本来、本種の意味はない。別名エン「蓊」の音を表すための代用当て字とみられる。
  • ムシロナ
  • ウンチェー沖縄ではウンチェー(蕹菜)、ウンチェーバー(蕹菜葉)と呼ばれる。
  • チャウカンツォイ中華人民共和国広東省では俗に食べ過ぎると痙攣を起こすともいわれ、広東語で抽筋菜(チャウカンツォイ、chau1gan1choi3)の俗称がある。
  • ツウサイ(通菜)[3] - 中国の福建省では通菜トンツァイ拼音: tōng cài)とも呼ばれる。
  • カンコンサイ[3]

特徴

水上のヨウサイ農地

つる性の一年草ないし多年草[3]。熱帯アジア原産と考えられており[6]熱帯アフリカから東アジアまで広域にわたって野生している[3]。野菜としての利用は多湿の熱帯や湿地(特に、中国南部、台湾東南アジア華僑居住地域、東インドスリランカの熱帯アジア地域)で多く栽培され、ときに水耕栽培もされる[3]。植物体の外見は同じヒルガオ科のサツマイモに似ており、光沢のある緑色から濃緑色で無毛、は中空で、数メートル (m) 伸びて地上を這うか、あるいは水面に浮かぶ[3]。発根力が高く、地面や水面に接した茎は、節から容易に不定根を出して栄養繁殖もできる[3]互生し、やや長い葉柄がつく[3]。葉身は長さ5 - 15センチメートル (cm) の披針形、長卵形、心臓形などで、品種によって大きく異なる[3]

花芽をつけ始めるのは日中の長さが一定以上短くなると起こる(短日条件)とされ、サツマイモやアサガオに似た白色や桃色の花を葉腋につける[3]

水辺に生育し、水面に茎(空洞で節がありフロートと同じ)を浮かせて進出する。汽水域でも成長可能である。暑さに強く水上で栽培すると大量に根を伸ばして水をよく吸収することから、近年では湖沼などの水質浄化活動によく用いられている[9][10]

日本には古くは沖縄県方面を経て九州に渡来した。真夏でも収穫でき、時期的に希少な葉野菜となる。沖縄では重要な野菜となっており、台風襲来後に傷んだ茎葉を刈り取るとすぐ次の側芽が伸びてきて収穫できる[3]。九州以北の露地栽培では花をつけても種をほぼつけず、自生繁殖による生態系への影響は低い。九州や南部地域では、かつては定着したが、一般的に栽培されるまでには至らなかった[3]


注釈

  1. ^ 栄養繁殖によっても増やせるので兼用種ともいえる[12]

出典

  1. ^ a b c d e 米倉浩司・梶田忠 (2003-). “Ipomoea aquatica Forssk. ヨウサイ(標準)”. BG Plants 和名−学名インデックス(YList). 2022年10月22日閲覧。
  2. ^ a b c d e f 板木利隆 2020, p. 338.
  3. ^ a b c d e f g h i j k l m n o 農文協編 2004, p. 31.
  4. ^ a b c d e f g 主婦の友社編 2011, p. 242.
  5. ^ [(商品名)「空芯菜」第4343207号。1999年12月10日登録]
  6. ^ a b c d e f g h i 猪股慶子監修 成美堂出版編集部編 2012, p. 21.
  7. ^ 第4372141号。2000年3月31日登録。
  8. ^ 第4512839号。2001年10月12日登録。
  9. ^ [1]阿木川ダム水質浄化実験」恵那農業高校 環境科学科
  10. ^ [2]名古屋市堀川にて水質浄化実験」
  11. ^ a b c d e f g h i 農文協編 2004, p. 33.
  12. ^ a b c d e f g h i j k l m n o p q r s t 農文協編 2004, p. 32.
  13. ^ a b c d e f 金子美登・野口勲監修 成美堂出版編集部編 2011, p. 140.
  14. ^ a b c d 金子美登・野口勲監修 成美堂出版編集部編 2011, p. 141.
  15. ^ a b 板木利隆 2020, p. 340.
  16. ^ 板木利隆 2020, p. 339.
  17. ^ 月刊現代農業2014年11月号に掲載
  18. ^ 猪股慶子監修 成美堂出版編集部編 2012, p. 98.
  19. ^ 猪股慶子監修 成美堂出版編集部編 2012, p. 59.
  20. ^ 水辺で育つ空芯菜で体に栄養、きれいな環境”. 名古屋市上下水道局. 2020年2月4日閲覧。
  21. ^ [3]厚生労働省:急性毒性(経口)の区分
  22. ^ [4]安全データシート:しゅう酸カルシウム一水和物


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