FACOM M シリーズ (メインフレーム)
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「FACOM」の記事における「FACOM M シリーズ (メインフレーム)」の解説
「FACOM Mシリーズ」はこの項目に転送されています。 FACOM Mシリーズは日立製作所と技術提携して作られた、IBM System/360・System/370のプラグコンパチブルのメインフレームである。FACOM M-100シリーズ初号モデルのFACOM M-190はアムダール社との共同開発で、姉妹機にあたるAmdahl 470V/6と共に、世界初の全面的にLSIを採用したメインフレームである。HITAC Mシリーズと共通のイニシャル「M」は通産省(MITI)に由来する(後述)。 過去のFACOMと異なるIBM互換にした理由の1つは、買い手が互換性を求めていたことである。1960年代中盤の東京大学大型計算機センターの導入機選定(1965年設置だが、選定は1964年1Qで、System/360の発表とも被っている)の際に富士通はFONTACをベースとしたマシン(のちのFACOM 230-50)の採用を目指していたが日立のHITAC 5020に敗れ、その理由が国際互換性(実質的にIBM互換)の問題とされた(と、田原は書いているがHITAC 5020も全くIBM互換ではない)。互換性のあるOSが必要だとされたとも科学技術計算のために、日本国外で開発されたFORTRANのライブラリが使えることが重要視されたともいう。選定する側の一人であった東大の有馬朗人が、『東京大学大型計算機センター10年のあゆみ』(NCID BN02626008)に寄せた「機種選定について ――個人的回想を中心に」には、互換性といった言葉は全く無く、HITAC 5020について「試作機ができ上がっていた」という語がある(情報処理学会コンピュータ博物館によれば同機の「第1次の試作が完了」は1963年5月。一方FONTACの完成・納入は1964年11月)。アメリカ市場へ新規参入するためには、一層IBM互換が必要と考えられた。 2つ目の理由として日本のOECD加盟などの際は例外とされていたコンピュータについても1970年代に自由化が決定されたことである。保護政策無しでは世界市場で60%、日本市場で50%のシェアを持つIBMに対抗できないと想定した通産省は日本の6社を3グループ化し、体制強化を図り、富士通は同じくIBM互換路線を取っていた日立製作所と提携した(詳しくは三大コンピューターグループを参照)。以上のような経緯によるため、FACOMと日立HITACの両方が副系列名に使った「Mシリーズ」の「M」には、通産省(MITI)の意向の影響があるマシンという含みがある。 IBM互換機の開発に先立つ1969年、富士通の池田敏雄はIBMでSystem/360を設計したジーン・アムダールと会談している。この時、アムダールはIBMの後継機へ新技術の導入を検討していた。アムダールは提案が却下されると、1970年にIBMを離れアムダール社を設立した。富士通はアムダールと提携し、そのノウハウを得た。 富士通は1970年に、先行されていた日立を抜き、日本市場で日本メーカーの売上トップを獲得していたが、FACOM Mシリーズによって1979年にIBMを抜いてトップになった。 FACOM M-190 (1974年) 富士通初のIBM互換機。LSIを採用した超大型機でIBM System/370の2〜3倍の性能。当時、世界最大・最速。 FACOM M-200 (1978年) M-190の1.5〜1.8倍の性能だが、最大4 CPUのマルチプロセッサ構成が可能。この時、5 CPU分の速度に達する。当時、世界最大・最速。 FACOM M-130F, M-140F, M-150F, M-160F, M-170F (1979年) 日本で初めて本格的な日本語処理機能、JEF(Japanese processing Extended Feature)を搭載。日本語に対応したソフトウェアと、日本語入力用のタブレットや漢字ドットインパクトプリンタで構成。 FACOM M-380, M-382 (1981年) 31ビットアドレス空間(2Gバイト)をサポート、ECL/TTL LSIを採用した超大型機。最大2CPU、最大物理メモリはM-380が64Mバイト、M-382が128Mバイト。 FACOM M-780 (1985年) 10,000ゲート/チップのECL LSIを採用した超大型機。最大物理メモリ256Mバイト、最大64チャネル。水冷。
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