Be星
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Be星(びーいーせい、Be star[1][2])(B型輝線星[1]、Be型星[2])は、スペクトル中に顕著な水素の輝線を持つB型主系列星である。スペクトル型Bとスペクトル中の輝線(emission line)の頭文字eをとって、Be星と名付けられた。他の原子のイオンによる輝線も同時に存在することがあるが、通常、非常に弱い。他の観測上の特徴として、直線偏光や赤外超過と呼ばれる通常のB型主系列星よりもかなり強い赤外線の放射がある。ただし、Be星の特徴は一時的なもののため、Be星のスペクトルは通常のB型主系列星と同じように見える時もあり、逆にそれまで通常のB型主系列星であったものがBe星になることもある。
Be星のほとんどは主系列段階にあるが、前主系列星や超巨星、原始惑星状星雲のものも確認されている[3]。これらはB[e]超巨星(sgB[e]と表記される)やハービッグAe/Be型星、コンパクト惑星状星雲B[e]、共生星B[e]、その他のカテゴリーに細分される。
Be星であることが最初に確認された恒星は、1866年にアンジェロ・セッキによって観測されたカシオペヤ座γ星であり、これはスペクトル中に輝線が観測された最初の恒星であった。20世紀初めに輝線が形成される過程が解明され、これらの線は恒星そのものではなく、周囲の環境が起源であることが明らかとなった。今日では、観測される全ての特徴が、恒星から放出されるガスの円盤で説明されている。赤外過剰と直線偏光は、円盤で恒星の光が散乱されるためであり、輝線の形成は、恒星からの紫外線がガスの円盤で再処理されるためであることが分かった。
Be星は自転速度が速いことが知られており、干渉法によるアケルナルの回転歪みの測定でも実証されている[4]。しかし、回転だけでは円盤の形成には十分ではなく、さらに他に、磁場や非放射恒星パルス等の放出のメカニズムが必要である。Be星の特徴が一時的であるのは、この二次プロセスと関連がある可能性が高いが、詳細はまだ分かっていない。
Be星は変光星であることが多く、GCAS(カシオペヤ座γ型変光星)やBE(GCASに分類できないBe星)、BCEP(ケフェウス座β型変光星)などに分類される。
関連項目
参考文献
- Porter J., Rivinius Th.: Classical Be stars, 2003 PASP 115, 1153
出典
- ^ a b 『天文学大事典』(初版第1版)地人書館、560頁頁。ISBN 978-4-8052-0787-1。
- ^ a b 『オックスフォード天文学辞典』(初版第1刷)朝倉書店、334頁頁。 ISBN 4-254-15017-2。
- ^ Lamers, Henny J. G. L. M.; Zickgraf, Franz-Josef; de Winter, Dolf; Houziaux, Leo; Zorec, Janez (1998). “An improved classification of B[e]-type stars”. Astronomy and Astrophysics 340: 117-128. Bibcode: 1998A&A...340..117L.
- ^ Kervella, P.; Domiciano de Souza, A., Astronomy and Astrophysics, Volume 453, Issue 3, July III 2006, pp.1059-1066,(DOI 10.1051/0004-6361:20054771)
外部リンク
- Philippe Stee's homepage: Hot and Active Stars Research
- Article from Olivier Thizy: Be Stars
Be星
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/03/11 05:11 UTC 版)
この星は古典的なBe星であり、しばしば"active hot star"と呼ばれる。古典的なBe星は、主系列に近いB型星であり、"e"の文字が付くのは、この星はスペクトル中に、通常の恒星が持つ吸収線ではなく、輝線を持つことを示している。輝線は、恒星がガスに囲まれていることを示す。Be星の場合、ガスは通常、赤道面上の円盤を形成し、光球からだけではなく、円盤からも電磁波を放射している。この周囲のガスの配置や運動は、ガスや放射の圧力ではなく回転によって重力に打ち勝つ「ケプラー型の」円盤として、最も良く説明される。このような星周円盤は、恒星に向かって物質が落ち込む「降着円盤」に対して、恒星から物質が噴出される"decretion disks"と呼ばれることがある。 Be星は、200km/s以上の速度で高速自転し、強い恒星風を発生させ、質量喪失速度は大きい。その見かけの明るさのため、高速自転し偏球の形になっている恒星として最も良く知られているのはアケルナルであるが、その自転速度251km/sは、おうし座28番星の自転速度329km/sよりもかなり遅い。結果として、アケルナルの自転周期が48.4時間であるのに対し、この星の自転周期は11.8時間である。これと比べ、太陽の自転周期は25.3日間である。おうし座28番星がこれほど速く自転しているため、B8V星の自壊速度として推定されている約370-390km/sに近くなっている。自転速度が非常に速い他のBe星には、470km/sのさいだん座α星がある。この速度はあまりにも速いため、今にも爆発しようとしている。 この星を非常に独特なものにしているのは、通常のB型星、Be星、Be殻星の3つの段階を交互に移り変わることである。その原因は恐らく、多くのBe星がその中から出てきたり隠れたりする周囲のガスの円盤である。円盤の物質は、重力のために恒星に引きつけられるが、十分なエネルギーを得ると宇宙に飛び出し、恒星風の一部となる。Be星は、それぞれが独自の進化を遂げた複数のガスの環を形成することがあり、複雑な星周環境のダイナミクスを作っている。 このようなダイナミクスの結果、この星は顕著な、約35年周期の長期的な光度や分光の変化を示す。実際に、過去100年間で、1903年まではBe星段階、1905年から1936年まではB型星段階、1938年から1954年まではB殻星段階で、1955年から1972年までは再びBe星段階に戻った。その後、1972年にBe殻星段階に入り、その後スペクトル中に多くの殻由来の吸収線を発展させた。同時に、1971年末から恒星の光度は減少し始めた。1973年末に最小の光度に達すると、恒星は徐々に明るくなった。1989年、この星はBe星の段階に入り、2005年夏までBe星の状態が続いた。 このような段階の変化を引き起こした直近の円盤は、1972年に形成された。しかし、興味深いのは、この星の長期の施光観測により、固有施光角が変化していることが示され、円盤の軸の空間運動の直接的な証拠となっていることである。この星は、比較的近い位置に伴星を伴うため、施光角の変化は、約81年周期の円盤の歳差をもたらす。 2005年から2007年に行われた光度や分光の観測で、赤道周囲に新しい円盤が形成され、異なる角度を持つ二重円盤を形成したことが示唆された。新しい円盤の軌道傾斜角は60°と推定されたが、元々あった円盤の軌道傾斜角は、約30°であった。この配置のずれた二重円盤構造は、Be星では初めて見つかった。従って、この星は新しい円盤の形成と2つの円盤の相互作用について観測する珍しい機会を与えている。
※この「Be星」の解説は、「おうし座28番星」の解説の一部です。
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