Be星とは? わかりやすく解説

Be星

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2024/07/19 07:12 UTC 版)

高速自転により形が扁平なアケルナル

Be星(びーいーせい、Be star[1][2])(B型輝線星[1]、Be型星[2])は、スペクトル中に顕著な水素輝線を持つB型主系列星である。スペクトル型Bとスペクトル中の輝線(emission line)の頭文字eをとって、Be星と名付けられた。他の原子のイオンによる輝線も同時に存在することがあるが、通常、非常に弱い。他の観測上の特徴として、直線偏光赤外超過と呼ばれる通常のB型主系列星よりもかなり強い赤外線の放射がある。ただし、Be星の特徴は一時的なもののため、Be星のスペクトルは通常のB型主系列星と同じように見える時もあり、逆にそれまで通常のB型主系列星であったものがBe星になることもある。

Be星のほとんどは主系列段階にあるが、前主系列星超巨星原始惑星状星雲のものも確認されている[3]。これらはB[e]超巨星(sgB[e]と表記される)やハービッグAe/Be型星、コンパクト惑星状星雲B[e]、共生星B[e]、その他のカテゴリーに細分される。

Be星であることが最初に確認された恒星は、1866年にアンジェロ・セッキによって観測されたカシオペヤ座γ星であり、これはスペクトル中に輝線が観測された最初の恒星であった。20世紀初めに輝線が形成される過程が解明され、これらの線は恒星そのものではなく、周囲の環境が起源であることが明らかとなった。今日では、観測される全ての特徴が、恒星から放出されるガスの円盤で説明されている。赤外過剰と直線偏光は、円盤で恒星の光が散乱されるためであり、輝線の形成は、恒星からの紫外線がガスの円盤で再処理されるためであることが分かった。

Be星は自転速度が速いことが知られており、干渉法によるアケルナルの回転歪みの測定でも実証されている[4]。しかし、回転だけでは円盤の形成には十分ではなく、さらに他に、磁場や非放射恒星パルス等の放出のメカニズムが必要である。Be星の特徴が一時的であるのは、この二次プロセスと関連がある可能性が高いが、詳細はまだ分かっていない。

Be星は変光星であることが多く、GCAS(カシオペヤ座γ型変光星)やBE(GCASに分類できないBe星)、BCEP(ケフェウス座β型変光星)などに分類される。

関連項目

参考文献

  • Porter J., Rivinius Th.: Classical Be stars, 2003 PASP 115, 1153

出典

  1. ^ a b 『天文学大事典』(初版第1版)地人書館、560頁頁。ISBN 978-4-8052-0787-1 
  2. ^ a b 『オックスフォード天文学辞典』(初版第1刷)朝倉書店、334頁頁。 ISBN 4-254-15017-2 
  3. ^ Lamers, Henny J. G. L. M.; Zickgraf, Franz-Josef; de Winter, Dolf; Houziaux, Leo; Zorec, Janez (1998). “An improved classification of B[e]-type stars”. Astronomy and Astrophysics 340: 117-128. Bibcode1998A&A...340..117L. 
  4. ^ Kervella, P.; Domiciano de Souza, A., Astronomy and Astrophysics, Volume 453, Issue 3, July III 2006, pp.1059-1066,(DOI 10.1051/0004-6361:20054771)

外部リンク


Be星

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おうし座28番星」の記事における「Be星」の解説

この星は古典的なBe星であり、しばしば"active hot star"と呼ばれる古典的なBe星は、主系列に近いB型星であり、"e"の文字が付くのは、この星はスペクトル中に通常の恒星が持つ吸収線ではなく輝線を持つことを示している。輝線は、恒星ガス囲まれていることを示す。Be星の場合ガス通常赤道面上の円盤形成し光球からだけではなく円盤からも電磁波放射している。この周囲ガス配置運動は、ガス放射圧力ではなく回転によって重力打ち勝つケプラー型の」円盤として、最も良く説明されるこのような星周円盤は、恒星向かって物質落ち込む降着円盤に対して恒星から物質噴出される"decretion disks"と呼ばれることがある。 Be星は、200km/s以上の速度高速自転し、強い恒星風発生させ、質量喪失速度大きい。その見かけ明るさのため、高速自転し偏球の形になっている恒星として最も良く知られているのはアケルナルであるが、その自転速度251km/sは、おうし座28番星自転速度329km/sよりもかなり遅い。結果としてアケルナル自転周期が48.4時間であるのに対し、この星の自転周期は11.8時間である。これと比べ太陽自転周期は25.3日間である。おうし座28番星これほど速く自転しているため、B8V星の自壊速度として推定されている約370-390km/sに近くなっている。自転速度が非常に速い他のBe星には、470km/sのさいだん座α星がある。この速度あまりにも速いため、今にも爆発しようとしている。 この星を非常に独特なものにしているのは、通常のB型星、Be星、Be殻星の3つの段階交互に移り変わることである。その原因は恐らく、多くのBe星がその中から出てきたり隠れたりする周囲ガス円盤である。円盤物質は、重力のために恒星引きつけられるが、十分なエネルギーを得ると宇宙飛び出し恒星風一部となる。Be星は、それぞれが独自の進化遂げた複数ガスの環を形成することがあり、複雑な周環境のダイナミクス作っている。 このようなダイナミクス結果、この星は顕著な、約35年周期長期的な光度分光変化を示す。実際に過去100年間で、1903年まではBe星段階1905年から1936年まではB型星段階1938年から1954年まではB殻星段階で、1955年から1972年までは再びBe星段階戻ったその後1972年Be殻星段階入りその後スペクトル中に多くの殻由来吸収線発展させた。同時に1971年末から恒星光度減少し始めた1973年末に最小光度達すると、恒星徐々に明るくなった。1989年、この星はBe星の段階入り2005年夏までBe星の状態が続いたこのような段階変化引き起こした直近の円盤は、1972年形成された。しかし、興味深いのは、この星の長期の施光観測により、固有光角変化していることが示され円盤の軸の空間運動の直接的な証拠となっていることである。この星は、比較的近い位置伴星伴うため、施光角変化は、約81年周期円盤歳差もたらす2005年から2007年行われた光度分光観測で、赤道周囲新し円盤形成され異な角度を持つ二重円盤形成したことが示唆された。新し円盤軌道傾斜角60°と推定されたが、元々あった円盤軌道傾斜角は、約30°であった。この配置のずれた二重円盤構造は、Be星では初め見つかった。従って、この星は新し円盤形成2つ円盤相互作用について観測する珍しい機会与えている。

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Bf 108 (航空機)

Bf 109 BBf 109 Bは、1936年11月に初飛行したBf 109 V-4がBf 109 B-01と呼ばれるB型の原型機で、Jumo 210 Aを搭載した。12月に初飛行した改良型のV5とV6はJumo 210 Bエンジンを搭載した。これら3機がスペイン動乱で1936年の12月の末頃に試験的に投入された。B型は正式採用されて量産型がレーゲンスブルクに新工場を設けて始まった。機首上面に2門の MG 17 機関銃を装備する。Bf 109 C

Bf 109 EBf 109 Eは、ダイムラー・ベンツ DB 601 Aを搭載した機体で、第二次世界大戦初期の主力機となった。E-1は機首上面と主翼にMG17を合計4門装備した。E-2型はMG FFをモーターカノンとして装備したが機首上面のMG17共々振動問題を克服できず、後に続くE-3型ではMG FFは翼内装備となった。E-4型にはMG FF/Mが装備され強装薬の薄殻榴弾の使用能力を得、バトルオブブリテンが始まると共に以前の型式もE-4型に改装された。E-5はE-3型の、またE-6型はE-4/N型の偵察型として生産され、共にMG FFを外してカメラとMG17を2門装備していた。バトルオブブリテンで航続距離の短さが問題となり、300Lの増槽が装備可能なE-7型が生産されて40年8月の下旬に戦線投入された。E-4型とE-7型には出力向上させたDB 601 Nも使用され、それぞれE-4/NとE-7/Nと呼ばれた。E-8型はE-1型に増槽を装備できるよう改造した型で、E-9型はE-7/Nの偵察型としてMG FF/Mを外してカメラを搭載した型だった。E-1とE-4型には派生型の戦闘爆撃機仕様のE-1/B、E-4/B、E-4/BNが存在し、E-7/NにはGM-1を装備したE-7/NZが存在した。Bf 109 FBf 109 Fは、ダイムラー・ベンツ DB 601 N及び改良されたDB 601 Eエンジンが搭載された機体。大きな性能向上を果たし、中期の主力機となった。空気抵抗を減少させる設計に刷新された。この型式にいたってようやくモーターカノンの搭載が可能となった。Bf 109 G

Bf 109A

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