S型星
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2015/09/01 13:04 UTC 版)
S型星[1](S-type star[1])はスペクトル分類Sの後期の巨星である。スペクトル線中に、それぞれK型とM型に特徴的な酸化ジルコニウムと酸化チタンのバンドを見せる[2]。酸化イットリウムやテクネチウムのようなその他のs過程元素も増加し、中性子捕獲が起きていることを示している。ジシアンやリチウムの特徴も持つ。多くは長周期変光星である[3]。
ほとんどのS型星はM型の漸近巨星分枝がC-N型の炭素星に変換する際の途中段階であるという説がかつて提案されていた。通常、漸近巨星分枝は不活性の核を取り巻く水素殻での核融合によりエネルギーを供給されるが、熱パルスの間にはヘリウム殻の核融合が支配的になる[4]。また、外因性S型星と呼ばれる別のタイプのS型星もあり、これは冷たいバリウム星で、スペクトル中に見える炭素やS過程元素は連星系からの質量転移の遺物である。このような系では、現在観測されるS型星は自身では過剰量の炭素やS過程元素は生成せず、これらは当時炭素星であった伴星で過去に生産されたものである。質量転移が終わって長い時間が経ってから観測されるため、伴星は白色矮星になってしまい、検出されないことが多い。
S型星は通常、同じくらいの光球温度を持つK型星やM型星よりも赤く見える。ミラ型変光星であるはくちょう座χ星は(最大光度にある時には)、全天で最も明るいS型星である。またおおぐま座S星もS型星である。HR 1105は、外因性S型星の例である。
出典
- ^ a b 『天文学大事典』 地人書館、初版第1版、68頁。ISBN 978-4-8052-0787-1。
- ^ p. 77, Observing Variable Stars, Gerry A. Good, Springer, 2003, ISBN 1852334983.
- ^ S star, The Internet Encyclopedia of Science, David Darling. Accessed on line September 9, 2008.
- ^ page 284 in Robert D. McClure: The carbon and related stars
外部リンク
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S型星
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詳細は「S型星」を参照 S型星は、M型星と炭素星を連続的に繋ぐ位置づけの恒星である。S型星の中でM型星に最も近いものは一酸化ジルコニウム (ZrO) の吸収帯を持ち、これはM型星での酸化チタン (TiO) の吸収帯に似たものである。一方で炭素星に最も近いものは強いナトリウムのD線と弱い C2 のスペクトル帯を持つ。S型星はジルコニウムやその他のs過程で生成された元素の存在量に超過が見られるほか、M型星や炭素星よりも炭素と酸素の存在度が類似している。炭素星と同様に、知られているS型星のほぼすべては漸近巨星分枝星である。 スペクトル分類は、アルファベットのSと0から10までの数字の組み合わせからなる。この数字は恒星の温度に対応しており、M型巨星に用いられている温度スケールに近似的に従う。最も一般的な型はS3型からS5型である。一般的ではないS10型という分類は、はくちょう座χ星の光度が極めて極小になっている時にのみ使用される。 S型星は、基本的な分類の後にその組成を示す豊富な分類によって細分化される。例えば、S2,5、S2/5、S2 Zr4 Ti2、S2*5 である。コンマの後に続く数字は1から9までの数値を取り、一酸化ジルコニウム (ZrO) と酸化チタン (TiO) の比に基づいて決められる。スラッシュの後に続けて数字を書く分類はより最近生まれたものだがあまり一般的ではなく、酸素に対する炭素の比率を示す数値である。1から10の間の数値を取り、0がMS星となるように決められている。また、3番目の例のように、ジルコニウムとチタンの強度を陽に書き表す場合もある。アスタリスクに続けて数字を書く分類も時折見られ、これは1から5のスケールで一酸化ジルコニウムのスペクトル帯の強度を示している。
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