不安定帯
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2024/01/03 19:28 UTC 版)

不安定帯[1](ふあんていたい、Instability strip[1])は、脈動変光星が占めるヘルツシュプルング・ラッセル図におけるほぼ垂直の領域である[2]。
主系列星のA型とF型(1から2太陽質量)の領域を分断しており、若干右に曲がりながらほぼ垂直に最大光度の位置まで伸びている。不安定帯の下の方は、ヘルツシュプルングの間隙と呼ばれる。
脈動
不安定帯にある恒星は、He III(二価のヘリウムイオン)のせいで脈動している。通常のA型、F型、G型の恒星では、ヘリウムは恒星の光球に中性の状態で存在する。温度が2万5000℃から3万℃の光球の下の深い位置からは、He II(一価のヘリウムイオン)層が始まる。He III層は、3万5000℃から5万℃の位置から始まる。
恒星が収縮すると、He II層の密度と温度は上昇し、He IIはHe IIIに変換し始める。これにより、恒星の不透明度は増加し、恒星内部からのエネルギー流束は、効率的に吸収される。恒星の温度は上昇し、拡大を始める。拡大が終わると、He IIIは再びHe IIに再変換し、恒星の透明度は低下し、恒星の表面温度も下がる。外層は収縮し、サイクルが初めから繰り返される。
恒星の視線速度の脈動と明るさの変化の間の相転移は、恒星表面からHe II領域の距離に依存する。
出典
- ^ a b 『文部省 学術用語集 天文学編(増訂版)』(第1版)丸善株式会社、221頁頁。ISBN 4-8181-9404-2。
- ^ “Cepheid instability strip”. A Dictionary of Astronomy. encyclopedia.com. 2010年3月28日閲覧。
不安定帯
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「不安定帯」も参照 ブルーループを起こしている星は、HR図の主系列の上側の黄色(スペクトルF型からK型)の部分を横切っているため、不安定帯と呼ばれる領域を多くの星が横切っていることになる。漸近巨星分枝の星がブルーループ中に不安定帯を横切ると、おとめ座W型変光星になると考えられている。また、赤色巨星分枝からブルーループ中に不安定帯を横切る大質量の星は、古典的セファイド変光星になると考えられている。どちらのタイプの星も、この段階では光球が明るく不安定で、超巨星のようなスペクトルを持つことが多いが、ほとんどの星は炭素が核融合したり、超新星爆発に到ったりするほどの質量ではない。
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