3代目 W30型(1993年 - 1999年)
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「日産・ラルゴ」の記事における「3代目 W30型(1993年 - 1999年)」の解説
1993年5月、フルモデルチェンジ。このモデルチェンジに際し、車名から「バネット」が外れ、「ラルゴ」となる。CMコピーは「ポストセダンをどうぞ」。CM曲はレニー・クラヴィッツの「ビリーヴ」が起用された。1995年8月の一部変更時から設定されたエアロパーツ装着の「ハイウェイスター」で人気を博した車種である。 モノスペーススタイルへとチェンジしたセレナ(C23型)の5ナンバーボディに対し、シャーシを共用するラルゴは3ナンバー専用ボディとされ、セレナに比べ各シートの座面長を45mmずつ大きく採るなど、上級車としての工夫が見られ、エルグランドが登場する1997年までは、日産のミニバンの中では最上級モデルの地位にあった。そのため、ファミリー層のみならず、セドリックやグロリア等の高級車から乗り換えるような50代から60代の中高年層もターゲットしていた。ただし、セカンドシートはバネットラルゴの独立(キャプテン)シートではなく、ベンチシートであった。 ボディ形状はセレナと同様に短いボンネットが付いて前輪が前進したセミキャブオーバーの外観であるが、構造的にはエンジンを前席下に搭載するキャブオーバーである。 また、この構造が幸いし重量配分はほぼ50:50であり、更にローパワーながら0-100km加速は9秒台と3Lクラスに匹敵する加速性能を誇る。 駆動方式はFRと4WDであり、搭載エンジンはKA24DE型 直列4気筒 DOHC 2,388ccガソリンエンジン、およびCD20Ti型 直列4気筒 OHC 1,973ccインタークーラー付ディーゼルターボエンジンの2機種。ディーゼル車のインタークーラーは空冷式で、フレームの中に冷却気を通す工夫がされていた。シフトレバーはセレナと同様にフロア式で、一見するとセダンのものにも見えるインストルメントパネルであった。 セレナとは異なり、トレッド拡大によりロックツーロックが普通の乗用セダン並みになった。セレナにこのラックを組んでも全く問題ないため、日産の操安基準は相当にマージンをとっていると思われるが、珍しく前後のタイヤサイズが異なる点は注意が必要である。 グレードは下から「RX-g」「SX-g」「グランデージ」の3つが設定された。「グランデージ」にはメーカーオプションで「GTパック」なるSUPERHICAS、アクティブダンパーサスペンション(後期型)を搭載したモデルも設定され走りをイメージしたものとなっている。ちなみに、KA24DE型エンジンは海外向け車種に多く搭載されているエンジンであり(KA24DE型エンジンが搭載されていた車種は海外版180SXである240SXなど)、圧縮比が10:1でありながらレギュラーガソリン仕様であった。海外販売は香港・タイ・マレーシア・シンガポール・インドネシアに向けられた。 1994年1月、特別仕様車「2/4WD SX-Gリミテッド」追加。 1994年10月、一部改良。当初は7人乗り車のみであったが、グランデージ以外のグレードには新たに8人乗り車の「Plusシリーズ」、RVモデルの「ウミボウズ」が追加された。 1995年8月、一部改良。運転席SRSエアバッグが標準装備となるほか、ディーゼルターボエンジンをCD20Ti型に電子制御燃料噴射装置を装着したCD20ETi型へと変更。同時にオーテックジャパンの手により、RX-gをベースとした特別仕様車「ハイウェイスター」を設定。ハイウェイスターの設定で、本来のターゲット層であるファミリー層や中高年層のみならず、20代~30代の若い年齢層にも人気を博した。 1996年10月、マイナーチェンジ。内外装に手直しを受け、アクティブダンパーサスペンションやラゲッジトランク、セレナと同様のマルチスライドシートを採用するほか、「ハイウェイスター」が正式車種になるなどの車種追加が行われた。 CMコピーは「My LIFE,My LARGO」、CM曲には吉田拓郎の43rdシングル「遥かなる」を起用。 1997年10月、「ハイウェイスター」の派生モデルとして、専用フロントフード、丸形4灯ヘッドランプを採用する「ハイウェイスターツーリング」を新設定(ガソリン車のみ)。同時に既存車種にも改良が加えられ、安全装備としてABSと、助手席にもSRSエアバッグが標準装備となり、最上級グレードの「グランデージ」が廃止され、「ハイウェイスター」はディーゼルの4WD車を除く全車にパノラマビュートップが標準装備となった。 「ハイウェイスターツーリング」のCMコピーは「いいエアロしてる。」、CM曲には矢沢永吉の24thアルバム「YES」に収録される「しなやかな獣たち」を起用。 1998年6月、「ハイウェイスターII」を追加。これは既存する「ハイウェイスター」をベースに専用グリル、ボディストライプ、ロゴ入りオレンジメーター、専用シートクロスを装備した派生モデル。ベースとなる「ハイウェイスター」に設定はないが、ホワイト単色の選択が出来た。これがラルゴ最後の追加車種となった。 1999年5月、オーダーストップに伴い生産終了。在庫対応分のみの販売となる。 1999年6月、セレナが2代目へモデルチェンジするに伴い、セレナとエルグランドに統合されるかたちで販売終了。直接の後継車は設定されなかった。同時期に発売されたプレサージュがラルゴの後継車として考える向きもあるが、直接の繋がりはなく、また、シャシーや車格も異なる。なお、プレサージュもラルゴが生産終了して10年後の2009年で生産終了している。ラルゴの生産終了当時、日産のミニバンやRVのラインナップが過多であり、セレナだけでなくフラッグシップのエルグランド、プレーリーリバティ、同時期に登場した上級のプレサージュと姉妹車のバサラ、SUVのテラノやサファリやミストラル、コンパクトクロスオーバーSUVのラシーン、3人掛けシート2列によって6人乗りのミニバンであるティーノや2列シートでステーションワゴンの分類ではあるがミニバン的なスタイリングのワゴン・ルネッサなど飽和状態であった。プレサージュが生産終了した2009年以降、現在に至るまで日産の日本国内市場における上級ミニバンは、エルグランドのみとなっている。 後期型(リア)
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