2000年頃~2008年
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「ゼネラルモーターズ」の記事における「2000年頃~2008年」の解説
2000年頃からは環境保護問題の高まりなどの外部環境の変化を受け、消費者の嗜好は再び燃費の良いサブコンパクトカーやハイブリッドカーにシフトしたが、GMは時代の流れに逆行し高い利益率のフルサイズSUV・ピックアップトラックに集中し続け、むしろ小型車部門のジオは整理・縮小させる方向にあった。 また2001年のアメリカ同時多発テロ事件直後に販売量が落ち込んだ際には、生産量を落とさない方針を採ったため次第に在庫が増加。在庫を捌くために販売店へのインセンティブの上乗せや値引き販売を激化させる悪循環に陥り、2005年までに企業収益は一気に悪化した。過去の従業員の退職年金や医療費負担なども財務を圧迫し続け、格付け会社からは社債を「投資不適格」にランク付けされるに至り株価は低迷、株式投資会社の介入を招く事態にもなった。部品調達で密接な関係を持つデルファイ・コーポレーションが経営危機を迎えた際にも、直接救済する体力は無かった。 2005年以降は、提携先の株式の処分も進められている。10月には、資本提携していた富士重工業(当時)株をトヨタ自動車へ売却、2006年にはいすゞ自動車株を売却し資本提携を解消、2006年3月には、スズキ株の大半を売却し、2008年11月18日付で資本提携を完全に解消した。こうした株式の処分は特別利益となり経営体質の改善に直結するが、一方でGMの伝統である、地域毎に多種多様な車種を生産し融通し合うという特徴(サブコンパクトカーの開発・生産はスズキやいすゞが担った)を薄めることであり、今後の商品開発力低下を危惧する見方もある。 2006年7月には、カーク・カーコリアン率いる投資会社・トラシンダから、ルノー=日産アライアンスとの提携を推奨され協議に入ることが大々的に報じられたが、GM首脳部には提携の意志はなく、同年10月中に破談し交渉は終了している。 2007年の自動車販売台数は、トヨタ自動車グループと僅差で世界一(937万台)であったが、ガソリン価格の高騰、サブプライムローン問題に端を発する世界金融危機の影響で、北米での売上が大きく落ち込んだ。その結果、2007年度決算で3兆円という途方もない額の赤字を生むこととなった。また、2008年上半期には約77年間も守り続けた販売台数世界一の座もトヨタに明け渡した。 GMは巨額の年金・退職者医療の債務を抱え、債務超過に陥り、株主配当も停止され、金融市場から債券発行による資金調達も困難な状態にあった。GMの純損失額は2005年105億6700万ドル、2006年19億7800万ドル、2007年387億3200万ドルであった。 2008年第1四半期から第3四半期までの財務データは、売上高1186億ドル、営業損失139億ドル、純損失213億ドルであり、第3四半期終了時点で、負債総額は1703億ドル、CDS残高2000億ドル、債務超過額599億ドル、手元資金162億ドル(3ヵ月のうちに50億ドル減少)であった。2008年第3期の売上高は前年同期比13%減の379億4100万ドルであった。 2008年10月のGMの新車販売台数が前年同月比45%減になる状況の中、10月31日に米国財務省はGMとクライスラーの合併に必要なリストラ費用100億ドルを、2008年に成立した緊急経済安定化法から支出することを拒否し、GMはクライスラーとの合併協議を中断した。格付会社S&Pは、GMの格付けを「B-」から「CCC+」に格下げし、見通しもネガティブとした。 2008年11月11日には株価が2.75ドルと1943年以来65年ぶりの安値になった。11月のGMの新車販売は2ヶ月連続の4割減、-41.2%だった。GMは、フォードとクライスラーと共に、アメリカ連邦政府に金融支援を含んだ自動車業界救済法案の採決を求めたが、金融支援をうけるのに必要な経営再建策に具体性がないことなどを理由として、議会は11月に採決を行わなかった。 そこで、GMら3社は、12月1日に経営再建策を議会に送付し、上院と下院で公聴会が開かれた。下院は自動車業界救済法案を12月10日にまとめ本会議で可決したが、選挙前の勢力分布で伯仲していた上院では、修正案を採決にもっていくための投票で必要な60票がとれず、12月11日に廃案となった。 議会での自動車業界救済法案の不成立を受けて、ついにブッシュ大統領が介入し、12月19日に、緊急経済安定化法の成立で運用が始まった不良資産救済プログラム(TARP)7000億ドル分のうち、議会承認済みの3500億ドルの中で未使用であった150億ドルを活用して、GMに134億ドル、クライスラーに40億ドルの合わせて174億ドルのつなぎ融資を実施することを決定した。実際に、GMには2008年12月31日に40億ドル、2009年1月21日に54億ドル、2月17日に40億ドルの3段階に分けた合計134億ドル、クライスラーには2009年1月2日に40億ドルの、総額で174億ドルのつなぎ融資が実施された。
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