2000年代以降の主な最高裁判所大法廷判決・決定
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国籍法3条1項が、日本国民である父と日本国民でない母との間に出生した後に父から認知された子につき、父母の婚姻により嫡出子たる身分を取得した場合に限り日本国籍の取得を認めていることにより国籍の取得に関する区別を生じさせていることは、遅くとも2005年当時において、憲法14条1項に違反するとされた事例(最大判2008年6月4日、退去強制令書発付処分取消等請求事件及び国籍確認請求事件)。 土地区画整理事業の事業計画決定が取消訴訟の提起できる行政処分に当たるとし、最大判1966年2月23日の判例(青写真判決)を変更した事例(最大判2008年9月10日)。 議会議員に対する解職請求を求める署名の請求代表者に農業委員会委員が含まれるとして無効とした選挙管理委員会の決定について、地方自治法施行令115条・113条・108条2項及び109条の各規定のうち、公職選挙法89条1項を準用することにより、公務員につき議員の解職請求代表者となることを禁止している部分は、その資格制限が地方自治法80条1項の請求手続にまで及ぼされる限りで、同法85条1項に基づく政令の定めとして許される範囲を超え、無効であるとして取り消された事例(最大判2009年11月18日)。 北海道砂川市が、その所有する敷地を空知太神社に無償で使用させていた処分につき、憲法21条3項及び89条後段に違反するとされた事例(最大判2010年1月20日、砂川政教分離訴訟。なお、同日大法廷において判決が言い渡された富平神社に対する市有地の無償譲与については、違憲のおそれのある状態を解消するために行われた本件事実関係の下では、憲法に違反するとはいえないと判示された)。 裁判員裁判により審理された覚せい剤取締法違反被告事件において、裁判官でない裁判員が裁判に関与する裁判員制度が「憲法上、国民の司法参加が禁じられていると解すべき理由はない」として合憲とされた事例(最大判2011年11月16日)。 非嫡出子の遺産相続分は嫡出子の半分であると定める民法900条の規定が、法の下の平等を定めた憲法14条に違反するとされた事例(最大判2013年9月4日)。 夫婦別姓の選択を認めない民法の規定について裁判官の多数意見で合憲とした(ただし、女性裁判官は全員「違憲」の少数意見を付けた)事例(最大判2015年12月16日)。なお、夫婦別姓問題に関しては2020年12月、別件の抗告事件が大法廷に回付されたが、再び裁判官の多数意見で合憲とした(最大決2021年6月23日)。 民法の再婚禁止期間規定について100日を超える部分は過剰として、憲法第14条1項及び24条2項に違反するとした(再婚禁止期間訴訟)事例(最大判2015年12月16日)。 13歳未満の女児の体を触る様子を撮影したとして、強制わいせつ罪などに問われていた被告の男が「知人から金を借りる条件として、わいせつ行為を撮影したデータを送るよう要求された」と説明し、弁護側は性的意図はなく、同罪は成立しないと主張していた事件について「性的意図を一律に同罪の成立要件とすることは相当でない」として、性的意図がなくても成立するとの判断を示し、「必要」としていた1970年の最高裁判例を約半世紀ぶりに変更して、被告の男に同罪の成立を認めた事例(最大判2017年11月29日)。 NHK受信料の支払い義務に関する訴訟で、放送法による受信契約の強制は合憲であり、テレビ受像機を設置した月から起算した受信料債権が発生するが、民法414条2項ただし書等の規定により、契約を命ずる判決の確定をもって初めて契約が成立するものとし、「NHKによる契約申込みから相当期間が経過した時点で自動的に契約が成立する」とのNHKの主張は退けた事例(最大判2017年12月6日)。 市議会の議会運営委員会での発言を理由に23日間の出席停止処分を受けた宮城県岩沼市の市議が、市に対して出席停止処分の取消しを求めた訴訟で、普通地方公共団体の議会の議員に対する出席停止の懲罰の適否は司法審査の対象となるとし、最大判1960年10月19日の判例を変更した事例(最大判2020年11月25日)。 那覇市が管理する公有地を儒教の祖を祭る「孔子廟」として一般社団法人に無償提供したことが、憲法の政教分離原則に違反するかが争われた住民訴訟で、「市の土地使用料免除は憲法が禁じた宗教的活動に該当する」として憲法20条3項に違反すると判断した事例(最大判2021年2月24日、孔子廟訴訟)。 在外日本人の有権者が最高裁判所裁判官国民審査に投票できないのは憲法違反であるとする判決。政府は「短期間で世界中に投票用紙を送る作業は不可能」と主張していたが「在外国民に審査権を認めるための立法措置が何ら採られていないことについて、やむを得ない事由があるとはいえない」と退けられた(最大判2022年5月25日)。
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