じゅうみん‐そしょう〔ヂユウミン‐〕【住民訴訟】
住民訴訟(じゅうみんそしょう)(taxpayer's suit)
地方自治体における公金の違法または不正な支出に対し、その地域の住民が提起する訴訟のことをいう。地方自治法に基づき、通常の裁判所で審理される。
地方自治法に基づく住民監査請求の結果、地方自治体による公金の支出について住民が納得できないとき、その支出が違法または不正なものかどうかを裁判所で争う。住民訴訟の提起は、住民監査請求による措置に不服がある場合に限られるので、単に地方自治体の行政に不満があるからという理由では訴え出ることができない。
地方自治体の首長や職員などが支出した公金について、その違法または不正な使い方によって地方自治体の財政に損害を与えたと認められると、その首長や職員などは当該公金の支出分を地方自治体に返還しなければならない。
住民訴訟は支出された公金の返還請求にとどまらず、社会に問題を提起する場となることも多い。例えば、1997年の愛媛県玉串料訴訟では、靖国神社に支払った玉串料の返還を知事に求めるだけでなく、地方自治体による宗教行為が違憲とされた。最近では、公共事業による環境破壊を問題として住民訴訟を提起するケースが増えている。
(2003.06.09更新)
住民訴訟
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2023/09/17 15:36 UTC 版)
住民訴訟(じゅうみんそしょう)とは、住民が自ら居住する地方公共団体の監査委員に住民監査請求を行った結果、監査の結果自体に不服、又は監査の結果不正・違法な行為があったにもかかわらず必要な措置を講じなかった場合などに裁判所に訴訟を起こすことができるという制度である。行政訴訟であり、そのうちの客観訴訟の1種である民衆訴訟にあたる。
- ^ “参考資料1 住民監査請求・住民訴訟制度についてPDF”. 総務省. 地方行財政検討会議 第二分科会(第3回) (2010年6月17日). 2022年12月30日閲覧。
- ^ 園部 1996, pp. 20–22.
- ^ 最高裁判所判決 昭和53年3月30日 民集 第32巻2号485頁、昭和51(行ツ)120。
- ^ 平成10年12月18日最高裁判所第三小法廷平成10年(行ツ)第68号 損害賠償 民集52巻9号2039頁
- ^ [1][リンク切れ]
住民訴訟
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「武雄市図書館・歴史資料館」の記事における「住民訴訟」の解説
2015年7月14日、TSUTAYA図書館の選書基準の不透明さ、図書館運営のずさんさに疑問を持った住民らが市に対し、樋渡啓祐前市長に1億8千万円の損害賠償を求めるよう訴えを起こした。 樋渡啓祐前市長らに約1900万円を賠償請求するよう市に求めた住民訴訟は、2018年9月28日棄却されたが、住民側は同年10月11日に福岡高裁に控訴した。
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住民訴訟
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神戸市が同市職員を派遣している外郭団体に、人件費に充てるため補助金を支出していることについて、住民団体が、矢田と外郭団体に対し、2004年から2006年にかけ支出してきた補助金のうち、総額約72億円を同市に返還するよう、神戸地裁に住民訴訟を起こし、同地裁は、2008年4月に、直接支給ではなく補助金として支出していることが違法として、矢田と19の外郭団体に約48億円を返還するよう命じる判決を言い渡した。 同市は、この判決を受け、返還請求を実行した場合、各種の市民サービスを提供することをもって市民福祉向上に重要な役割を担っている外郭団体の運営を不安定に陥れたり、解散なり破産手続に追い込むおそれがあることが明らかであることから、外郭団体への補助金支出から派遣職員への給与の直接支給に変更するとともに、補助金支出によって生じた矢田に対する損害賠償請求権と外郭団体に対する不当利得返還請求権を放棄する内容の改正条例を施行したところ、大阪高裁はこの改正条例は議会の議決権の濫用で違法無効であるとして矢田と19の外郭団体に約55億円を返還するよう命じる判決を言い渡した。 しかし、最高裁は、矢田には補助金支出に注意義務を怠った過失はないから損害賠償義務はなく、外郭団体に対する不当利得返還請求権を放棄する内容の改正条例は裁量権の逸脱又は濫用でなく適法であり、放棄は有効であるという市の勝訴判決を言い渡した。 このほか、同市に対しては、神戸空港の建設をめぐり、数次にわたり矢田らに対して合計1千億円を超える額の損害賠償を求める住民訴訟が提起されたが、いずれも請求が棄却されている。
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住民訴訟
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/04/15 00:08 UTC 版)
2018年7月6日基本設計と実施設計を公募せず特命随意契約で基本構想の策定業者のアール・アイ・エーに委託したのは違法であり、その結果契約額が約1億2300万円と高額になったとして、市民から契約解消と山下市長に対して損害賠償を求める住民監査請求が起こされた。これに対し市は「基本構想策定はプロポーザルを行ったが、その際基本実施設計も受託できると判断した」と主張。また、山下市長は「事務は適切だった」と主張した。また、同年7月19日同じ市民により「(仮称)小牧市こども未来館」の基本構想はラピオ地権者の合意を得ていないため不当とし、策定委託料の返還を求める住民監査請求も行われた。これに対し市の監査委員は同年9月13日「市の判断に違法または不当な点は見られない」「本件事業に係る公金の支出が違法・不当であるとは言えない」とし、請求を却下した。この結果に対し訴えた市民は「監査結果には到底納得できず、裁判で問題を明らかにしたい」として、市が業者と交わした同施設の設計契約無効と基本構想策定委託料1695万円の返還を求める住民訴訟を名古屋地裁に起こした。
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