住民訴訟と小池都知事就任
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/04/14 20:51 UTC 版)
「築地市場移転問題」の記事における「住民訴訟と小池都知事就任」の解説
前述の土壌問題について、2010年(平成22年)から一部住民が住民監査請求を求めていたが、都は不開示の裁定を下した。2012年(平成24年)5月に築地の仲買人を含めた住民は東京地裁に対して、土壌汚染対策費を適正に見込まない価格で土地の売買契約を結び、都に損害を与えたとして、当時の都知事であった石原慎太郎に対して土地購入額約578億円を請求する民事訴訟を提訴。 2016年8月、舛添要一の海外出張費公私混同事案による辞任で行われた2016年東京都知事選挙で、小池百合子が自民党推薦候補を破って都知事に就任。築地市場の移転先となる豊洲市場の全施設は2016年5月に完成し、同年11月10日の完全移転・開業を予定していたが、同年8月31日に新都知事の小池百合子が「土壌汚染対策に不安が残る」として開場の延期を宣言。更に同年9月11日、都議会共産党によって敷地の一部で盛り土が行われていなかったことが判明した。実際はコンクリート壁に囲まれた床のない空洞になっており、有害物質を含む地下水が貯まっていた。都による調査の結果、この構造物は土壌汚染対策作業を行うためのモニタリング空間であり、2010年(平成22年)~2011年(平成23年)にかけて設計書に盛り込まれたことが判明した。 2016年9月には、建設許可を与えた当時の都知事である石原の自宅前にワイドショーを含めた記者、リポーターが張り込む事が増え、同年10月7日小池は知事定例記者会見の場で石原に対して公開質問状を送付し、公開の場で意見開陳するよう求めた。 しかし、石原は同月3日に公開ヒアリングの内容を明かし、自身は小池と一対一での面談を求めていたが、小池からメディアを入れた公開ヒアリングを提示された事を難色を示し、特に2013年に脳梗塞を発症し、回復はしているものの、この時点で半身に障害が残っており、記憶についても曖昧であると見解を示した。 石原は小池に対して同月14日付にて質問状の内容を返答し、同月25日に回答内容を公開した。 しかし、小池が望む回答ではなく、用地交渉や土壌汚染対策などは部下に任せており「記憶にない」、「13年半の在任中に決裁した案件数は膨大であり、本書の回答以上の記憶はない」とした上で、石原が知事に就任する前から2016年9月までの資料を全て公開するよう小池に対して要望し、「無責任に聞こえるかもしれないが、記憶の問題ではなく、資料がすべてを物語ってくれる」と回答し、道義的責任については、「専門的な内容の事項について道義的責任をご質問いただくことに些か複雑な思いを感じざるを得ないが、市場関係者の皆さんを含め、東京都民の皆さんや国民の皆さんに対しては、結果としてこのような事態に立ち至っていることについてまことに申し訳なく思う」と陳謝し、謝罪の弁を述べている。 当時市場長を務めていた比留間英人東京メトロ副会長は、当時の石原知事から、地下にコンクリートの箱を埋める案について、検討を指示されたと証言した。一方、石原元知事は、「専門委員から聞いて、私が逆にこんな話があると言った」との説明を行った。
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