2声のインヴェンションとは? わかりやすく解説

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バッハ:2声のインヴェンション

英語表記/番号出版情報
バッハ:2声のインヴェンションInvention BWV 772-786作曲年: 1720-23年  出版年1801年  初版出版地/出版社: Breitkopf & Härtel 

作品概要

楽章・曲名 演奏時間 譜例
1 第1番 ハ長調 C Dur BWV7721分20
2 第2番 ハ短調 c Moll BWV7731分30秒
3 第3番 ニ長調 D Dur BWV7741分00
4 第4番 ニ短調 d Moll BWV7751分00
5 第5番 変ホ長調 Es Dur BWV7761分30秒
6 第6番 ホ長調 E Dur BWV7771分30秒
7 第7番 ホ短調 e Moll BWV7781分10
8 第8番 ヘ長調 F Dur BWV7791分00
9 第9番 ヘ短調 f Moll BWV7801分40
10 10番 ト長調 G Dur BWV7811分00
11 第11番 ト短調 g Moll BWV7821分20
12 12番 イ長調 A Dur BWV7831分30秒
13 13番 イ短調 a Moll BWV7841分30秒
14 第14番 変ロ長調 B Dur BWV7851分20
15 15番 ロ短調 h Moll BWV7861分10

作品解説

執筆者: 朝山 奈津子

クラヴィーア愛好者、とくにその学習希望者に、(1)二つ声部きれいに弾きこなすだけでなく、更に上達したならば、(2)三つオブリガート声部をも正しく、かつ、手際よく処理しあわせて同時にインヴェンツィオをたんに得るだけでなく、それをたくみに展開し、そしてとりわけカンタービレ奏法しっかりと身につけ、しかもそのかたわら作曲への強い関心をも養うための明確な方法教示するところの、正し手引き。 アンハルト=ケーテン宮廷楽長ヨハン・ゼバスティアン・バッハ これを完成す。1723年。」

 バッハ完成した曲集の扉に自らこのようにしたためた。《インヴェンション》と《シンフォニア》は、長男フリーデマンのレッスン用の小品集めて改訂したものであり、その成り立ちから既に教程としての性質持っている。しかし、ここに書かれていることの真意はいったいなんだろうか
 バッハ音楽家育てるのに、両手使った鍵盤音楽演奏技術身に付けさせることから始めた。手の運動結びつけることで、より自然な音楽性習得するためである。ここで用いられるはしかしバロック時代特有の通奏低音、すなわち低音に対して適切な和音右手補充するという書法ではない。すべての声部掛け替えのない「オブリガートパートであり、それぞれを「カンタービレ」に演奏すべく書かれている。そして独立した声部は、和声の中でひとつに溶け合う厳格対位法カンタービレ旋律和声一見すると簡明な2声および3声の作品群は、実は「多様なものの統一」という16-17世紀大きな美学的命題負っているのだ。
 バッハメッセージの中の「インヴェンツィオ」という言葉また、古い音楽の美学作曲法関わりがある。この語は修辞学由来し、「着想」と訳されることが多いが、本来(「発明ではなく「発見」意味する。つまり、自分伝えたい内容にふさわしい表現見つけだすことである。そのためには、できるだけ多く修辞表現(フィグーラ)を学び、その配列方法知らなてはならない。《インヴェンション》と《シンフォニア》はその範例として書かれており、バッハ持てる鍵盤音楽きわめて多様な様式を見ることができる。いってみればバッハ音楽世界縮図である。
(したがって、「インヴェンション」とは決しなんらかのジャンル楽式を表す言葉ではない。バッハ以前ドイツ作曲家にはこれをタイトルとした曲集がいくつか見られるが、形式の上統一共通点はない。バッハ以降、もしも楽曲分析などで一般的な意味での「インヴェンション」という表現用いられるとすれば、それは簡明ありながらよく整った様式技法の上模範的な対位法作品、というポジティヴ文脈において、あるいはバッハ珠玉作品へのオマージュとしてであろう。)
 作曲年代は1720-23年、バッハケーテン宮廷勤め数多く器楽曲生み出した時代にあたる。1720年バッハは、10歳になった長男フリーデマンのために音楽帖を作り始めたこの中に2声の《プレアンブルム》と3声の《ファンタジア》がハ長調ニ短調ホ短調ヘ長調ト長調イ短調ロ短調変ロ長調イ長調ト短調ヘ短調ホ長調変ホ長調ニ長調ハ短調の順で書き込まれている(ただし、3声のハ短調欠落)。配列調号の数に関係する。これを1723年清書した際には、楽曲そのもの改訂したほか、配列全音階順に改め、2声を《インヴェンション》、3声を《シンフォニア》と名づけた。

※「シンフォニア」の項もご覧下さい

 第5番 変ロ長調 BWV 776
 主題と対主題冒頭から同時に提示されるため、二重フーガ様相呈す2つ主題には、上行と下行装飾音付きのゆったりとしたリズム16分音符による無窮動分散和音順次進行といった、あらゆる対比含まれている。そのため、あまり複雑な対位法的処理をせずとも、各動機声部入れ替えるだけで多彩なヴァリエーション生まれる。奏者は更に、装飾音自由に施して、曲の経過に独自の色づけすることができるだろう。
 この曲がごく少な動機のみでも単調にならない理由は、もうひとつ、摸続進行巧みに用いて形成される調推移にある。主題そのもの属音上に終止するため、Es-Durで開始したのちすぐに属調(B-Dur)へ移る。その後冒頭の音型を通常2回のところ、左手含めて5回繰り返すことで、c-Moll への道を開く。が、第15小節で本来オクターヴ分散和音上行を短7度にすることで、f-Moll を確保するこの手法が次の4小節でも繰り返され、一旦 b-Moll へゆく。しかしそれも、第20小節から上行へ摸続するはずの冒頭動機下行し、再び f-Moll へと押し戻されてしまう。このように中間では、安定しない短調領域続いたが、第24小節跳躍両手とも2度多く飛ぶことで、遂にAs-Durへと抜け出し次の提示でEs-Dur への回帰を果たす。このように、曲全体主調を巡るドラマ織り成している。


2声のインヴェンション

英語表記/番号出版情報
カウエル:2声のインヴェンションTwo Part Inventions作曲年: 1947-50年 
ペッテション=べリエル:2声のインヴェンションInvention a 2 voci作曲年1897年 



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