1990年代の言及とは? わかりやすく解説

1990年代の言及

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/12/24 07:39 UTC 版)

オブジェクト指向」の記事における「1990年代の言及」の解説

1992年ACMからプログラミング言語編纂一環として執筆依頼されアラン・ケイは、翌93年の「The Early History Of Smalltalk」でオブジェクト指向原点としてのSmalltalkについて解説している。冒頭序章設計理念説明され第一章から第三章まではその着想元になったバロースB5000SketchpadSimulaFlex machineLISPなどの技術史記され第四章から第六章まではSmalltalk開発史が綴られている。ここでは序章から特徴的な要点のみを抜粋するSmalltalk's design—and existence—is due to the insight that everything we can describe can be represented by the recursive composition of a single kind of behavioral building block that hides its combination of state and process inside itself and can be dealt with only through the exchange of messages.(Smalltalk設計―及び存在―とは、私たち思い描け全てが、自己の態とプロセス結合内部隠蔽し個々振る舞い組立ブロック再帰構成によって表現され徹底的なメッセージ交換のみによって処理されるということだ。) 再帰構成すなわち再帰概念は、後続文にも繰り返し登場している。もっとも再帰一般知識であり、例えジョン・マッカーシーLISP設計recursive functions of symbolic expressions and their computation by machine.(記号式再帰関数群と機械によるその計算)と概略していた。メッセージ交換は、徹底的な疎結合および情報隠蔽英語版)を示唆している。 In computer terms, Smalltalk is a recursion on the notion of computer itself. Instead of dividing "computer stuff" into things each less strong than the wholelike data structures, procedures, and functions which are the usual paraphernalia of programming languages—each Smalltalk object is a recursion on the entire possibilities of the computer.(Smalltalk計算概念自己再帰である。コンピュータプログラムをその全体からの劣化要素データ構造手続き関数といった言語機能諸々分割していくのではなくSmalltalkオブジェクトそれぞれ計算総体可能性備えた再帰要素になる。) ケイ理想とする計算総体可能性反対である劣化要素への分割とは、いわゆる型システム導入指している。他の論考でもケイは特に静的型システムに対して否定的な見解示していた。 Philosophically, Smalltalk's objects have much in common with the monads of Leibniz and the notions of 20th century physics and biology. Its way of making objects is quite Platonic in that some of them act as idealizations of concepts—Ideasfrom which manifestations can be created. (哲学面でのSmalltalkオブジェクトは、ライプニッツモナド20世紀物理生物学思考との共通点見出せる。オブジェクト構築は、イデアから現象創生されるという全くのプラトニックである。) ここでのモナドObject情報隠蔽示唆しており、イデア論クラスインスタンス化示唆している。ただし、クラスもまたメタクラスインスタンス化とするような哲学は、非実用的であった言及されている。Object再帰構成するMetaobjectによる拡張性と、機能注入視点から継承再解釈したMix-inによる拡張性重視されており、それらを初めアプローチしたCLOSのMetaobject Protocolを、ケイ1997年OOPSLAOOPへの最も深い洞察評している。Objectモナドで言う”窓のない部屋”であるのに対して、Metaobjectは”部屋のない窓”であり、窓の向こう側にある部屋の中の窓の向こう側~という風に他者との繋がり(縁)で左右される自己対象表現していた。 第四章では、Smalltalk言語仕様六つ概略されている。 1, EverythingIsAnObject.2, Objects communicate by sending and receiving messages (in terms of objects). 3, Objects have their own memory (in terms of objects). 4, Every object is an instance of a class (which must be an object). 5, The class holds the shared behavior for its instances (in the form of objects in a program list). 6, To eval a program list, control is passed to the first object and the remainder is treated as its message. この和訳は以下のようになるが、ここでは長い説明避けて特徴的な要点のみを解説する。 すべてはオブジェクトである。 オブジェクトメッセージの送信受信によってコミュニケーションする。 オブジェクト自身記憶を持つ。 すべてのオブジェクトクラスインスタンスである。クラスもまたオブジェクトである。 クラスはその各インスタンス共有される振る舞い保持する振る舞いとはプログラムリスト・オブジェクトである。 プログラムリストの評価では、制御最初オブジェクト渡され残りはそのメッセージとして扱われる。 (2)は様々に解釈されるが、コミュニケーションするオブジェクトは、プロセスアクターとしての性格強くなる(3)記憶簡単に言うとフィールドプロパティ属性であるが、オブジェクト振る舞い制約するための私的環境示唆している。(4)は、クラスもまたメタクラスインスタンス化であるという再帰構成示唆している。(5)の振る舞い簡単に言うとメソッドであるが、LISPのフォームリストに似たオブジェクトとして保持されることを示唆している。(6)は、式内オブジェクトその時並べられ順序によって、いずれもコントローラ関数式)になり、いずれもがそれへのメッセージ引数)になることを示唆している。

※この「1990年代の言及」の解説は、「オブジェクト指向」の解説の一部です。
「1990年代の言及」を含む「オブジェクト指向」の記事については、「オブジェクト指向」の概要を参照ください。

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