阿久根市副市長として
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2010年7月25日、鹿児島県阿久根市の竹原信一市長の専決処分によって同市の副市長に選任された。2010年7月初旬に竹原市長から打診があり、7月中旬に講演のために訪れた群馬県で竹原と3日間行動をともにしたときに副市長就任の話が固まった。仙波は無報酬のボランティアでやることを自ら申し出た が、寄付行為になることが分かり適わないので、報酬の減額を申し出たうえで、減額後の給与も共済掛け金を除いて法務局に供託することにした。 8月2日、副市長に就任。副市長選任について竹原は議会を招集せず、地方自治法によって副市長の選任の条件とされている議会の承認を受けないまま、市長の専決処分によって行った。 これに対して鹿児島県知事伊藤祐一郎は、仙波の副市長人事は違法な状態での専決であり、法的効力に疑問がある、と批判した。このことによって鹿児島県は、仙波の副市長就任は法的に無効であるとして、仙波を副市長ではなく一般職員として扱う方針を県庁内に通達した。 また、仙波の副市長選任について、総務省行政課は「もともと違法な処分なら、不承認の議決以前に無効だ」との見解を示した が、いっぽうで同省の担当者はこの選任が8月25日時点で法的に有効な状態なのかについて「コメントできない。分からないとしか言いようがない」としている。 地方自治法第179条第1項において専決処分は「普通地方公共団体の議会が成立しないとき、第113条ただし書の場合においてなお会議を開くことができないとき、普通地方公共団体の長において議会の議決すべき事件について特に緊急を要することが明らかであると認めるとき、又は議会において議決すべき事件を議決しないときは、当該普通地方公共団体の長は、その議決すべき事件を処分することができる。」と定められている。 市職員の人件費に関する張り紙をはがしたとして懲戒免職処分となり、鹿児島地裁で免職処分の効力停止が認められたものの、市側から復職を拒否されていた職員を、8月3日から復職させた。 8月16日の課長会で、市役所の中枢である総務課・企画調整課・財政課に所属する職員全員に市職員労働組合からの脱退を求め、それに従わない職員は配置転換も検討する方針を示した。これに対して自治労鹿児島県本部は、組合員であることを理由にした配置換えに言及した点について、不利益な取り扱いを禁じた地方公務員法の規定に違反する可能性がある、と反発している。 8月25日、約半年ぶりに竹原市長が市議会に出席し、仙波の副市長就任人事案が審議されたものの、議会は同案を否決した。副市長に関する審議では、反市長派の議員から「専決処分は地方自治法に反する。仙波が副市長席に座っていること自体が問題だ」との批判が出た。それに対して仙波は「手続きは踏んだ。専決処分が議会の議決に優先するので私は完全に副市長だ」と述べた。この発言について鹿児島県知事伊藤祐一郎は、「(議会に)報告さえすれば正当性を得られたように振る舞うのはいささか不可解。法的な正当性があるとは考えていない」と批判した。 議会運営委員長の櫁柑幸雄は、「議会が副市長と認めていないのだから自主的に退席するのが筋だ」と批判した。 仙波は、自分の副市長就任案が議会で不承認とされた場合でも「司法の場で違法と判断されない限り辞めない」と主張した。これについても伊藤知事は「面白い考えだ」と疑問を呈した。 8月26日の市議会終了後の記者会見で「仙波氏」と呼びかけた記者に対し、仙波は「あなたは(私を副市長と)認めてないんですか。認めないんですね」と詰め寄る一幕をみせた。 2010年9月17日に総務大臣に就任した片山善博は、「総務大臣としてというよりも一人の地方自治法に関心の深い者」として「専決処分というのは厳格に要件が決まっている。阿久根市の今回のケースはこの要件を満たしていない。そもそも市長は議会を招集していなかったのだから違法であり、その違法な状態で行った専決処分も根っこから違法。副市長の選任もすべて無効」との認識を示した。 9月29日の阿久根市議会は、仙波の副市長選任を無効とし、さらに議場からの退席を求める決議を賛成多数で可決した。また、市長との会談における市議会議長の発言について市長派議員が追及したものの議長が答弁を拒否、休憩に入った後、議長の答弁を求めて市長派議員が鍵をかけ議場を封鎖、反市長派議員が扉を押し切って議場になだれこむという混乱状態となった。再開された議会では、決議にもとづいて議長が仙波の議場からの退席を要求したが、竹原市長はこれを拒否した。 10月25日、仙波を違法な専決処分で副市長に選任し、8月以降阿久根市に月給38万400円を支払わせて損害を与えたなどとして、九州・沖縄8県と秋田県の弁護士25人が竹原市長を背任容疑で鹿児島地検に刑事告発した。同地検は10月28日付で告発状を受理した。告発人共同代表の3人の弁護士はいずれも自由法曹団団員で、うち1人は仙波が裏金を告発した際の代理人の1人でもあった。 2009年4月に降格させ、市公平委員会が2010年2月に降格処分の取り消しを決定した職員3人について、竹原市長は仙波の説得に応じ、10月22日・26日付で元の役職に復帰させた。 11月22日、仙波の提案により、退職を申し出た総務課長(選挙管理委員会事務局長兼任)の後任に群馬県警の大河原宗平元警部補を任命した。市役所の課長クラス全員に就任を断られたため外部からの登用となったという。
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