親なるもの 断崖
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2024/01/17 07:38 UTC 版)
『親なるもの 断崖』(おやなるもの だんがい)は、曽根富美子による日本の漫画作品。1992年、第21回日本漫画家協会賞優秀賞を受賞[1]。2010年代になって電子書籍化された際に再度話題となり、紙の書籍としても再版された。中島みゆき「断崖 -親愛なる者へ-」とは無関係。
注釈
- ^ 「化粧を落としたら 素人娘と変わらない」(女将)、晩年一緒に暮らしていた姉妹の姉からは「ほんとうにきれいな顔」と言われている。
- ^ 男達に言い寄られる事を恐れてか、わざと顔を黒くして老け顔にしていた(晩年、一緒に暮らしていた姉妹の姉が「なぜだかおかあさんはいつも顔を黒くしていたから」と、道生と茂世に打ち明けた)。
- ^ 幕西へ行く道中、梅たちに対し「おらなんか 始めから売り物にされるために育てられたんだ」と話していた。なお、長兄は跡取りで次兄は用心棒だとのこと。後に富士楼に売られて来た武子の幼馴染の少女が彼女と再会した際に「(武子の親から)「武子には苦労をかけた」と言っていた事を伝えると共に「武ちゃんの好きな大根のぬか漬けを渡すように頼まれた」と大根のぬか漬けを差し出す場面があり、実際には愛情を持って育てられていた様子(この際武子は没落した公家の娘「九条」として振る舞い、受け取りを拒否した)。
- ^ 富士楼へ売られてきた際に女将から「13歳でこの色気」と言われている他に富士楼へ向かう道中、松恵から「おめえ(武子)の評判はおらの村まで聞こえていた」「孝行娘を娘を持つと金になる」「あすこの親(武子の親)は幸せ者だべ」との村の評判を武子に伝えている。
- ^ 売られて来た当日、武子は自分から「ふつつか者ですがお願いします」と女将に挨拶をした。
- ^ 女将から「京言葉」を教えられ、京言葉を話すようになる。
- ^ その際、自身の両親の夜の営みを引き合いに出して、教えていた。
- ^ 昭和19年に、その大林を殺害。遺体を遺棄するため地球岬へ行った際。これまでの半生(女将の追放や半玉修行時代等)を振り返り、「うちは鬼じゃ」とつぶやいていた。
- ^ 父親から「顔もまずくて体もずんぐり、こったら女(おなご)に育ちやがって」と罵倒されている他、富士楼に売られてきた際女将から「お前のような不器量さで人様の前に出られると思っているのか」「その顔で幕西の最低料金でも客がつくかどうか」と言われている
- ^ 父親から容姿の悪さを罵られた挙句「この親不孝者が」と詰られた。
- ^ 当初、道子の思いを聞いた梅は「女郎になっても何もいい事はない」と道子を諭し反対したが、道子が涙ながらに「きれいなべべ(着物)着て男取りてぇ」と訴えた姿に心を動かされたため。なお、梅を通じて女将に願いを申し出たのは自分(道子)が直接言うよりも女将に信頼されている梅が話した方が聞き入れてもらえると思った事から
- ^ 栄養失調が原因と思われるが、具体的な病名は不明
- ^ 梅いわく「(店は)あばら屋に土ベタでゴザ敷いて座って客寄せをする」との事。もちろん、「富士楼」のように「本部屋」(※女郎が生活する部屋。そこで寝起きして、客を取る。)はなく、他の女郎達と相部屋。
- ^ その際梅の振袖(武子から貰った物)を無断で持ち出している。山羊楼に入店した当初はこの振袖を着ていたが、日が経つにつれて汚れてしまったため(劣悪な環境の為、着物の手入れが出来なかった)、着物の代わりにゴザを巻きつけていた。
- ^ しばらくしてから、海から遺体が引き上げられた。
- ^ 女郎として客を取る事になった「初見世」の際、その様子を物陰から見ていた武子や道子からも「化粧した松恵さんはきれい」と美貌を評価している
- ^ 松恵の死後「(相手の男性に対しては)「奉公に出る」とだけ言い、逃げるように村を出てきた」と梅が武子や道子に話した。
- ^ 16歳という年齢から女将に、「半玉から始めるには歳が行き過ぎている」と言われているのと共に、体付きを確認され「小柄だけどもう大人の体だ」と言われている。
- ^ 本来は女将や従業員達から手練手管を教えられてから店に出るが、松恵の場合は何の指導もないまま客をとらされた。松恵の訃報を知った他の女郎たちが「(松恵に)ちゃんと教えてあげてから客を取らせればいいのに」と女将を非難する場面がある。
- ^ 武子が駆け落ち相手との間にできた赤子を殺害。さらには「一本立ち」直前、大林との閨での手練手管を教える際。その出産を引き合いに出し「とても子供ひとり産めた体とは思えない」とつぶやき、武子から殺意を抱かれた。
- ^ 昭和19年の時点で、昆布漁に精を出していた。すでに当時、戦争の影響で幕西遊郭は開店休業状態であり、お滝が暮らしていた漁村に、職を失った女郎達が流れ着いていた。
- ^ 彼女達のためにうどんを注文し「富士楼」へ出前を頼んだところ、女将から蹴飛ばされた(女将曰く「幕西遊郭に一歩でも入ったら芸妓には芸妓の、娼妓には娼妓の食いもんがある」)。だが松恵たちは必死になって散らばったうどんを拾ってすすっていた。
- ^ 直吉は別の見世に「3年といない」と噂される番頭だったが、「富士楼」には7年以上在籍している。なお、「数年前に幕西へふらりと現れた頃には 懐に札束がごろりと入っていた」との事(武子談)。
- ^ 相手が軍部であった事から、表沙汰には出来ず「富士楼」に医師を呼び、手当てを受けた。
- ^ 「あの学生さん(聡一)本気で 夕湖さんに惚れてるだ」と言う場面がある。その他、2人が初めて結ばれた冬の日の事を振り返るなど。
- ^ 「見立て」とは、女郎として店に出す前に男衆が検分すること。
- ^ 同輩の女郎いわく「サチコはアーメンだろ」
- ^ 検梅とは、女郎が性病に罹患していないか検査する事。
- ^ 検梅の際は検査の直前まで、仲間の女郎達がサチコの陰部の膿を何度も拭き取って性病の罹患が医師に発覚しないよう彼女を庇っていた事が作中で語られている。性病の罹患が発覚した場合には店を追い出される恐れがあるため。
- ^ 「富士楼」の裏手にある。何らかの理由(※性病やモルヒネ過剰摂取、客にいたぶられた事で精神に異常をきたしたり、自殺未遂したりなど)で張見世に出せない女郎の部屋。のちに聡一との駆け落ちに失敗した梅が連れ戻されて、入れられた。
- ^ 茂世が友人からの手紙で、梅の訃報を知る。直後に父と小樽へと向かい、そこで姉妹から今際の際での話を聞かされた。
- ^ 昭和9年当時からかなり羽振りが良い会社で、女将いわく「良家の娘だって 日鉄の家に嫁に入りゃ「玉の輿」と言われる!!」ほど、優良企業である事がわかる。
- ^ 母親いわく「鉄ぐるい」。
- ^ 室蘭市は、起伏の激しい土地であることから、防空壕は横穴式の作りが多かった事が明かされている。
- ^ 昭和19年時点で、父親が出征・戦死した事が明かされている(道生いわく「つぐじの父さん 骨も帰ってこなかったんだぞ」)。
- ^ 偶然、地球岬へ遊びに来ていた道生たちに発見された(その際、カラスの大群が現れたのを見咎めた道生たちが、ミイラ化していた遺体を発見。)。
- ^ この時代は、表現の自由が無いに等しく、出版物の検閲は厳しく行われていた。
- ^ 聡一が梅と駆け落ちしようとした日、病に倒れたが医師であるにもかかわらず、千歳町から往診を頼んだ。
- ^ 水揚げとは、初めて客を取る事。
出典
- ^ “歴代受賞者>第21回(1992年度)”. 公益社団法人日本漫画家協会. 2015年6月19日閲覧。
- ^ “4人の女郎を描いた物語、『親なるもの 断崖』への思いを語る”. アイティメディアニュース. 2015年7月8日閲覧。
- ^ “インターネットで47万ダウンロード超!話題沸騰作品の新装版!『親なるもの 断崖』2015年7月10日刊行”. 産経ニュース. 2015年7月22日閲覧。
- ^ “昭和初期の女郎を描いた衝撃作『親なるもの 断崖』が新装版で蘇る!”. ダ・ヴィンチニュース. 2015年7月8日閲覧。
- ^ “単行本未収録の読切も収録!特装版『親なるもの 断崖』全4巻配信”. 小学館コミック (2017年1月20日). 2021年9月2日閲覧。
- ^ “特装版「親なるもの 断崖」1”. 2021年9月2日閲覧。
- ^ “特装版「親なるもの 断崖」2”. 2021年9月2日閲覧。
- ^ “特装版「親なるもの 断崖」3”. 2021年9月2日閲覧。
- ^ “特装版「親なるもの 断崖」4”. 2021年9月2日閲覧。
- 1 親なるもの 断崖とは
- 2 親なるもの 断崖の概要
- 3 概要
- 4 コミックス
「親なるもの 断崖」の例文・使い方・用例・文例
- 断崖のてっぺんに古い城が立っている。
- 断崖(だんがい).
- (断崖を)ザイルで登る[降りる].
- その小道は断崖(だんがい)の縁に接している.
- 行く手をはばむ険しい断崖(だんがい).
- 断崖(だんがい)のすそを波が洗っている.
- その断崖は海に洗われている.
- 大波が(甲板の)上に[断崖に]打ち寄せた.
- あの断崖から落ちれば十中八九助かるまい, と誰しも思うはずだ.
- 私たちは必死で断崖をよじ登った.
- 断崖絶壁
- 断崖から墜落する
- 曲がりくねった断崖
- ジャクソンの西へのミシシッピー川の上の断崖の西ミシシッピーの町
- 断崖絶壁の,犬も通れないような場所
- 犬戻りという,断崖絶壁の犬も通れないような場所
- 山の一方が断崖になっていること
- 断崖から露出して伸びた竹の地下茎
- 道が断崖に沿っていること
- 親なるもの断崖のページへのリンク