舞踊・音楽とは? わかりやすく解説

バレエ音楽

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出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/05/25 07:02 UTC 版)

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バレエ音楽(バレエおんがく)は、バレエ伴奏を目的として作曲された音楽。もともとバレエのために作曲されたものだが、バレエ以外のダンスの伴奏になることや、それ自体が音楽作品として演奏会で演奏されることもある。

概要

バレエの付随音楽は、専用の音楽を作曲家が作曲する場合と、既存の音楽を編曲するなりしてバレエとして用いる場合がある。現在でも後者の形式での上演は多く、時として録音音源を元に上演を行うことさえあるが、作曲家が一つのバレエ専用に作曲した音楽をオーケストラ伴奏によって演奏する形式のバレエは音楽目的を兼ねた鑑賞としても人気が高い。

既存の楽曲をバレエ用に転用、またはオリジナルがピアノ曲の場合はオーケストラに編曲して使用することもあるが、ごく一部の楽曲は現在でも一定の支持を得ている。

など。

またグランド・オペラと呼ばれるパリを中心としたオペラ上演の形態は、途中にバレエを挟むことが慣例とされ、その間は歌唱を伴わない器楽曲が演奏され、それを元にバレエの上演が行われた。こうした楽曲が現在では独立してレパートリーとなっているものもある。

また一部の作曲家はパリでのオペラ上演に際してグランド・オペラの形態に書き直しを求められ、過去の自作を転用したり、改めてバレエの部分のみ新たな楽曲を作曲することもあった。

  • ビゼー:歌劇「カルメン」よりバレエ音楽(同じ作曲者の「アルルの女」の「ファランドール」が転用されている。古い出版譜にはこの曲も含まれるが、現在の原典版のオペラ上演ではまず省略される)
  • ヴェルディのオペラにはバレエの場面が良く登場する。「シチリア島の夕べの祈り」、「ドン・カルロ」、「アイーダ」、「オテロ」などはこの例である。また特に記されていなくとも「椿姫」や「リゴレット」、「仮面舞踏会」などの宴会のシーンには踊りを入れるのが普通である。
  • ワーグナーの歌劇「タンホイザー」にはドレスデン版とパリ版・ウィーン版があり、パリ版以降では序曲の後に続けてバレエ音楽が含まれる。ただし当時のパリ・オペラ座ではバレエは後半に上演されることが慣例で、バレエ目当てに遅れて入場する観客も少なからずいたため、この配置に不満を持った常連客が乱闘騒ぎを起こす大スキャンダルとなった。

バレエ音楽は原則として歌唱を伴わず、バレエ・ダンサーが歌うことはまず無い。ミヨーはバレエ音楽においてダンサーに簡単な歌を歌うことを求めたが、本番になってダンサーは歌を歌わず、トラブルになったことがある[1]。また、後ろで合唱などが歌詞を伴って歌うことも無い(ヴォカリーズに関しては下記参照)。しかし現代におけるオペラの演出として、本来バレエ音楽として意図されていない場面で舞台にバレエを取り入れながら歌手が歌うことは、稀にありえる。また、オペレッタはバレエ場面が挿入されるのはもとより、全体に舞踏場面が多いため、特に地方歌劇場でオペレッタ上演の多いドイツ圏では合唱団員などに踊りの基礎が要求されることが多く、ダグマール・コルラーらバレリーナから転じた歌手も存在する。

ラヴェルのバレエ作品『ダフニスとクロエ』は、歌詞を伴わない母音のヴォカリーズ合唱が取り入れられている。バルトークの「中国の不思議な役人」にもパントマイムではあるがヴォカリーズの合唱がある。

その他、18世紀のフランスで流行した、途中に本筋とは関係の無いバレエを挟む「オペラ・バレエ」と呼ばれる歌劇がある。19世紀には主流がロシアに移った。

など。

オリジナル音楽の歴史

19世紀後半まで、バレエ音楽は音楽家にとってそれほど重要なジャンルとはみなされておらず、「芸術家」の仕事ではなくどちらかというと「職人」の仕事だとみなされていた。ベートーヴェンの「プロメテウスの創造物」は、近年までその序曲のみが音楽史のレパートリーとして残り、他のバレエ付随音楽は長いこと忘れ去られてきた。ただし近年では全曲の復活上演も行われている。

アダン1841年の作品『ジゼル』が近代バレエ音楽の幕開けと言われる。一部をブルグミュラーなど他の作曲家が補筆して嵩増ししているものの、一定の動機を劇全体に用いた音楽として現在でも音楽単体でも演奏される。

19世紀後半の、チャイコフスキーの3大バレエ(『白鳥の湖』、『眠れる森の美女』、『くるみ割り人形』)は現代でも最も人気のある作品群となっている。

20世紀初頭のパリでは、ディアギレフが率い、ニジンスキーを主役としたバレエ・リュス(ロシア・バレエ団)が近代音楽の幕開けの一端を担った。彼らはフランス人およびフランスで活躍する作曲家に次々と新作バレエ音楽を委嘱した。代表的なものは次の通りであり近代音楽の傑作と言える。

など。

しかし、これらをしのいで特に音楽史に決定的な影響を与えたのは、ストラヴィンスキーの「三大バレエ」と呼ばれる作品群であり、特に「春の祭典」はその初演が大混乱に陥ったことで有名である。

バレエ組曲

バレエ組曲は、バレエ音楽の中から作曲者が主要曲を抜粋し、場合によっては多少の手を加えて、演奏会用の組曲として編集したものである。ひとつの作品からいくつかの組曲を作る場合は「第1組曲」「第2組曲」などとする。

例えば、

主な作曲家と作品

生年順に並べている。

出典

  1. ^ ダリウス・ミヨー『ダリウス・ミヨー――幸福だった私の一生』別宮貞雄訳、音楽之友社、1993年3月。ISBN 978-4-27-622672-2

舞踊・音楽

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/06/10 18:03 UTC 版)

バリ島」の記事における「舞踊・音楽」の解説

バリ島祭礼儀礼には、必ず舞踊が伴う。そうした舞踏・音楽芸能についていえば、舞踊芸術ケチャレゴン、バロン・ダンス、憑依舞踊サンヒャン・ドゥダリ、そして、これらの伴奏にも使われるガムランやジュゴグ(竹のガムラン)がよく知られている。これらは、確かに元来共同体宗教儀礼として行われてきたものであるが、実際に観光客見せているのは、共同体祭祀からは切り離され観光用仕組まれレパートリーである。 その成立過程見てみると、オランダ植民統治時代当時中心地シガラジャでクビヤールと呼ばれる舞踊・音楽・ガムラン編成生まれている。そして、1920年代後半観光客を運ぶ運転手通じて瞬く間南部にも広がり観光のための創作活動盛んになり、こうして舞踊芸術宗教的文脈から切り離されていったのである。 たとえば、バロンランダ戦いモチーフとしたチャロナラン劇は、そもそも宗教儀礼として19世紀末成立したのであるが、トランス状態陥った男性クリス胸を突くといった場面見られる21世紀現在演劇性に富んだ形態は、1930年代前後に「観光客分かりやすく見せるために」成立し島内広まったのである今日バリ舞踊芸術は、宗教的な重要性に応じて、以下の3段階に区分されている。 タリ・ワリ(tari wali) 共同体宗教儀式そのもの、または儀式完結するものとして機能する舞踊。「ワリ」は「捧げ物」ないし「供物」を意味する。ルジャン、ペンデット、サンギャン、バリス・グデなどが含まれるタリ・ブバリ(tari bebali) ワリ比べて儀式性、限定性は弱いが、宗教儀式伴奏あるいは奉納芸として機能する。トペン、ガンプーなど。 タリ・バリ=バリアン(tari balih-balihan) タリ・バリ=バリアンは「見せ物」を意味し観賞用娯楽用に作られたものを指す。クビヤール・スタイルのものはこれに属する。

※この「舞踊・音楽」の解説は、「バリ島」の解説の一部です。
「舞踊・音楽」を含む「バリ島」の記事については、「バリ島」の概要を参照ください。

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