職務と権限
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/05/19 14:49 UTC 版)
監査役は取締役の職務執行を監査するが、何を、どのような手段で監査するのであろうか。以降、断りのない限り一般的な株式会社の監査役についてみていく。 監査役は会社の会計監査を含む業務監査を行う(381条1項)。しかし、争いはあるがその権限は適法性監査にとどまり、妥当性監査には及ばないと考えられている。つまり、取締役の職務執行行為が違法であったり、また著しく不当である場合には取締役の善管注意義務違反(330条、民法644条)として法令違反となる可能性があることから監査の対象となるが、その行為が妥当かどうかは取締役の裁量の問題(経営判断)であって、経営者ではない監査役は介入すべきではないというのである。 子会社に対しても、その職務を行うため必要があるときは、監査役設置会社の事業の報告を求め、又は業務及び財産の状況の調査をすることができるが、子会社は、正当な理由があるときは、同項の報告又は調査を拒むことができる(381条3項・4項)。 公開会社でない会社(非公開会社)であって、さらに監査役会・会計監査人を設置していない会社においては、定款で定めることによって監査役の権限を会計監査に限定することもできる(389条1項)。そして、監査役の権限を会計監査に限定している会社は監査役設置会社の定義に当たらない。したがってこの場合は、381条から386条までの規定が適用されない(389条7項)。 なお、会社法の施行に伴う関係法律の整備等に関する法律53条により2006年4月30日以前に設立された株式会社で公開会社には当たらない旧商法特例法による小会社に該当する株式会社には、特に定款の定めがなくても監査役の権限について会計監査に限定する旨の定款の定めがあるものとみなされる。 会計調査権限会計監査人設置会社・会計参与設置会社については、会計監査について会計監査人(公認会計士・監査法人)や会計参与(公認会計士・監査法人・税理士・税理士法人)が関与する。 会計監査人設置会社において、株主総会における会計監査人の選任及び解任並びに会計監査人を再任しないことに関する議案の内容の決定は監査役(監査役が2人以上ある場合は監査役の過半数をもって、監査役会設置会社は監査役会)が決定する。 取締役が会計監査人等の報酬等を決定する際の同意権(監査役が2人以上ある場合は監査役の過半数をもって、監査役会設置会社は監査役会に同意権)を有する。 会計監査人に職務上の義務違反等があることを理由に監査役全員の同意により、監査役(監査役会設置会社は監査役会)は株主総会決議を経ることなく会計監査人を解任することができる。 各種調査権事業報告請求権・業務調査権監査役の側から積極的に動く事もでき、報告請求権や調査権を駆使した監査(381条2項、旧商法274条2項)がそれである。つまり、監査役は必要に応じて取締役や支配人などに対して会社の事業の報告を求め、または会社の業務及び財産の状況を調査する事ができる。 子会社の調査権調査の権限は子会社に対しても及ぶ(381条3項、旧商法274条の3)。 取締役会への出席義務、招集権監査役は取締役の違法行為などを事前に防止しなけらばならない。そのため監査役は取締役会に出席し、必要に応じて意見を陳述しなければならない。ただし、監査役が2人以上ある場合において、特別取締役による議決の定めがあるときは、監査役の互選によって、監査役の中から特に取締役会に出席する監査役を定めることができる(383条1項、旧商法260の3第1項)。これにより違法または著しく不当な取締役会決議がなされる事を防ぐのである。 また、取締役による法令または定款違反行為のおそれがある場合にも取締役会へ報告する義務を負っており、そのための取締役会招集をする事ができる(383条2項~4項、旧商法260条の3第2項~第4項)。 それと同時に、取締役も会社に著しい損害を及ぼすおそれのある事実を発見した場合には監査役に報告しなければならない(357条1項、旧商法274条の2)。このように取締役と監査役はともに監査機関として協調する体制が整備されている。 株主総会への意見報告株主総会へ提出する議案について法令もしくは定款違反の事項または著しく不当な事項があることを発見した場合には調査の結果を株主総会へ報告する義務があり(384条、旧商法275条)、株主総会の招集通知に添付される監査報告書に不正行為などの事実を記載しなければならない。 違法行為の差止め請求権違法行為等を阻止するため監査役のとるべき手段がある。まず、違法行為等の差し止めを請求できる(385条、旧商法275条の2)。これは義務でもある。 提訴権裁判所の力を借りて違法行為等を阻止・是正する。 監査役設置会社における取締役と会社が利益相反する場合における会社代表権等監査役設置会社が取締役(取締役であった者を含む。)に対し訴訟を提起する場合または取締役が監査役設置会社に訴えを提起する場合は監査役が会社を代表する。 株主から取締役に対する責任追及の訴えの提起請求があった場合監査役が会社を代表する。 株主代表訴訟を提起された場合において、会社が取締役、清算人またはこれらの職にあった者のために参加する場合は、監査役全員の同意が必要である。 取締役の責任免除議案等提出同意権取締役の軽過失による任務懈怠により生じた損害賠償請求権を会社が法令の範囲内で一部免除する議案を株主総会に提案する場合には監査役全員の同意が必要である。 定款の定めにより取締役の軽過失により生じた任務懈怠責任による損害賠償請求権を法令の範囲内で取締役(責任を負う取締役を除く。)の過半数の同意または取締役会設置会社にあっては取締役会決議で一部免除することができる定款変更議案を株主総会に提出する場合、定款の規定に従って取締役の責任を一部免除するため取締役の過半数の同意を得る場合または取締役会設置会社にあっては一部免除議案を取締役会に提出するには監査役全員の同意が必要である。 非業務執行取締役を対象として軽過失により生じた任務懈怠責任による損害賠償請求権を法令の範囲内で責任を限定する契約を締結することができる旨の定款を設ける議案を株主総会に提出する場合には監査役全員の同意が必要である。
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職務と権限
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監査役(監察人)は会社(公司)の業務の執行を監督する。監査役(監察人)は随時会社の業務および財務状況を調査し、監査役(監察人)は計算書類を監査し、取締役会(董事會)または執行役員(經理人)に提出や報告を請求することができる。監査役(監察人)は監査の事務について、会社を代表して弁護士(律師)や会計士(會計師)に監査を委託することができる。監査役(監察人)は、取締役会(董事會)に出席して意見を述べることができる。監査役(監察人)は、取締役会(董事會)が株主総会(股東會)に提出しようとする議案、書類その他を調査し、調査の結果を株主総会股東會)に報告しなければならない。監察人(監察人)この調査を、会計士(會計師)に委託することができる。各監査役(監察人)は単独で監査権(監察權)を行使することができる。
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職務と権限
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/11/20 07:07 UTC 版)
大型自動車使用者等は、整備管理者に対し、その職務の執行に必要な次の権限を与えなければならない。(道路運送車両法 第50条第2項、道路運送車両法施行規則 第32条) 日常点検の実施方法を定めること 日常点検の実施結果に基づき、運行の可否を決定すること 定期点検を実施すること 上記の点検のほか、随時必要な点検を実施すること 日常点検、定期点検又は随時必要な点検の結果必要な整備を実施すること 定期点検及び必要な整備の実施計画を定めること 点検整備記録簿その他の点検及び整備に関する記録簿を管理すること 自動車車庫を管理すること 上記に掲げる事項を処理するため、運転者、整備員その他の者を指導し、又は監督すること 整備管理者は上記事項の執行に係る基準に関する規程(整備管理規程)を定め、これに基づき、その業務を行わなければならない。なお、整備管理者には整備の実施について権限が付与されるが、整備作業そのものを整備管理者自身が実施する義務はなく、外部の整備工場などに定期点検整備を依頼してもよい。
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職務と権限
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/05/15 20:16 UTC 版)
ロシア連邦政府の基本指針の決定。 副首相と各大臣を任命し、大統領に承認を得る。 ロシア連邦政府を代表する。 政府幹部会で議長を務める。 ロシア連邦政府の活動を大統領に伝達する。 大統領が辞任した場合、罷免された場合、又は健康上の理由により職務遂行ができない場合は、3ヶ月以内に実施される大統領選挙まで大統領代行を務める。 首相官邸は、連邦政府庁舎であるホワイトハウス(モスクワ)にある。
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