給特法の影響とは? わかりやすく解説

給特法の影響

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/06/15 15:37 UTC 版)

学校における働き方改革」の記事における「給特法の影響」の解説

教職員長時間労働根本的な原因には、昭和46年制定の「公立の義務教育諸学校等の教育職員の給与等に関する特別措置法」(給特法)で時間外労働が「自主的な活動」とされている点が指摘されている。この法に基づき公立学校教員には、時間外勤務手当及び休日給が支給されない代わりに給料月額の4%に相当する教職調整額が支給されている。 義務教育諸学校等の教育職員給与に関する特別措置教職調整額については、各自治体条例定める。東京都においては義務教育諸学校等の教育職員給与に関する特別措置に関する条例」で規定され、「給料月額百分の四に相当する額の範囲内において人事委員会承認得て教育委員会規則定める額」とする。仮に教職調整額を廃止し残業代支給した場合平成28年度調査時点国庫負担金で3,000億円、地方負担分も含めると9,000億円が必要とされる戦後労働法関連諸法規が制定された際に教師労働者一員として基本的に労働基準法適用されることになり、8時間労働制定め労基法32条、時間外労働の手続や残業手当について定め36,37 条も適用され残業に対して手当支払われるべきものとされたことが影響している。当時国指導にも関わらず現実には残業手当支払われなかったことが起こり残業手当請求訴訟繰り返し提起され判決法律の規定に従って手当支払い命じた。これに対応し文部省教師勤務状況調査し残業実態把握し平均的時間数月間8時間程度)に見合うものとして「教職調整額」を基本給の4%とし、当時としては平均的な残業分の手当て含まれた。この法令研究した萬井隆令は、現代の状況指し教師精神障害多発しているが、長時間労働一因考えられるとの意見がある。 また、給特法とは関係なく労働基準法適用となるはずの私立学校教員も、その多く残業代払われていないとの指摘もある。 ただし現状でも公立学校教員勤務時間その他の勤務条件は、一部規定除き労働基準法適用される具体的に勤務時間給与負担者である各都道府県及び政令市条例等によって定められる使用者は、労働者に、休憩時間除き1週間について40時間超えて労働させてはならない使用者は、1週間各日については、労働者に、休憩時間除き1日について8時間超えて労働させてはならない規定されており、教育公務員はその制約を受ける。 昭和46年制定の「給特法」では、公立学校教育職員時間外勤務命じるには、次の超勤4項目に該当する場合のみ公務のために臨時必要がある場合、健康及び福祉害しないように考慮しなければならないとされており、それ以外労働基準法36協定を必要とする。「超勤4項目」とは次に該当するもので、「公立義務教育諸学校等の教育職員正規勤務時間超えて勤務させる場合等の基準定め政令」で定められている。 イ 校外実習その他生徒の実習に関する業務修学旅行その他学校行事に関する業務職員会議設置者定めところにより学校置かれるものをいう。)に関する業務非常災害場合児童又は生徒指導関し緊急の措置を必要とする場合その他やむを得ない場合必要な業務 2019年4月から労基法改正により、時間外勤務をする場合には上限規制前提となる36協定締結への対応が各事業所求められることとなり、地方自治体でも協定が必要となる。なお、日本労働組合総連合会2019年調査では「会社残業命じるためには、36協定締結が必要」の認知率55%であり改正労基法4月施行後課題残り、「勤め先36 協定締結されている」59%に留まるとしている。 一方で昭和23年3月施行政府職員の俸給等に関する法律教員はその勤務特殊性から、一応1週48時間以上勤務するものとして一般公務員より有利に切り替えられ、また同年5月には政府職員の新給与実施に関する法律制定され、ここでは調整号俸という形で一定の基礎号俸の上1,2号俸積み上げている。ここで超過勤務支給されないこととなった。 なお、公立学校教員給与は、市町村立学校職員給与負担法により都道府県負担し、その半額国庫負担となっている。ただし兵庫県明石市では小学校1年生教員国基準1クラス35人を、市独自基準人件費負担して30人学級にしているところもある。更に、昭和49年施行となっている学校教育の水準の維持向上のための義務教育諸学校の教育職員の人材確保に関する特別措置法では、一般公務員より教員給与優遇する措置取られてきた経緯がある。しかし現職の教員からは、人材確保法で25%引き上げられ優遇措置不況による教員への風当たりによって経費削減が行われた結果文部科学省資料では一般行政職と比較して2021年現在では2%程度高い程度で、それに4%が加わる現状との見解示されている。現在の教員残業代実体化すると、国庫負担ベース3,000億円を超え自治体負担分を合算する総計では9000億円と文部科学省により試算されている。実質教員1人あたり毎月10万程度残業未払との指摘がある。

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