給特法改正と変形労働時間制の導入
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/06/15 15:37 UTC 版)
「学校における働き方改革」の記事における「給特法改正と変形労働時間制の導入」の解説
文部科学省は2019年6月、公立小中高校の教員が夏休み中に休日をまとめ取りできるよう、学校の夏季休暇中の業務を減らす指針を出した。なお、2019年の給特法改正参院附帯決議では「2、3年後を目途に教育職員の勤務実態調査を行った上で、本法その他の関係諸法令の規定について抜本的な見直しに向けた検討を加え、その結果に基づき所要の措置を講ずること」(12項)とされている。 2020年12月、給特法が改正され、公立学校教員の勤務時間を年単位で調整する「変形労働時間制」が導入され、自治体の判断により2021年度から、変形労働時間制を活用した「休日まとめ取り」が可能となる。 しかし、2020年4月からの新型コロナウイルス感染症対策として全国で小中学校の休校が相次ぎ、その代償として学習指導要領のカリキュラムを履行するため、夏休みを返上を表明している自治体も出ていると報道されている。このような場合、夏休みに休日まとめどりを行うことが不可能となって来る。都道府県で条例を制定し21年度から導入することが可能だが、地方議会において反対の動きが出ていると報道されている。2020年12月現在、教職員の勤務時間をタイムカードなど客観的な方法で把握している教育委員会が、都道府県は9割を超えた。教職員の「変形労働時間制」条例の制定は今年度中に予定としたのは12道県で、指定市はゼロと報道されている。ただし、コロナ禍による休校の影響で教職員の残業は減少傾向にあった。学校行事の中止や延期、部活動の自粛によって減った残業は、しかしその後夏休みの短縮と教員による消毒作業などにより再び増加傾向に転じた。精神疾患による休職者数・割合は2009年度のピーク後は減少傾向にあったが近年再び増加傾向に転じ、2019年度は全教育教員に占める割合は2009年度と同じ0.59%だが数は5478人と上った。その後の2020年度のコロナ禍への対応による残業悪化の影響が懸念されている。なお、2005年時点でも病気休職者中で精神疾患休職者の割合は、文部科学省の調査によると、1980年代は20~30%に止まっていたが、2005年調査では56.4%に至ることが問題視され、大規模な健康調査を行った財団法人労働科学研究所酒井一博は、労働基準法の規定どおりの勤務時間にすることと、安全衛生活動を実践することなどを提言していた。残業時間の正確な把握については、超過勤務手当が4項目しか出ないため把握する必要性がないことから長年、ほとんどの学校で勤務時間の正確な把握は行われてこず、把握に努めだした2020年現在でも過少申告や虚偽申告が横行し、ICカードやタイムカード等による勤務時間での把握は都道府県(おもに県立高校や県立特別支援学校等)では66.0%、市区町村(おもに小中学校)では47.4%にとどまっている。日中も多忙であり、教員の1日の休息時間は小学校で平均で6分ほど、中学校で平均8分と報道されている。
※この「給特法改正と変形労働時間制の導入」の解説は、「学校における働き方改革」の解説の一部です。
「給特法改正と変形労働時間制の導入」を含む「学校における働き方改革」の記事については、「学校における働き方改革」の概要を参照ください。
- 給特法改正と変形労働時間制の導入のページへのリンク