紛争の激化
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2008年4月、バハ・カリフォルニア州における反麻薬キャンペーンの担当者だったセルジオ・アポンテ将軍は地元の警察に対していくつかの横領の申し立てを行った。アポンテはその申し立ての間に、バハ・カリフォルニア州の誘拐対策班が実は犯罪組織の誘拐チームと共に働いていると考えており、その買収された警察官が麻薬密売のボディーガードとして使われていると述べた。これらの腐敗の告発によって、贈収賄や脅迫、腐敗によってメキシコの麻薬組織に対する進展が妨害されていたことが暗示された。 2008年4月26日、バハ・カリフォルニア州のティフアナ市において、ティファナ・カルテルとシナロア・カルテルのメンバーの間で大きな戦闘が起こり、17人の死者を出した。この戦いはまた、ティファナ市およびいくつかの国境都市が戦争によって暴力のホットスポットとなることで、アメリカへ暴力が拡大されるのではないかという懸念をもたらした。2008年9月、モレリアでカルテルのメンバーを容疑者とする手榴弾攻撃が起こり、8人の一般人が死亡し、100人以上が負傷した。 2009年3月には、カルデロン大統領はさらに5,000人のメキシコ軍を招集し、シウダー・フアレスに派遣した。アメリカ国土安全保障省はアメリカに国境を越えて溢れ出してくるメキシコの麻薬による暴力に対抗するために国境警備隊を用いることも考えていると述べた。アリゾナ州およびテキサス州の知事は、連邦政府に対して、既にそこで活動している麻薬密売に対する地域の警察組織を支えるために、国境警備隊の部隊のさらなる派遣要請を行った。 アメリカ麻薬情報局 (en, NDIC)によると、メキシコのカルテルは南米のコカインとメキシコで生産された大麻、メタンフェタミンおよびヘロインの支配的な密輸業者および卸売業者である。メキシコのカルテルは以前から存在したが、コロンビアにおけるメデジン・カルテルおよびカリ・カルテルの終焉によって近年ますます力をつけてきた。フロリダを通じてのコカイン密売ルートの閉鎖によってコカインのルートがメキシコ側にプッシュされたことも、コカイン密売におけるメキシコのカルテルの役割を増大させた。メキシコのカルテルは、コロンビアやドミニカ共和国の犯罪グループによって制御される地域でこれらの麻薬の販売を行い、メキシコのカルテルの勢力圏を拡大しており、現在そこにはアメリカの大部分も含まれると信じられている。 メキシコのカルテルは、現在アメリカにおける麻薬密売を支配する強力な暴力組織となっており、もはやコロンビアの生産者は単なる仲介となっている。FBIによると、メキシコのカルテルは卸売の供給にのみ集中しており、違法薬物の小売販売はストリートギャングに任せている。伝えられるところにおいては、メキシコのカルテルはアメリカのギャング紛争において、一方に味方せず、複数のギャングの要求によって働くとされている。 メキシコのカルテルはメキシコの領域と何十もの自治体の大きな面積を勢力圏におき、メキシコの選挙によって政治的に影響力を増大しようと働きかけている。カルテルは、ヌエボ・ラレドからサンディエゴまでの密輸ルートのキーポイントにおいて激しい縄張り争いを行っている。メキシコのカルテルは刺客やシカリオスとして知られる暗殺者のグループを使用する。アメリカの麻薬取締局は、今日国境に沿って活動しているメキシコの麻薬カルテルは、アメリカの警察史上他のどの犯罪者組織よりもはるかに危険で洗練されていると報告している。カルテルはグレネードランチャーや自動兵器、ボディアーマーを使用し、時に戦闘用ヘルメットも用いる。また、いくつかの組織では即席爆発装置 (IED)を使うことも知られている。 犠牲者数は時と共に大幅に増加した。ストラトフォーの報告によると、麻薬戦争に関係した死者は2006年に2119人、2007年には2275人であったが、2008年には5207人と2倍以上になった。次の2年に渡っては、さらに数が大幅に増加し、2009年には6598人、2010年には11,000以上の死者が出ている。 2017年の政府公表の殺人事件の件数は、25,339件と麻薬組織の抗争を反映して過去最悪の水準となった。 2010年代後半には、ハリスコ新世代カルテルなどの新勢力台頭。2020年6月には、従来、抗争とは無縁であったメキシコ市内で、治安庁長官が乗った乗用車が武装組織に襲撃を受ける事件も発生した。長官は負傷するにとどまったが警護と一般人の3人が死亡している。
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