シナロア・カルテルとは? わかりやすく解説

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シナロア・カルテル

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2025/07/03 14:15 UTC 版)

シナロア・カルテル
設立 1989年
設立場所 メキシコ
シナロア州クリアカン
首領 ホアキン・グスマン
イスマエル・サンバーダ・ガルシーア
フアン・ホセ・エスパラゴーサ・モレーノ(en
イグナシオ・コロネル・ビジャレアル
アドリアン・ゴメス・ゴンサーレス(en
活動期間 1989年 - 現在
活動範囲 メキシコ
アメリカ合衆国
オーストラリア
中南米全域
主な活動 殺人拷問誘拐、恐喝、密輸資金洗浄など
友好組織 ガルフ・カルテル
敵対組織 メキシコ軍
メキシコ連邦警察
DEA
ロス・セタス
フアレス・カルテルen
ティフアナ・カルテルen
収監中の「エル・チャポ」ことホアキン・グスマン
最高幹部の「エル・マジョ」ことイスマエル・サンバダ・ガルシアDEAによる手配写真

シナロア・カルテルスペイン語: Cártel de Sinaloa、略称:CDS)は、メキシコ犯罪組織麻薬カルテル[1][2]。メキシコ国内最大の犯罪組織であるとされる[3]

概要

ホアキン・グスマン(通称「エル・チャポ」)、イスマエル・サンバダ・ガルシア(通称「エル・マジョ」)、フアン・ホセ・エスパラゴーサ・モレーノ、イグナシオ・コロネル・ビジャレアル、アドリアン・ゴメス・ゴンサーレスの5人をリーダーとして1989年に結成され、本拠地のシナロア州ソノラ州バハ・カリフォルニア州に活動拠点を広げる。内部分裂した後、サンバダ・ガルシアとエスパラゴーサ・モレーノの高齢を理由として、グスマンが後継者に指名され、組織を完全に掌握した。

1993年のグスマン逮捕や、1995年7月のパルマ逮捕で一時的に弱体化するも、2001年にグスマンが脱獄し組織は再び勢力を盛り返した。しかし、2010年7月に同組織のナンバー2だったビジャレアルがメキシコ軍に射殺され、大打撃を被った。現在はサンバダ・ガルシア[4]、エスパラゴーサ・モレーノ[5]、グスマンの4人の息子(オビディオ・グスマン、ホアキン・グスマン・ロペス[6]、ヘスス・アルフレド・グスマン・サラザール[7]、イヴァン・アーキバルド・グスマン・サラザール[8]の6人が指名手配され、アメリカ政府とメキシコ政府が懸賞金(ガルシアにはアメリカ国務省により最大1500万ドル、他の5人には最大500万ドル)を掛けて行方を追っている。

2014年2月22日、グスマンは、シナロア州マサトランのリゾートマンションに潜伏していたところをメキシコ海軍海兵隊に襲撃され、再逮捕された[9]。しかし2015年7月、収監されていたアルティプラノ刑務所からトンネルを使い脱獄した[10]。 だが、2016年1月8日になり再び逮捕された[11]

グスマンがアメリカで収監された後は、イスマエル・サンバダとグスマンの4人の息子により組織が運営されていた。グスマンの息子の内、末っ子のオビディオ・グスマン2019年10月17日、メキシコ国家警備隊は、メキシコ北西部の都市クリアカンで捕捉、一時は拘束することに成功したが、組織が銃撃戦で反撃を開始したため、準備不足であったとして作戦そのものを中止し、オビディオを釈放している[12]

2023年1月5日、再びメキシコ治安当局がクリアカンで拘束し、カルテルとの激しい銃撃戦を繰り広げ治安部隊側、カルテル側双方で死者が出る等した[13]

2024年7月25日、アメリカ司法省はホアキン・グスマンの次男であるホアキン・グスマン・ロペスと共にイスマエル・サンバダを逮捕したと発表した[14]。 この逮捕劇は、ホアキン・グスマン・ロペスが仕組んだものとされ、カルテルはイスマエル・サンバダに忠誠を誓う「ラ・マイサ」と、ホアキン・グスマンの息子たちに忠誠を誓う「ロス・チャピトス」の二つに分かれて激しい内部抗争を繰り広げることとなった[15]

脚注

  1. ^ Sinaloa Cartel Influence is Steadily Growing In TijuanaBorderland Beat(2011年2月23日)2013年7月24日閲覧
  2. ^ Mexico's Sinaloa gang grows empire, defies crackdownロイター(2011年1月19日)2013年7月24日閲覧
  3. ^ Unraveling Mexico's Sinaloa drug cartelLos Angeles Times(2011年7月24日)2013年7月24日閲覧
  4. ^ Ismael Mario Zambada-Garcia”. US Department Of State (2021年9月23日). 2022年1月9日閲覧。
  5. ^ JUAN JOSE ESPARRAGOZA-MORENO”. US Department Of State (2017年3月26日). 2022年1月9日閲覧。
  6. ^ Joaquín Guzmán-López”. US Department Of State (2021年11月21日). 2022年1月8日閲覧。
  7. ^ Jesus Alfredo Guzman Salazar”. US Department Of State (2021年11月21日). 2022年1月9日閲覧。
  8. ^ Ivan Archivaldo Guzman-Salazar”. US Department Of State (2021年11月21日). 2022年1月9日閲覧。
  9. ^ “メキシコ:麻薬密輸の首領を逮捕”. 毎日新聞. (2014年2月23日). http://mainichi.jp/select/news/20140224k0000m030077000c.html 2014年3月11日閲覧。  {{cite news}}: |work=|newspaper=引数が重複しています。 (説明)
  10. ^ 産経ニュース (2015年7月19日). “大胆不敵さに世界中が驚愕 脱獄のメキシコ麻薬王、建設費6億のトンネル内を“わずか3分”バイクで逃げ去る”. 産業経済新聞社. http://www.sankei.com/world/news/150719/wor1507190009-n1.html 2015年10月21日閲覧。 
  11. ^ 株式会社産業経済新聞社 (2016年1月9日). “脱獄の麻薬王、半年ぶりに拘束 メキシコ大統領「作戦終了」”. 産経ニュース. https://www.sankei.com/article/20160109-QNJS27FHV5NJJCMU7LL4FPNFXU/ 2016年4月10日閲覧。 
  12. ^ メキシコ、麻薬王の息子取り逃がす 「ずさん」な作戦認める”. AFP (2019年10月19日). 2019年12月16日閲覧。
  13. ^ メキシコ“麻薬王”の息子を治安当局が拘束 報復の激化で学校や空港を閉鎖”. ABEMA news (2023年1月6日). 2023年1月6日閲覧。
  14. ^ “米当局、メキシコ麻薬王の息子ら逮捕 合成薬密売で”. ロイター. (2024年7月26日). https://jp.reuters.com/world/us/XNEGXX4OQVOIZOSLEJWDDMDHLI-2024-07-26/ 2024年7月28日閲覧。 
  15. ^ メキシコ・シナロア州の橋で20体の遺体発見、5体は頭部切断”. CNN (2025年7月1日). 2025年7月3日閲覧。

関連


シナロア・カルテル

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/06/16 09:45 UTC 版)

メキシコ麻薬戦争」の記事における「シナロア・カルテル」の解説

詳細は「シナロア・カルテル」を参照 シナロア・カルテルは2003年3月ガルフ・カルテルリーダーであるオシエル・カルデナス・ギジェンが逮捕された後、南西テキサス密輸ルート支配権求めてガルフ・カルテル争い始めた2006年シナロア州太平洋沿岸位置するいくつかのグループの間で協定結ばれその結果連邦」が形成された。シナロア・カルテルはメキシコ最重要指名手配犯であり、フォーブズ・マガジンによって10億ドル資本有していると見積もられ世界で701番目の富豪であるとされるホアキン・「エル・チャポ」・グスマンによって指導される。2010年2月に、ロス・セタスベルトラン・レイバ・カルテル対抗するために新し同盟作られた。2010年5月メキシコアメリカマスコミ発表した多数レポートでは、シナロア・カルテルはメキシコ連邦政府軍隊組織人員浸透させて、他のカルテル破壊するためにそれと共謀した主張している。コリマ・カルテル、ソノラ・カルテル、ミレニオ・カルテルは現在シナロア・カルテルのである。

※この「シナロア・カルテル」の解説は、「メキシコ麻薬戦争」の解説の一部です。
「シナロア・カルテル」を含む「メキシコ麻薬戦争」の記事については、「メキシコ麻薬戦争」の概要を参照ください。

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