第1段階の建設
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ニューヨーク市民の住民投票により、2005年11月8日に第1段階建設専用の資金調達のための運輸債券の発行が承認された。この承認は建設に関して絶対不可欠であるとみなされてきたが、投票者の55パーセントが承認、45パーセントが不承認と、わずかな余裕で承認されたにすぎなかった。この時点で、MTAはプロジェクトは、ニューヨークが2012年の夏季オリンピックの招致に成功すれば、2012年までに完成するだろうと述べていたが、招致は成功しなかった。2006年12月18日、アメリカ合衆国運輸省は、MTAが6億9300万ドルの資金を2番街線建設開始に投じることを承認し、建設費の連邦負担分については、予算割当と最終労働認定証次第で連邦都市交通局の運輸基金から払い戻されると発表した。運輸省はまた、13億ドルの連邦政府補助金をプロジェクト第1段階に向けて7年間にわたって拠出することを承認した。準備工事と最終的なトンネル設計はAECOMとアラップの共同企業体によって完了された。 準備工事の完成を受けて、2007年3月20日、MTAはトンネル、トンネルボーリングマシンの発進基地、そこへ到達する縦坑の建設契約をスキアボーネ建設、スカンスカUSA土木、J.F.シー建設の共同企業体S3に対して発注された。起工式は2007年4月12日に、1970年代にトンネル区間が建設された99丁目において実施された。実際の建設工事は2007年4月23日に開始され、配管類・電線類やそのほかのインフラストラクチャーの再配置から始まり、14か月を要した。 この時点で、2013年末までには新線で旅客営業を開始できるだろうと発表されていた。建設費の増大のため、着工直後に路線のいくつかの要素が削減された。とりわけ、72丁目駅は2面3線の駅構造であったのが、1本の島式ホームを備えた2線の駅へと縮小され、これと合わせてブロードウェイ線との連絡線が単純化された。この設計変更は、実際の建設工事が始まる前に実施された。またMTAは、完成期日を2014年へと遅らせた。MTAの2008年の資本改善予算提案では、第1段階の完成をさらに2015年へと遅らせ、2009年にはさらに2016年へと再延期した。 2009年に、96丁目駅の駅部の契約および86丁目駅周辺の掘削工事の契約が結ばれた。トンネルボーリングマシンが2010年に96丁目駅から南へ向かって西側のトンネルを掘削開始した。これに続くトンネルの契約はレキシントン・アベニュー-63丁目駅および72丁目駅の掘削に関するもので、2010年に契約が結ばれた:301。翌年、86丁目駅の掘削に関しての契約が結ばれ、またレキシントン・アベニュー-63丁目駅の建設契約も結ばれた。トンネルボーリングマシンは1日約50フィート(約15メートル)の速さで掘削し、2011年2月5日に計画されていた65丁目の下の終点で掘削を終え、続けて東側のトンネルの掘削を開始した。2011年3月28日に共同企業体S3は65丁目までの西側のトンネル7,200フィート(約2,200メートル)を掘削するという業務を完了させ、既存のレキシントン・アベニュー-63丁目駅に用意されていた準備工事の坑口から東側のトンネルを掘削開始した。この時点で西側のトンネルで未完成で残されていた部分は、従来型の掘削発破工法で建設された。2011年9月22日、トンネルボーリングマシンはレキシントン・アベニュー-63丁目駅の坑口までを掘り抜いた。 MTAは2013年7月25日に、第1段階向けの2番街線コミュニティインフォメーションセンターを開設した。センターは2番街1628番地に位置し、84丁目と85丁目の間、2番街線86丁目駅の近くである。その後3年間に、センターには20,000人が訪れた。 第1段階で最後の契約は2013年6月1日に結ばれた。駅部の発破工事は2013年11月に完了し、地上の仮設構造物はほぼ同時期に取り壊された。2013年冬には、多くの線路や信号機器類が建設現場に到着し始め、これは以後数年をかけて現場に設置されることになる。 2016年2月24日、MTAは12月までに開通できるように、第1段階の建設作業を促進するために6600万ドルを割り当てた。しかし6月の時点で、2016年12月の完成に間に合う速さでは工事は進捗していなかった。路線が予定通りに開通するかの問題は10月、11月中も引き続き残り、エレベーター、エスカレーター、火災報知機などの鍵になる機器類が試験されていなかった。試運転の列車は2016年10月9日に走り始め、Q系統の列車が非営業で2番街線を2016年11月に走り始めた。 3番街にあるレキシントン・アベニュー-63丁目駅への入口は、第1段階の一環として建設されたが、2016年12月30日に使用開始された。何人かの上層部関係者を乗せた儀式的な初列車が大みそかに運転され、定期旅客列車は翌2017年1月1日の正午から運行開始された。地下鉄網の他の駅から乗車してこの路線に乗って帰っていった人を除いて、1月1日には48,200人の旅客が新駅に入場した。 第1段階の開業により、レキシントン・アベニュー線の68丁目-ハンター・カレッジ駅、77丁目駅、86丁目駅、96丁目駅の2017年1月の利用客は、2016年1月に比べて減少した。2番街線の3駅および改修されたレキシントン・アベニュー-63丁目駅は、1月末には平日平均15万人以上の利用を記録するようになった。72丁目駅は新駅の中で最も利用者が多く、1日平均44,000人の利用がある。4月には、路線開通前に比べてこの地域のタクシー利用が20パーセント以上減少した。2018年2月には、平日1日あたり19万人の利用者があり、環境影響書で推定された1日20万人の利用者に比べて5パーセントの誤差の範囲内であった。ラッシュ時の利用者も見積もりの2パーセント以内の誤差であった。2017年11月、輸送需要の増加のために、Q系統がラッシュ時に1本ずつ増便され、また北行きのR系統がINDクイーンズ・ブールバード線から経路変更された。この列車は帰りはQ系統となる。
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