積極的平和指数
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「平和学」も参照 積極的平和指数(Positive Peace Index)は、世界平和度指数の原動力となっている。積極的平和(Positive Peace)とは、平和な社会を創造し、維持するための態度、制度、構造として定義されている。積極的平和指数は、国または地域の社会的回復力のレベルを測定する。平和学や政治学において、「積極的平和」とは、貧困、差別、搾取、抑圧など、紛争や戦争の原因を「積極的に」排除することと定義されている。1942年にアメリカの法学者クインシー・ライトが唱えたのが最初とされ、ノルウェーの平和学者であるヨハン・ガルトゥングが1958年に提唱した概念にもこの積極的平和がある。これは、国際的な暴力がないだけでなく、社会のあらゆる部門で個人的・構造的な暴力がないことからなる平和を意味する。ノルウェーの平和研究者ハン・ドルッセンによれば、積極的平和は、社会間の紛争の数が少ないことを特徴としている。米国での人種暴動などの紛争は、先進国でも積極的平和を崩壊させる可能性がある。一方、2022年の積極的平和指数報告書と2019年5月の欧州連合人種差別報告書によると、積極的平和指数の上位10位にランクインしたすべての欧州連合諸国は、日本人を含むアジア人に対する差別が欧州連合平均以下であることが示されている。 世界平和度指数は、前述の批判に加えて、兵器の輸出入量、軍事費の対GDP比、核兵器・重戦車保有数、軍事力など、一般市民の日常生活とは関係のない項目も含まれている。この場合では、世界平和度指数の推進力である積極的平和指数(Positive Peace Index)を参考することもできる。積極的平和指数は、世界が直面している複雑な課題を理解し、それに対処するための枠組みを提供する。迅速で簡単な解決策はない。平和の構築と維持には、積極的平和につながる8つの要素は、全体として、長期的に協調して進展していくものである。 日本はこれまで、政府開発援助による途上国への開発援助など、「積極的平和」に基づく幅広い国際貢献を行ってきた。経済平和研究所は、少なくとも2012年から積極的平和の向上を掲げている。ガルトゥングは2015年(平成27年)8月22日、沖縄県浦添市へ招かれて講演した際、「私は、日本がこう主張するのを夢見てやまない。『軍隊は持たず、外国の攻撃に備えることもない』と」とも語っている。2015年(平成27年)9月4日の参議院特別委員会では、岸田文雄外務大臣は、安倍政権の積極的平和主義について「貧困や搾取に対処すべきであるという観点では、ガルトゥング博士の積極的平和と重なる部分は多い」と主張している。 2022年、経済平和研究所は「積極的平和」につながる8つの要素を再定義した: 隣国との良好な関係: 国内外国人平等待遇推進法、国家安全保障経済外部効果、観光客数。 十分に機能している政府: 政府の透明性、政府の効率性、法の支配。 健全な事業環境: 健全な政策管理能力、金融機関品質指数、一人当たりGDP。 低レベルな汚職: エリートの非派閥化、公共部門横領の抑制、汚職防止対策。 高水準の人的資本: 研究員数、低いニート率、健康寿命。 情報の自由な流れ: 報道の自由指数、インターネット利用率、政府による虚偽の情報発信の欠如。 資源の公平な分配: 医療格差の解消、公共事業、機会均等。 他人の権利の受け入れ: 特定社会経済的集団の排除の防止、集団苦情評価、男女平等指数。 2022年の積極的平和指数の上位12カ国は、上からスウェーデン、デンマーク、フィンランド、ノルウェー、スイス、オランダ、カナダ、オーストラリア、ドイツ、アイルランド、ニュージーランド、そして日本である。世界平和を実現するための高水準の人的資本は、日本が世界一を誇っている。残念ながら、グリーンランドは、世界平和度指数と同様、ランキングから除外されている。積極的平和指数のわずかな変化でも、報告書に記載されるほど重要なのである。
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積極的平和指数
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「平和学」も参照 積極的平和指数(Positive Peace Index)は、世界平和度指数の原動力となっている。積極的平和(Positive Peace)とは、平和な社会を創造し、維持するための態度、制度、構造として定義されている。積極的平和指数は、国や地域の社会的な回復力を測定するシステム思考である。平和学や政治学において、「積極的平和」とは、貧困、差別、搾取、抑圧など、紛争や戦争の原因を「積極的に」排除することと定義されている。世界平和度指数は、前述の批判に加えて、兵器の輸出入量、軍事費、核兵器・重戦車保有数、軍事力など、一般市民の日常生活とは関係のない項目も含まれている。この場合では、世界平和度指数の推進力である積極的平和指数を参考することもできる。 積極的平和指数は、世界が直面している複雑な課題を理解し、それに対処するための枠組みを提供する。迅速で簡単な解決策はない。平和の構築と維持には、積極的平和につながる8つの要素は、全体として、長期的に協調して進展していくものである。積極的平和指数は、平和だけでなく、生活の満足度、幸福、経済成長にもつながる。1942年にアメリカの法学者クインシー・ライトが唱えたのが最初とされ、ノルウェーの平和学者であるヨハン・ガルトゥングが1958年に提唱した概念にもこの積極的平和がある。これは、国際的な暴力がないだけでなく、社会のあらゆる部門で個人的・構造的な暴力がないことからなる平和を意味する。ノルウェーの平和研究者ハン・ドルッセンによれば、積極的平和は、社会間の紛争の数が少ないことを特徴としている。米国での人種暴動などの紛争は、先進国でも積極的平和を崩壊させる可能性がある。一方、2022年の積極的平和指数報告書と2019年5月の欧州連合人種差別報告書によると、積極的平和指数の上位10位にランクインしたすべての欧州連合諸国は、日本人を含むアジア人に対する差別が欧州連合平均以下であることが示されている。 日本はこれまで、政府開発援助による途上国への開発援助など、「積極的平和」に基づく幅広い国際貢献を行ってきた。経済平和研究所は、少なくとも2012年から積極的平和の向上を掲げている。ガルトゥングは2015年(平成27年)8月22日、沖縄県浦添市へ招かれて講演した際、「私は、日本がこう主張するのを夢見てやまない。『軍隊は持たず、外国の攻撃に備えることもない』と」とも語っている。2015年(平成27年)9月4日の参議院特別委員会では、岸田文雄外務大臣は、安倍政権の積極的平和主義について「貧困や搾取に対処すべきであるという観点では、ガルトゥング博士の積極的平和と重なる部分は多い」と主張している。 2022年、経済平和研究所は「積極的平和」につながる8つの要素を再定義した: 隣国との良好な関係: 国内外国人平等待遇推進法、国家安全保障経済外部効果、観光客数。 十分に機能している政府: 政府の透明性、政府品質、法の支配。 健全な事業環境: 健全な政策管理能力、金融機関品質指数、一人当たりGDP。 低レベルな汚職: エリートの非派閥化、公共部門横領の抑制、汚職防止対策。 高水準の人的資本: 研究員数、若年層のニート率の低さ、健康寿命。 情報の自由な流れ: 報道の自由指数、インターネット利用率、政府による虚偽の情報発信の欠如。 資源の公平な分配: 医療格差の解消、公共事業、機会均等。 他人の権利の受け入れ: 特定社会経済的集団の排除の防止、集団苦情評価、男女平等指数。 2022年の積極的平和指数の上位12カ国は、上からスウェーデン、デンマーク、フィンランド、ノルウェー、スイス、オランダ、カナダ、オーストラリア、ドイツ、アイルランド、ニュージーランド、そして日本である。世界平和を実現するための高水準の人的資本は、日本が世界一を誇っている。残念ながら、ルクセンブルク、モナコ、グリーンランドは、世界平和度指数と同様、ランキングから除外されている。積極的平和指数のわずかな変化でも、報告書に記載されるほど重要なのである。
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