白詰草の花言葉
白詰草の花言葉の由来
(1)キリスト教の司教聖パトリックにまつわる花言葉キリスト教の教えを広めるためにアイルランドに渡った司教聖パトリックは、土着の宗教を崇拝するケルト人からの迫害をかわすためにある方法を思いつく。それは、彼らがシャムロックと呼んで崇めていたクローバー(白詰草)を布教に取り入れることだった。ある日ケルトの王と対面したパトリックは、おもむろにシャムロックをつかみ取り、三つ葉を1枚1枚指し示しながら、聖書の三位一体、すなわち父なる神と、子なるキリスト、精霊の3者は別の姿として現れているが、本質的には一つのものであるという論陣を張った。既存の宗教を否定せず、キリスト教とうまく融合させながら布教を続けたことで、以降は1人の殉教者も出すことなくキリスト教は急速に国内に広まった。その結果、生涯に12万人を改宗させ、365の教会を建てたと伝えられている。
パトリックの教えはかたく守られてアイルランド国内に脈々と生き続け、布教に用いたシャムロックは国の花となった。彼の命日とされる3月17日は毎年「セント・パトリックス・デイ」として盛大に祝われて、今もその功績をたたえ続けている。この逸話により「約束」は白詰草の花言葉として知られるようになった。
(2)四つ葉のクローバーにまつわる花言葉
クローバーには白い花を咲かせる白詰草と赤色系統の赤詰草があるが、単にクローバーという場合は白詰草を指す。クローバー全般の花言葉にある「幸運」は、同時に四つ葉のクローバーの花言葉でもあり、四つ葉は幸せを呼ぶアイテムとして名高い。古くはアダムとイブの聖書伝説にも登場し、楽園を追放された2人に神が、幸せのお守りとして四つ葉のクローバーをそっと持たせてやるというエピソードが見られる。中世では、子どもたちは四つ葉のクローバーを見つけると、妖精の姿を見ることができると信じており、こぞって四つ葉を見つけに畑を歩いたという記録も残されている。四つ葉のクローバーについて、文学的に初めて触れたのは1620年にジョン・メルトン卿が発表した「野原を歩いている人が四つ葉の草を見つけたら、しばらくして何か良いものを見つけなければならない」だといわれている。
フランスの皇帝ナポレオンも、四つ葉のクローバーの恩恵を被ったとされる一人。丘の上で戦況を見守っていたナポレオンがふと足元を見ると、そこに四つ葉のクローバーを見つけた。これは珍しいと身をかがめて摘み取ろうとしたその瞬間、頭上を銃弾がかすめて飛んで行った。四つ葉のクローバーを摘もうとしなければ確実に撃ち抜かれていたというこのエピソードにより、四つ葉のクローバーの「幸運」という花言葉はますますその評価を高めることになった。
白詰草の英語の花言葉
白詰草の英語の花言葉は「think of me(私を思って)」。白詰草の色別での花言葉の解説
#白色 「約束」「私を思い出して」幸運を招く花として古くから好意を寄せる相手へ贈る風習があった白詰草は、その名のとおり白い花を咲かせる。「あなたに幸運が舞い込みますように」という祈りとともに、あなたへの気持ちは永遠に変わらないことを約束する気持ちも込められていた。そしてこの花を見たら「私のことも思い出してほしい」と願う気持ちも花に寄せて、この花言葉が生まれたとされる。
#赤色「勤勉」
赤色のクローバーは、白詰草に対して赤詰草とも呼ばれる。白色に比べてエネルギッシュな印象を与え、花のすぐ下に寄り添い支えるように葉を伸ばす姿が「勤勉」という花言葉に結び付いたもので、英語圏だけでなくスペイン語圏にも同様の花言葉をあてている地域がある。
白詰草の本数別と葉の枚数別花言葉の解説
白詰草には、本数別に特別な花言葉は設けられていない。ただし、葉の枚数別に異なる意味を持つ。#1枚「困難に打ち勝つ」「始まり」「開拓」「初恋」
ものごとの始まり、初めてのできごと、進路を切り開く、決意を固めるといった事柄が、数字の始まりである「1」にふさわしい花言葉として定められている。
#2枚「素敵な出会い」「平和」「調和」
2枚の葉が左右対称となっている様子は「調和」のイメージを表し、調和している状態が「平和」という言葉を連想させる。さらに2枚の葉が向き合って風に吹かれながら穏やかにそよぐさまは、「素敵な出会い」を擬人的に連想させ、双葉ならではの花言葉となっている。
#3枚「愛・希望・信頼」「私を思い出して」「約束」
3枚葉の白詰草は最もオーソドックスなクローバーであり、全般的な花言葉の由来が共通のベースとなっている。「3」はキリスト教の三位一体にちなんでおり「愛・希望・信頼」はキリストの教えに深く関わる言葉。そしてこの先も変わらぬ信仰心を「約束」の言葉に込めた。3枚葉は白詰草の代表でありながら、四つ葉にばかり人々の目が行きがちなことを悔しがった。「私を思い出して」はその気持ちが花言葉となって定着した。
#4枚「私のものになって」「幸運」
四つ葉が生まれる確率は1万分の1ともいわれ、その希少性から目にすること自体が「幸運」であるとされる。「私のものになって」は英語で「Be mine」。四つ葉の1枚1枚に意味が付けられており、それぞれ「満ち足りた愛」「名声」「富」「健康」を表す。この4つがすべてそろったときに初めて「真実の愛」が生まれるのであり、それこそが神のものになるということにほかならない。「私のものになって」は、神の視点で発せられた言葉であり、そうなってこそ真の「幸運」を手に入れることができる、といった一連の流れが、2つの花言葉に表されている。
#5枚「財運」
5枚葉が生まれる確率は100万分の1ともいわれる。その希少性はもはや幸運を超え、「5枚葉を見つけると病になる」と忌み嫌われるケースもみられる。「財運」という花言葉には、めったに出会えないのに、それでも出会うような強運の持ち主なら富を築くことも容易であろう、という意味も込められている。
#6枚「名声」
6枚葉が発生する確率はおよそ1600万分の1。ほぼ目にすることはできない。それでも6枚葉を見つけることができる者は、「名声」も容易に手に入れることができるであろう、という意味もこの花言葉には含まれている。
#7枚「最大の幸福」
7枚葉の発生率は2億5000分の1ともいわれる。目にすることができる者には「最大の幸福」が訪れる、という花言葉はその希少性に基づいている。
#8枚「子孫繁栄」
8枚葉を目にすることができる者は、もはや自分の幸せだけではなく、子孫にまでその幸福が行きわたるという隆盛の極致を「子孫繁栄」の花言葉に込めた。
#9枚「幾久しく」
9枚葉に出会う者は、永遠を垣間見ることができるであろう、という極みがこの花言葉に現れている。
#10枚「完成」「成就」
10枚葉に出会う者は、すべてが成し遂げられた存在であるという意味で、10枚には「完成」「成就」の花言葉があてられている。
白詰草の怖い花言葉
白詰草の花言葉には「復讐」という怖い意味もあり、それは次のような「アイヌ伝説」の中に見られる。アイヌのある酋長の娘にイルチヤロという美しい娘がいた。その部族の住む場所の近くには大きな沼があり、そこには精霊が主として住んでいた。ある日、沼の傍を歩くイルチヤロを見かけた精霊はその美しさに一目惚れし、イルチヤロに思いを伝えて2人は恋仲になった。逢瀬を重ねるうちにイルチヤロは次第にやつれてきた。酋長は娘の様子をいぶかしんだが理由がわからないままいたところ、イルチヤロの許嫁のチタライが沼の精霊のせいだと突き止めた。酋長とチタライは精霊の暗殺を計画し、それを聞きつけたイルチヤロは精霊に忠告するが、対抗策を講じる前に酋長らの毒矢によって殺されてしまった。精霊が息絶えたあと、沼には大渦が巻き起こり、チタライや酋長は巻き込まれて死んでしまう。
一部始終を見ていたイルチヤロも沼に身を投げて死んでしまう。沼のほとりにはその後、白詰草が咲くようになった。
これは、精霊に許嫁をとられたチタライと、チタライらに殺された精霊の、相互の復讐劇だとされており、白詰草は復讐の象徴として用いられている。
※ 花言葉の内容は諸説あります。
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