現像主薬
現像液
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出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2019/07/19 16:14 UTC 版)
現像液(げんぞうえき)は、写真・映画の現像工程において、フィルムや印画紙などの感光材料を現像するための薬液、水溶液である[1][2]。現像主薬(げんぞうしゅやく)、現像保恒剤(げんぞうほこうざい)、現像促進剤(げんぞうそくしんざい)、現像抑制剤(げんぞうよくせいざい)等の混合溶液である[1][2]。
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- ^ a b c d e f g h i j k l m 百科事典マイペディア『現像液』 - コトバンク、2011年12月6日閲覧。
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- ^ 白黒ケミカル一覧、コダック、2011年12月6日閲覧。
- ^ 白黒写真処理薬品、富士フイルム、2011年12月6日閲覧。
- ^ B/W Positiv Developer for Processing in Dishes, テテナール、2011年12月6日閲覧。
現像主薬
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2019/07/19 16:14 UTC 版)
現像主薬(げんぞうしゅやく)は、現像作用をもつ薬品であり、現像液のメインを構成する。現像主薬として用いられる薬品は以下の通り。 ハイドロキノン (ヒドロキノン) - 強い還元剤 メトール(英語版) (硫酸パラメチルアミノフェノール塩酸塩) - ハイドロキノンと混合し「MQ現像液」とする フェニドン ピロガロール - 強い還元剤 アミノフェノール(英語版) パラアミノフェノール(英語版) - 迅速・軟調の効果あり
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現像主薬
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/05/02 09:54 UTC 版)
メトール(英語版) (Metol、N-methyl-p-aminopenol hemisulphate) 「メトール」はアグファを権利者とする商標であるため、レシピによっては「エロン」(イーストマン・コダック)、「モノール」(富士写真フイルム)、「モノパトール」(小西六写真工業)、「メチノール」(オリエンタル写真工業)、「メトールミン」(中外写真薬品)、「メトールサン」(ナニワ、エヌエヌシー)などと表記されているので注意が必要である。 ハイドロキノンやグリシン(写真用グリシン)、パイロ、などと同じく古くから現像主薬として利用されている。その持てる作用が急速であるので「急性現像薬」に分類され、その代表的な単薬でもある。また促進剤(アルカリ剤)を加えなくとも現像作用を現すと言う特徴を有している。ただし促進剤を加えない場合には「緩性現像薬」としての作用しか持たず、処方によっては現像に1時間前後かかる。 陰影部・半調部・陽明部で同時に作用が始まり進行していくが、陽明部を適正に現像するには時間が掛かり、通常の現像時間では短すぎるため、陰影部のディテールはよく表す代わりに陽明部のハイライトは肉乗りに欠けてしまい、結果として軟調に仕上がる。この欠点を補う意味で、反対の作用を現すハイドロキノンと組み合わせるのが一般的である。カブリが起こりやすい。体質によっては中毒を起こし、手指に水虫に似た症状を呈し激しい痒みを感じ皮膚が鱗片状に剥離する。この様な症状が出たときは、メトール(メトール単薬のみならず、メトールが使用されている現像液も含めて)の使用を止めれば自然に治癒する。またその場合の治療薬としてイヒチオール軟膏(イクタモール軟膏、黒膏とも言う)がある。 ハイドロキノン (hydroquinone) メトールやグリシン、パイロなどと同じく古くから現像主薬として利用されている。単体では現像作用をほとんど現さず、促進剤を加えることで現像作用を現すが、その作用は緩慢であるため「緩性現像薬」の一つに数えられている。ただし促進剤として苛性アルカリが使われた時のみ「急性現像薬」としての作用を有する。 その作用は先ず陽明部から作用していくので、陰影部のディテールを表す力には欠けるが、逆に陽明部のハイライトは肉乗りが良くコントラストが強くなり、結果として硬調に仕上がる。この欠点を補う意味で、反対の作用を現すメトールと組み合わせるのが一般的である。温度に影響されやすく、16℃以下では温度が低くなるにつれ作用が徐々に減退し、5℃以下ではほとんど作用しなくなり、逆に20℃以上では温度が高くなるにつれ徐々に増進する。非常に硬調な原板をつくる場合に単液処方の現像液が使用される。黄血塩と組み合わせた珍しい現像液「レインナー ハイドロキノン・黄血塩現像液」が存在する。 フェニドン (Phenidone、1-phenyl-3-pyrazolidone) 「フェニドン」はイルフォードを権利者とする商標であるため、レシピによっては「ピラゾン」(富士写真フイルム)、「フェニトール」(小西六写真工業)などと表記されているので注意が必要である。また中外写真薬品の「ピラミン」はフェニドンの同等品である。一般に「フェリドン」と呼称される場合がある。 比較的新しく(量産が可能になった1950年代半ば以降)現像主薬として使われるようになった単薬。単独では現像作用に乏しく、また軟調になる傾向が強いため、通常の現像では超硬調に仕上がるコピーフィルムを平調に仕上げる際に単液処方が用いられる。一般に使用されるフィルムを単液処方で現像すると超軟調になってしまうので使用しない方が良い。通常はハイドロキノンか、その代替のアスコルビン酸と組み合わせて使う。水に対しては難溶性であり、また使用量がレシピに記載されたメトールの10分の1とごくわずかであるため、あらかじめアルコールに溶解して1%液などを作っておくと良い。増感性能がありメトールよりも微粒子で粒状性が良い傾向がある。 近年は日本国内では非常に入手が難しくなってはいるが、純正化学などから購入可能である。また一時は個人輸入もできにくくなっていたが、2018年初頭からebayなどで比較的購入しやすくなった。 ダイメゾン類 (Dimezone、Dimezone S、Phenidone B) フェニドンにはアルカリ性溶液中で加水分解する欠点があるが、これを改良したもの。ピラゾリドン環の4位置がメチル基やヒドロキシルメチル基で置換されている。 アスコルビン酸塩(ビタミンC)とその異性体 ハイドロキノンの代替として使用するが、多くは原処方のハイドロキノンをこれに代える。またこの場合メトールをフェニドンに代えるのが通例である。使用量はハイドロキノンの1.6倍である。ネガの微細な描写に優れるが、感度が出にくい場合がある。また環境負荷も軽いが保存性に劣り、性能の安定した現像液の処方は難しい。また液性を酸性に傾かせるので、ホウ砂が原処方にある場合はその5倍を加える必要があり、それが無い場合は炭酸ソーダなどの量を増やす必要がある。また現像結果によってはさらにホウ砂などのアルカリ剤を加える必要があるほか、フェニドンが入手できない時はメトールの量を増やすなどの工夫が必要である。 パイロ(焦性没食酸または焦性没食子酸) 現像主薬としては最も歴史が古いとされ、かつては原版の現像にはもっぱら主薬として使用されていた。綿花状と結晶の2種類あるが成分に相違はなく、どちらを使っても良い。ただし綿花状のものは飛散しやすく、手指や衣服などを汚染しやすいので結晶パイロを使った方が良い。陽明部のハイライトを美しく現すだけでなく、陰影部のディテールの描出にも優れており、この点において他の主薬の追随を許さない。炭酸ソーダと共に用いればその現像作用は中庸を得て良好な原版となる。保恒剤であるはずの無水亜硫酸ソーダがパイロ現像液では他の役割になり、その役目はもっぱらメタカリが務めるが、酸性に保たれたパイロ単液だけならともかく、混合してしまうと(特に促進剤が加わると)急激に酸化してしまうため、使用液はその都度廃棄しなければならない。通常はパイロと保恒剤で第一液を調合し、促進剤で第2液を作って直前に混和する方法を取る。また原板のゼラチン膜を平均的に褐色に汚染してしまうのも特徴である。またその際に臭化銀を黒色銀に還元して褐色の物質を付着させてしまう。このため黒色銀以外の淡い褐色の画像が原板にできるが、これは良く光線を遮るので、露出過度の原板でもコントラストが十分に得られる利点となる。しかし調合や保存に不便であるだけでなく現在のフィルムには適しないため、現在ではほとんど用いられることがない。 グリシン「en:Glycin」を参照 メトールやハイドロキノン、パイロなどと同じく古くから現像主薬として用いられてきた。「緩性現像薬」に分類される。促進剤として苛性アルカリが使われる際は「急性現像薬」の作用を現す。 現像などに用いられるグリシンは「p-ヒドロキシフェニルグリシン」のことで、アミノ酸の一種であるグリシンとは別物であり、かつては「写真用グリシン」との呼称で区別されていた。水には溶解しないが、アルカリには溶解しやすい性質を有しているため、調合する時は特に指定のある場合を除いて最後に溶解する。また粉末状態では保存性が悪いので、予めアルカリ溶液に溶かして保存液を作っておくと良い。これほどアマチュアから熟練者に至るまであまねく使うに具合の良い主薬はないとされている。調合が簡便であるのみならず原板の上がりが清澄清明であり、強い整調作用を有しているので強コントラストの被写体にも適し、陰影部のディテールも十分に描出しなによりカブリが起きない。ただ、ハイドロキノン同様に低温では現像作用を表さないのが欠点である。露出過度には現像時間を延ばし、露出不足には液温を24℃まで上げれば、立派な原板を得ることができる。
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