格納容器の据付とは? わかりやすく解説

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格納容器の据付

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/11/23 15:20 UTC 版)

福島第一原子力発電所1号機の建設」の記事における「格納容器の据付」の解説

原子炉格納容器はGETESCOから日立製作所発注された。工場製作は1967年6月より開始され1968年6月最終耐圧漏洩試験合格した重量は1,200t、耐圧部の突合せ溶接部のみでも全長4,200m放射線検査フィルム1万3000使用したという。また、工程面では1号機全体クリティカルパス一つとなっているため、工期短縮注意図られている(工程管理詳細後述)。『日刊工業新聞』1968年4月1日)によると従来規格計算では間に合わないため、日立では計算機使用した応力解析導入し品質保証のため、焼鈍炉も新造したという。 この予定遅延させないために意識されたのは制作進行中に耐震および配管設計上の設計変更弾力的に吸収することであった格納容器工場製作の段階では約1000個の部品分割されていたが、出来る限り現地作業少なくすることが求められ一方で鋼板最大寸法製造設備能力輸送方法などが制約条件であったこの内製造設備能力係わる課題を更に具体的に述べると、現地での組立順序合わせて部品製造しつつ、工場敷地内限りがあるので、作業計画検討に慎重を期しケガキ、開先切断溶接機械加工等に特殊な治具使用した。なお、完成した部品現地搬出前に工場内で仮組立を実施して精度確認している。 多田正文によれば格納容器鋼板として1号機までの原子力発電プラントではASME SA 201 GrBないしSA 212 GrBというC-Si炭素鋼板が使用された。この規格1964年変更され前述2種鋼板それぞれSA 515 Gr60およびSA 515 Gr70に継承新規に低温衝撃特性優れたC-Si炭素鋼板としてSA516 Gr55 Gr60 Gr65 Gr70が制定された。しかし、1号機ではこの新規鋼板採用せず、2号機SA 515 Gr70を採用することとなる。耐圧部に使用されASTM 212 Gt.Bは低温における衝撃値を規制した材料で、配管同様、溶接条件非破壊検査には注意払われ、たとえば溶接士の認定試験通産省技術基準ASME Code Section IX両者合格することが条件であった。また当時より工場内製部分については自動溶接積極的に導入している。現場溶接についても、溶接工全て工場から派遣した者を当てたが、「現地混雑した環境での作業というのは、不慣れであり、不得手」という問題がある事は認識されていた。下記のように地上作業増やされたのは、このような背景もある。 MarkI格納容器外形ひょうたんのような本体ドライウェル)の下に円筒架台敷き底部を囲む形でドーナツ状のサプレッションチェンバ(『火力発電』ではトーラス呼称)が取り巻く形となっている。現地での組立は下の円筒部から上部向けて組み上げていく形をとっており、この据付工事上の特徴として、当時日本最大容量誇ったガイデリッククレーンを投入し、「リングブロック建造方式」が採用された。この建造方式は、工場より搬入され部材地上仮設したコンクリート平面作業盤でリング状に組立し、溶接検査実施後リングごと吊り込んで上段重ねるものであるまた、現場建設での特徴として、据付完了したドライウェル下部より局部漏洩検査順次実施し2日間に渡った通産省試験無漏洩を確認した。このことで、ドライウェル据付全て完了する前にドライウェル底部コンクリート打設実施することが可能となり、土木工事工程短縮大きく寄与したトーラス据付はアーチビーム部を起点ブロック状に分割されトーラス据付するミルストン式(en)を採用した格納容器完成後に設計圧力の1.15倍の圧力加圧する漏洩試験を約1週間かけて実施し完成検査終了した現地における溶接不良率は0.4%以下で「全般的にすぐれたもの」と評価された。 1968年入って通産省試験を受ける検査要領書試験計画書等が全く無い状態からのスタートで、GEのプロシーディアと呼ばれる文書はあったが役に立たない構成であったため日本語和訳の上検査要領書として仕立て直した。コピー機青焼き機しか市販されていない時代であったため、キングファイル3冊分の検査記録全て手書きであった

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格納容器の据付

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/12/01 23:03 UTC 版)

福島第一原子力発電所2号機の建設」の記事における「格納容器の据付」の解説

建設所の機械課長として1号機格納容器据付に関わった井上和雄によれば38以下の鋼板による現地組立ては、まず地上鋼板2~3枚溶接接合しクレーン吊りあげて構造物として組立て溶接していく方法取られ完成までに約10ヶ月要した完成時には溶接構造健全性確認するため官庁検査実施し耐圧漏洩試験その実施項目に含まれていた。溶接線が多いため検査官10近く依頼し、約3kg/cm2の圧縮空気を7500m3の格納容器封入し実施するが、空気保有エネルギー計算TNT火薬1112t相当するため試験実施にも十分な安全確保求められた。漏洩試験には溶接線に石鹸水塗って泡の発生が無いかを確認して実施したので、格納容器下部検査官上部石鹸水を被ることになり、合羽が必要であったその後1号機2号機での据付経験元に作業改善効率化について検討加えられ鋼板可能な限り地上大組とし、クレーン増強して吊り上げることとし空中での溶接作業削減した

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