核変換
核変換技術(消滅処理)
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2020/01/16 10:24 UTC 版)
比喩として、化学において、化学物質である青酸カリ(KCN)は人体にとって強力な毒性を持つものであるが、チオ硫酸ナトリウム(Na2S2O3)と化学反応させることで、化学構造が変化し、より毒性の低い化学物質にすることができる。 (化学式) CN − + Na 2 S 2 O 3 ⟶ NaSCN + NaSO 3 − {\displaystyle {\ce {CN- + Na2S2O3 -> NaSCN + NaSO3-}}} これと同様に、化学ではない原子核の世界においても、放射性物質(核種)に対して、なにか反応(核反応)をさせることで、原子核の構造が変化(核変換)し、より有害性の少ない核種にするということが考えられる。 長寿命の放射性核種を核変換によって短寿命核種あるいは安定核種に変えてしまう技術を核変換技術(transmutation technology)と呼ぶ(かつては消滅処理と呼ばれていた)。その具体的方法としては、中性子による(n, γ)、(n, 2n)反応を利用してより短寿命の核種に変換させるいわゆる中性子燃焼法が代表的であり、1964年にブルックヘブン国立研究所(BNL)のM.Steinbergらのグループによって、中性子源として原子炉を利用する形で提案されたものが核変換技術の最初である。 この軽水炉を用いる方法では、核分裂生成物は主に熱中性子の捕獲反応((n, γ)反応)によって核変換される。しかしながら、核分裂生成物の熱中性子に対する捕獲断面積は小さいため、核変換を効率良く行わせるためには、熱中性子の照射対象をできるだけ核変換処理の対象の核種(85Kr , 90Sr , 137Csなど)に絞る、すなわち群分離をする必要がある。
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