手紙の内容とは? わかりやすく解説

手紙の内容

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/06/11 15:07 UTC 版)

アインシュタイン=シラードの手紙」の記事における「手紙の内容」の解説

本文500語ほどの2ページからなる手紙1939年8月2日日付持ちその本文は以下のようなものであった閣下原稿として私のところへ送られきました E・フェルミと L・シラードによる最近の研究は、ウラン元素近い将来新し重要なエネルギー源となるかもしれないという期待を私に抱かせます。 このことによりもたらされる状況のある点は、注意深く見守り必要とあらば政府当局による迅速な行動起こす必要があるものと思われます。 よって、以下の事実提案とに閣下ご注意促すのが私の務めであると考えるものです。 過去4か月の間に、フランスジョリオ、またアメリカフェルミシラード研究によって、大量ウランによる連鎖反応有望なものとなってきました。 このことによって、極めて強い力と、ラジウム似た大量新元素とが生成されるでしょう。 これが近い将来成し遂げられるのは、現在、ほとんど確実なことであると思われます。 またこの新たな現象爆弾、それも、あまり確かとは言えないのですが、考えられることとしては極めて強力な新型爆弾の製造につながるかもしれません。 船で運ばれ港で爆発すれば、この種の爆弾ひとつで、港全体ならびにその周囲領域優に破壊するでしょう。 ですが、また、こうした爆弾航空機で運ぶにはあまりに重過ぎることがわかるかもしれません。 合衆国には、ほどほどの量でごく貧弱な質のウラン鉱石しかありません。 カナダと旧チェコスロバキアはいくつかのよい鉱石ありますが、最も重要なウラン供給源ベルギー領コンゴです。 この状況照らして閣下は、政府と、アメリカにおいて連鎖反応研究している物理学者グループとのより継続的な接触を保つことが望ましいとお考えになるかもしれません。 これを達成するための、ひとつのありうる方法は、閣下信頼にたる、そしてまたおそらくは非公式な地位で働くことのできる人物にこの仕事託すことでしょうこの人物の仕事は以下のようなものとなるでしょう。 a) 今後の開発情報政府機関へ逐次伝え、また合衆国へのウラン鉱石供給保障する問題に特に注意しつつ、政府の施策に対して提案行い政府機関への接触すること。 b) もし資金必要なら、この目的貢献しようと望む民間人との接触通じてその資金供給することにより、またおそらくは適切な設備を持つ企業研究所協力も得ることによって、現在、大学研究室予算制限内で行われている実験研究速度上げること。 私の知るところでは、実際ドイツは、ドイツ接収したチェコスロバキア鉱山からのウラン販売停止してます。 こうしたいち早い行動ドイツ取ったことは、おそらくはドイツ政府外務次官フォン・ヴァイツゼッカーの子息が、現在ウランに関するアメリカ研究いくつか追試ようとしているベルリンカイザー・ヴィルヘルム研究所所属していることを根拠として理解できるでしょう。 ここで本文中にある、フェルミシラード、およびフランスジョリオジョリオ=キュリー)の研究とは、ウラン中性子による核分裂の発見受けて1939年3月相次いでこれら3者のグループ行われたウラン二次中性子放出発見指しており、この発見によってウラン連鎖反応実現一歩現実のものへと近づいていた。 シラードはこのことがドイツ知られるのを遅らせるため実験結果秘密にするように活動したが、ジョリオ=キュリー拒否してネイチャー誌で公表し手紙あるようドイツ直後ウラン輸出禁止していた。 こうしてこの当時、この事実科学者会議公に語られウラン都市ごと壊滅させるような強力な爆弾となりうるということは新聞等で一般に知られ事実となっていた。 また、この手紙では爆弾航空機運べないであろう非常に大きなものとなるかもしれない想定されている。 これはシラードらが減速材含んだ低速中性子による天然ウラン連鎖反応考えていたことによるシラードがこの時点案じていたこうした原子炉のような連鎖反応では、実際に大きな爆発起こらないことが後に明らかとなっている。 しかし、後の1942年ウラン同位体濃縮工業的規模で可能であると考えられるようになったことと、高速中性子そうした濃縮ウラン爆発的連鎖反応起こすことがわかったことで、小型ウラン爆弾が可能とみなされるようになった。 なお、最後の節で言及されているドイツ外務次官エルンスト・フォン・ヴァイツゼッカー息子は、実際ドイツにおいてハイゼンベルクとともに連鎖反応研究携わっていたカール・フリードリヒ・フォン・ヴァイツゼッカー指している。 ただし、ジョリオ=キュリー論文によって実際にドイツ政府警告行ったのは別の人物であったシラードらがこの手紙で政府に最も強く求めたこととは、情報政府与えとともに資金融通するため政府自分たち科学者グループとの接点となる人物政府置いてくれることであった歴史ジャーナリストリチャード・ローズは、大統領へ手紙を渡す仲介者となるアレクサンダー・ザックス(リーマン・ブラザーズ副社長)への手紙の中でシラード暗に自分がその役を引き受けることをほのめかしているとし、またこうした提案は「大胆であるのと同じように、アメリカ官僚政治に関して無知なのだった」と評している。

※この「手紙の内容」の解説は、「アインシュタイン=シラードの手紙」の解説の一部です。
「手紙の内容」を含む「アインシュタイン=シラードの手紙」の記事については、「アインシュタイン=シラードの手紙」の概要を参照ください。

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