戦乱の推移2とは? わかりやすく解説

戦乱の推移2

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/03/29 05:09 UTC 版)

太平天国の乱」の記事における「戦乱の推移2」の解説

1860年2月から5月第二次江南大営攻略では、干王洪仁玕・忠王李秀成・輔王楊輔清・侍王李世賢英王陳玉成らが好く呼応して清軍を撃破この後陳玉成曽国荃曽国藩の弟)率い湘軍相手にすることになった洪仁玕加入洪秀全大い安堵覚えたであろうが、李秀成らは不満を抱かざるを得なかった。初期信者とはいえ洪仁玕改革現実離れしていることや、さして戦功をたてていないことから、彼が王に封じられるのは洪秀全身内びいきとしか思えなかったからである。このため李秀成らを新たに王としたものの、彼ら新王と洪仁玕との溝は深まるばかりで、再び太平天国内紛様相帯びてきた。特に李秀成李世賢は洪一族対し李氏閥を形成し独断専行徐々に増えていくことになる。 たとえば1860年における上海攻略はその好例であろう江南地方制圧進めていたのは李秀成であったが、上海だけは列強租界があるため攻撃控えられていた。この時洪仁玕西欧交渉し少なくとも清朝荷担ないよう画策していた。しかし交渉業を煮やした李秀成は、一転攻撃仕掛け逆に手痛い反撃を受け自身すら負傷した。これなどは洪仁玕李秀成両者西欧体験有無大きく影響した結果生じた齟齬と言えるであろう。 そしてさらに深刻な事態発生した陳玉成長江中流湘軍死闘繰り広げていたが、武漢李秀成軍と合流し共同曽国藩にあたる作戦立てていた。しかし李秀成江南制圧重視し合流果たされなかった。結果陳玉成敵地孤立し殲滅された。 かつての太平天国であれば、一旦敗走しても兵力の増強はさして問題ではなかった。規律正し太平天国軍は民衆の支持受けていたためである。しかし末期になると、規律は全く弛緩しきっていた。太平天国が食の確保追われ無秩序な徴収略奪重ねていたことが主な原因である。投降した清朝兵士自軍編入し、質が一層低下したこともそれに拍車をかけた。しかし兵の質が劣化しても、そのプライド健在であった。そのため太平天国同時期に発生した捻軍等のほかの反乱軍歩調合わせる動きがあっても、太平天国側の自尊心がそれを阻害した太平天国末期症状呈し始めていたといえる太平天国劣勢は、自壊作用だけが原因ではない。清朝側の軍建て直し大きく功を奏した清朝軍事八旗緑営基本としていたが、時代が下るにつれて退廃して使い物にならなくなっていた。そこで新たな形態模索される。すなわち既に幾度か触れたが、曽国藩湘軍李鴻章淮軍がそれである。この新形態の軍は極めて個人個人つながり重視した郷勇から誕生した組織であった曽国藩はまず故郷において、自らを師と仰ぐ人々集め、さらにその人々が個人的に信頼する部下地縁血縁学問の関係の中から集める、といったかたちで軍を形成した。その忠誠心清朝よりも指揮官個人向けられているといってよく、曽国藩私兵性格濃厚であった1854年以降湘軍長江中流域において太平天国迎え撃ったが、それだけでは太平天国対処し切れなかったために、1862年李鴻章命じて安徽省湘軍モデルとした淮軍創建させた。李鴻章淮軍太平天国の乱収束して湘軍のごとく解散しなかったために、以後中国近代史確固たる地歩を占めることになる(北洋軍閥)。 さらに太平天国外国人傭兵部隊とも戦わねばならなかった。上海官僚商人資金拠出して、西洋式の銃・大砲整え租界にいた外国人を兵として雇用した。この軍はアメリカ人フレデリック・タウンゼント・ウォード指揮官とし洋隊という名で発足した翌年には、中国人4・5千人徴兵常勝軍改名した中国初の西洋風軍隊といってよい。ウォード戦死後多少混乱があったが、イギリス人チャールズ・ゴードン指揮官就任すると再び破竹の勢い取り戻した常勝軍成功倣い各地同様の軍隊つくられた。常安軍や定勝軍、常捷軍がそれである。同じ中国人であっても洋式軍隊装備をすれば強くなれる、ということ常勝軍証明していた。この強さ目の当たりにした曽国藩らは以後軍隊近代化力を入れるようになる。つまり常勝軍洋務運動原点ともいえる。1860年10月締結され北京条約以後になると、欧米諸国明確に太平天国敵対した上海寧波戦いで英仏軍が積極的に参加し太平天国軍は苦戦強いられた

※この「戦乱の推移2」の解説は、「太平天国の乱」の解説の一部です。
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