ざ‐ぐ【座具/×坐具】
椅子
座具
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2020/07/10 15:29 UTC 版)
「絹本著色後醍醐天皇御像」の記事における「座具」の解説
仏教美術上、興味深い点は、実在の人物の肖像画に座具として八葉蓮華が描かれていることである。灌頂の際に八葉蓮華を用いるのは、当時の手順書によれば全くないという訳ではなかったものの、それが僧侶の肖像画に描かれるのはきわめて稀である。本作品の他には、国宝『明恵上人樹上坐禅像』(高山寺蔵)があるぐらいだが、そちらは灌頂の場面ではないので、本作品と単純な比較はできない。なぜ僧侶の肖像画に八葉蓮華が描かれないのか、なぜその逆に本作品では特に描かれたのか、何か意図がある可能性はあるが、2006年時点では不明である。内田は、『明恵上人樹上坐禅像』が文殊菩薩と関わりがあるという説を取り上げ、また叡尊の西大寺派やそれに連なる文観(本作品の作者)も文殊菩薩信仰が強いことを指摘しているが、明言を避けている。 蓮華の敷物の下には、繧繝縁(うんげんべり)、つまり最も格式が高い畳縁の半畳があり、さらにその下に礼盤(らいばん)というものがある。礼盤の格狭間(こうざま)には獅子が配されている。よって、この礼盤は「獅子座」、つまり仏・菩薩・高僧のみが座ることを許された座具である。このように、座具はすべて仏教関連のものであり、黒田日出男によれば、後醍醐を聖なる仏や菩薩であると見立てているものではないか、という。 なお、獅子座の獅子の数は普通、正面に1頭の「一獅子礼盤」か、四面に2頭ずつの「八獅子礼盤」である。本作品の3という数は例外的であるが、黒田は、上部の三社託宣(三神名が書かれた短冊)と関係があるのではないか、としている。
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