密室芸
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居候時代に培った芸は「密室芸」と呼ばれる。命名者は奥成達。近年も徹子の部屋などに出演した際に披露する。 リアルな動物の物まねが有名で「産まれたての仔馬」や「コンドルの着地」「ハエ」「イグアナ」などがある。 上京当初、「北京放送」や形態模写くらいしか持ちネタがなかったが、臨席した人物からの無茶振りをそつなくこなし、それを自らの芸として確立させていった。前述の「中国で作られたターザン映画に出演した大河内伝次郎の宇宙飛行士が、宇宙船の中で空気洩れに苦しんでいる様子」は「宇宙飛行士→大河内伝次郎の宇宙飛行士→ターザン映画に出演した大河内伝次郎の宇宙飛行士…」と客の指示により、状況が変わっていく即興芸。 また、団しん也や小松政夫らも持ちネタとしている、「マジックショーの電動ノコギリで切られる有名人」は、おもしろグループでの宴会芸が発端となって、永六輔や野坂昭如などが切られたときのリアクションをそれぞれやったらウケたことから、とくに専売特許と決めていないと、2人は語っている。 ただし、放送できない部類のパロディ・ブラックユーモアを含むものがかなり多く、テレビなどで密室芸と称して行う場合は放送して差し障りの無い程度に表現を緩和あるいは差し替えている。持ちネタの一つだった昭和天皇の物真似については、1985年5月14日、作家の筒井康隆のパーティーで披露したところ、それが翌週の「週刊読書人」に掲載され、右翼から脅迫を受けることとなり、最終的には所属事務所の田邊昭知社長が半監禁状態で右翼から抗議される事態に至った。この後、6月26日に筒井が製作する映画『スタア』に昭和天皇役でオファーがかかったが、タモリ側の希望でアドルフ・ヒトラー役に変更になり、事件以降、昭和天皇ネタは封印されている。 中洲産業大学 架空の大学『中洲産業大学』の「タモリ教授」または「森田一義助教授」を名乗り、難解なことをもっともらしく解説しているように装って、まるっきりでたらめな講義を行うというもの。(詳細は中洲産業大学を参照)。 ハナモゲラ語 「初めて日本語を聞いた外国人の耳に聞こえる日本語の物真似」として、声の高低やフレーズの区切り目は日本語に併せつつも、言葉の構文的要素を一切捨て、デタラメな言葉を勝手に作って喋るというもの。(詳細はハナモゲラを参照) 四ヶ国語麻雀 日本語をベースとした4つのインチキ外国語を使い、1人で各国の人間になりきって、麻雀バトルを繰り広げるというもの。インチキ外国語には、中国語、ハングルの韓国バージョン、北朝鮮バージョン、英語、ロシア語、ドイツ語、フランス語などがあり、日本語を喋る際は、寺山修二などのモノマネを行う。元々は、毛沢東・マッカーサー・ヒトラー・昭和天皇の麻雀対局であり、最後に昭和天皇が「結局○○人が悪い!」と民族差別的な発言をして終わるものであった。 思想模写 寺山修司のものまねは、喋り方や身振りの模写のみならず、話す内容自体は自身で考えたものでありながら「いかにも寺山修司が語りそうな物言い」をするという点(寺山自身が生前、喋る内容や論理の組み立て方が自分と同じと語っていた)で画期的であり、それ以前の政治家のモノマネや歌手の歌真似を中心とする「声帯模写」芸とは題材やアイデアの面で一線を画し、後のものまねに多大な影響を与えた。こうした芸は「思想模写」と称され、レパートリーとして野坂昭如や竹村健一、田中角栄、大橋巨泉、永六輔、横井庄一、浦辺粂子、久米明、安藤忠雄など他多数存在する。筒井康隆は「奇人タモリの演じる文化人たちの物真似が受けるのは、何を言っているのかわからないことは本物と全く同じでありながら、何よりも本物より面白いことだけははっきりしているからである」と評する。
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