場面・基礎史料とは? わかりやすく解説

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場面・基礎史料

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2020/07/10 15:29 UTC 版)

絹本著色後醍醐天皇御像」の記事における「場面・基礎史料」の解説

本作品を所蔵する時宗総本山清浄光寺には、『十二代尊観上人系図』という史料があり、そのうち3篇に本作品の来歴記録されている。『清浄光寺記録』等と呼ばれることもあり、3篇の文書が別々であるかのように言及されることもあるが、実際同一文書の中の3つの項である。2014年遊行寺宝物館館長遠山元浩の論文によって初め系図全編写真公開翻刻為された。 『十二代尊観上人系図』のうち「瑜祇御灌頂之事」には、内容について、以下のように記録されている(読点内田啓一による) 元徳二年庚午十月廿六日、於御節所殿被奉授之、〈御年四十三〉、御装束仲哀天皇御宸服、神武天皇御冠同着御之御袈裟者、龍猛菩薩自被開南天鐡塔已来三国相承之乾陀穀子之袈裟也、于今東寺在之 —『清浄光寺記録』「瑜祇御灌頂之事」 また、関連資料として、文観高弟の宝著した瑜伽伝灯鈔』(正平20年/貞治4年1365年))には、次のような記録がある(読点は本記事による)。 元徳二年十月廿六日、於御節所殿、奉授瑜祇灌頂主上申、神武天皇御冠仲哀天皇着御之、僧正東寺相承袈裟着用之 —宝、『瑜伽伝灯鈔総合すると、元徳2年1330年10月26日宮中御節所殿という場所で、文観後醍醐天皇瑜祇灌頂(ゆぎかんじょう)という灌頂授けた時の図を描いたのである。ただ、黒田日出男 によれば、眉が垂れ下がっているなど、老齢特徴見られることから、絵そのものは、設定上の43ではなく崩御時の52歳の姿を写したものではないか、という。 御節所殿という場所は未詳だが、内田啓一は、内裏後宮七殿の一つ常寧殿のことではないかとしている。常寧殿では五節舞が行われたため、別称五節殿または五節所というからである。 瑜祇灌頂とは、主に『瑜祇経上下巻のうちの上巻序品を基礎とする灌頂である。結縁灌頂けちえんかんじょう特定の仏と縁を結ぶ儀式)と伝法灌頂でんぼうかんじょう、師の教え継ぎ弟子を取る資格を得る儀式)を終え、相当の修学修行経たのち、最秘の経典によって行われる究極灌頂」「密教最高到達点」であり、これより上は即身成仏しかない瑜祇灌頂具体的な手順神奈川県横浜市称名寺本『瑜祇灌頂私記』に詳しいが、相当な知識量と複雑な手続き必要な儀式であり、内田は、後醍醐天皇どれほど密教習熟していたかが伺えるとしている。 儀式を受ける者はまず、覆面して投花(とうげ)を行う。次に『瑜祇経』が説く三十七尊の「三昧耶形」(さんまやぎょう)と二十二種の「種子」(しゅじ)を、特定の手順で「観想」する。三昧耶形とは、密教崇拝対象を、金剛杵こんごうしょ図像後醍醐握っている道具)などの祭器の形で表したシンボルのことである。種子とは、崇拝対象梵字悉曇文字)で表したシンボルである。観想とは、これらのシンボル心の中で描く儀式である。したがって儀式に臨むには密教熟知している必要がある。この儀式成功させることで、師から印明いんみょう手指言葉による真理シンボル)を授かることができる。 中世瑜祇灌頂比較多く行われた時代であるが、それでも選ばれた者にしか授けられない灌頂だった。後醍醐天皇は既に伝法灌頂阿闍梨あじゃり)の地位、つまり独自の弟子を取ることが可能な地位になる灌頂)という高い灌頂受けているが、瑜祇灌頂にはそれ以上価値があったと思われる世俗身分治天の君地位にある後醍醐天皇授かったというのは、例外的な事例である。ただ、例外的ではあるものの、後醍醐道順・栄海・性円らか灌頂を受け、文観からは印可仁王経秘宝両部伝法灌頂といったものまで授けられているので、熟練僧侶同格修行こなしてきている。したがって正しい段階は踏んでいるため、流れとしては自然であるという。 なお、愛妻家だった後醍醐は、同年11月23日正妃である中宮西園寺禧子にも同じ儀式を受けさせている(『瑜伽伝灯鈔』)。

※この「場面・基礎史料」の解説は、「絹本著色後醍醐天皇御像」の解説の一部です。
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