判決要旨
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原告は、「辞職願」をその内容を理解したうえで作成し、高谷教授を介してセンターへ提出したことを認めながら、「辞職願」を提出して辞職につながるとは思っていなかったとか、「辞職願」作成時はある種の理性を失っていたとか、「辞職願」は正式なものではないかもしれないと半信半疑であったなどと趣旨不明瞭ながら、その主張に一応沿う供述をするが、前記一認定〔註・矢野自筆の辞職願が高谷教授を通じて坪内所長に渡され、教授会と協議員会において辞職の申し出が承認されたことなどを指す。〕のとおり、原告は、「辞職願」作成後も、「京都大学を去るにあたって」と題する文書や退職手続書類を作成し、「辞職願」作成の翌々日には、京大教授としての職務を投げうって、東福寺に入山しているのであって、原告は「辞職願」作成時、京都大学教授を辞職する意志は固く、「辞職願」は原告の本意に基づくものであることは明らかである。従って、原告の「辞職願」不成立及び心裡留保の主張は理由がない。また、本件セクシュアル・ハラスメント問題発生語の経過や前記一認定の原告が「辞職願」を作成・提出するに至った経緯によれば、原告は「辞職願」作成時にその意思能力にかける点は全くないことも明白であるし、原告が主張する詐欺、強迫、錯誤を認めるに足りる証拠は全くない。 — 東京地裁平成8年8月20日判決、平成6年(行ウ)第58号、『辞職承認処分取消請求事件』、労判707号92頁。 原告は、センターが「辞職願」受領後、本人の意思確認の手続を怠ったから、本件辞職承認手続に瑕疵がある旨主張するが、前記のとおり、原告の「辞職願」提出による辞職の意思表示には、全く瑕疵がなく、そもそも「辞職願」の受理とは別に、あえて原告の意思確認手続をしなければ、本件辞職承認処分が違法となるわけではなく、(教育公務員特例法一〇条、国家公務員法七七条、人事院規則八―一二第七三条)、原告の主張は主張自体失当である。なお、本件においては、坪内所長が原告の辞職の意思を確認したこと、原告は、坪内所長の要請に従って、「辞職願」とは別に、センター教授会、協議員会で審議するときの理由書として辞職の理由を記した「京都大学を去るにあたって」と題する文書を作成してセンター事務局に提出したことは前記認定のとおりであって、原告の意思確認手続きは充分なされていたというべきである。 — 東京地裁平成8年8月20日判決、平成6年(行ウ)第58号、『辞職承認処分取消請求事件』、労判707号92頁。
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判決要旨
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2017/10/15 09:53 UTC 版)
国際司法裁判所が下した判決を概説する。 国籍付与自体は各国の裁量にゆだねられた国内管轄事項であるが、ここで問題となっているのは国籍付与の国内法的効果ではなく国際法的効果であり、リヒテンシュタインの国内法上違法かどうかを判断する必要はない。 総領事による査証や外務省による外国人登録簿記載といった行為は、入国を円滑に行うなどのための行為であって、リヒテンシュタインによる外交的保護権とは何ら関係がないため、リヒテンシュタインがノッテボームのために外交的保護権を行使することをグアテマラが承認したと示す行為は確認できない。事実、グアテマラは1944年にこの国籍付与を認めない意思を明確に表明している。 帰化は軽々しくなされるべき行為ではない。国内法に基づく国籍付与を他国に主張する場合、国家と個人の実効的結びつきが存在する場合にしか、他国に対してその主張は対抗しえない(「真正な結合」理論)。 グアテマラと交戦状態にあったドイツの国籍を放棄することが、リヒテンシュタイン国籍取得の動機であったということを示す証拠はない。しかしノッテボームは帰化申請までの約34年間もの間グアテマラに居住し、実質的にグアテマラに本拠を置いていた。対称的にリヒテンシュタインとのつながりは極めて薄く、つながりと言えば兄弟の一人が居住していることと、数度滞在した経験があるだけであり、帰化申請時にはリヒテンシュタインに住所もなく、国籍取得後はグアテマラに入国する意思を示した。国内法に基づいてリヒテンシュタインが国籍付与を行ったことを、グアテマラが尊重しなければならないほどの密接な結びつきは、リヒテンシュタインとノッテボームの間には存在しない(真正な結合の欠如)。 リヒテンシュタインの請求は受理できない。
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判決要旨
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「ニューヨーク州対ファーバー事件」の記事における「判決要旨」の解説
児童ポルノの頒布は本質的に児童に対する虐待に結びついている。児童をポルノの素材とすることは児童の精神衛生に有害であるからこれを規制しようとする立法趣旨は正当である。ミラー対カリフォルニア州事件判決に照らして猥褻性を有する児童ポルノのみを規制するだけでは、児童ポルノの問題を解決することができない。児童ポルノを販売することは製造の経済的動機付けになる。児童のポルノ出演は禁じられており、児童ポルノの販売は違法行為の不可分の一部であるといえる。また、児童ポルノが重要な価値を有するとは通常考えられず、芸術的な必要性が認められる場合であっても代替手段がある。 このような理由から、児童ポルノは猥褻性の審査を経ずとも憲法修正第1条が保護する対象の枠外にあり、州はその製造と頒布を規制することができると判断するべきである。表現内容を理由にある種の表現が一律に憲法上保障されないとする判断は、先例に矛盾しない。 ニューヨーク州刑法第263条は児童ポルノの定義を明確に示し、同条第15項の規制が過度に広汎とは言えない。また、そもそも憲法で保障されない表現を規制する当該条項を過小包摂により違憲と結論づけることはできない。 よって、ニューヨーク州刑法第263条第15項による規制は合憲と解釈される。
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