判決書の公開とは? わかりやすく解説

判決書の公開

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/06/11 08:01 UTC 版)

判決 (日本法)」の記事における「判決書の公開」の解説

最高裁判所の判決文のうち、先例性が高いものは、最高裁判所民事判例集最高裁判所刑事判例集登載される(公式サイトには、登載予定段階公開される)。それ以外判決重要性の高いものは、下級審の判決含めそのほか公式判例集登載されたり公式サイト公開される場合もある。)、判例時報判例タイムズなど民間判例雑誌等掲載される。しかし、これらの公刊物インターネット上掲載されない判決文については、保管機関閲覧請求することになる。 民事裁判判決書については、誰でも裁判所書記官対し、その閲覧請求することができ、裁判所書記官は、訴訟記録保存または裁判所執務支障になるような場合以外は、その閲覧拒むことができない民訴法911項)。ただし、当該訴訟当事者が、私生活について重大な秘密、あるいは営業秘密記載されているなどとして閲覧制限等を申し立て裁判所が、申し立てを相当と認めて閲覧制限決定をした場合は、当該訴訟当事者以外の第三者について、判決書一部又は全部閲覧制限される場合あり得る民訴法921項)。 刑事裁判判決書についても、当該事件確定すれば、誰でも検察官対し、その閲覧請求することができ、検察官は、訴訟記録保存または裁判所もしくは検察庁事務支障のある場合以外は、その閲覧を許すものとされる刑訴法521項刑事確定訴訟記録法4条1項)。しかし、憲法82ただし書掲げ事件以外の事件判決書については、検察官が、当該閲覧により、公の秩序又は善良風俗害されるおそれ、犯人改善及び更生著しく妨げられるおそれ、関係人の名誉又は生活の平穏著しく害されるおそれのいずれか認めた場合閲覧請求者が、訴訟関係人又は閲覧につき正当な理由があると認められる者でない限り、その閲覧制限される刑事確定訴訟記録法4条2項)。ここでいう訴訟関係人とは、被告人弁護人等をいい、閲覧につき正当な理由があると認められる者とは、民事訴訟など裁判手続等のため、あるいは学術研究のために閲覧必要な者をいうとされる裁判例には、ジャーナリストによる取材目的につき、「正当な理由」に当たらないしたものがある(群馬県警事件)。とはいえ訴訟記録全般閲覧とは異なり判決書閲覧については、身上前科等の記載部分黒塗りされる場合があるものの、緩やかに認め運用なされているといわれている。 以上のような枠組みの下、インターネット等で広く公開される判決件数は、最高裁判決では1-2%、下級審判決では0.1程度とどまっている。裁判IT化先進国としてたびたび参照されるシンガポールにおいて、法律情報流通促進などを役割とするen:Singapore Academy of Lawが、裁判所から判決テキストの提供を受けた上で全判決をウェブ有償公開している(言渡後3か月間は無償)こととは対照的である。そのため、特に民商分野においては将来的AI利活用視野に、判決公開件数大幅拡大やそのための新たな制度枠組み構築多方面から求められており、政府において、裁判所から判決文の提供を受け、AI用いて個人情報匿名化をした上でデータベース化する方針打ち出されている。

※この「判決書の公開」の解説は、「判決 (日本法)」の解説の一部です。
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