下級審判決
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/08/08 05:13 UTC 版)
第一審の神戸地方裁判所は、児童福祉手当とそのほかの公的年金の併給禁止規定は憲法第14条違反であるとし、憲法第25条第2項の規定による社会保障施策において差別的な取扱いをしてはならないとして原告を勝訴させた。 控訴審の大阪高等裁判所は、憲法第25条第2項の規定は第1項における「健康で文化的な最低限度の生活」を保障したものではなく第2項による国の政策については財政状況などから立法の裁量が認められ違憲ではないとして、原告を敗訴とした。 特にこの控訴審判決が上の結論を導くにあたって提示したものとして特徴的なものにいわゆる「1項、2項分離論」が挙げられる。 判例や学説が憲法25条は1項が生存権を示し、2項が国に対してその実現の義務を課したとして、1項、2項が全体として国民の最低限度の生活を保障していると考えていた(現在もそうであると考えられる)。 しかし、本判決は1項を現在において最低限度を下回っている者を事後的に救済するための規定、すなわち救貧規定であると解する。そして、2項は、1項とは異なり、現在は最低限度の生活をできている者が将来最低限度の生活を維持できなくなることを防ぐべく、国は事前の施策をなすべきであることを定める規定、つまり防貧規定だと解する。これにより、国の裁量権を1項では小さく、2項では大きく考えることができるとする。 これは国の裁量権をより小さく限定的に捉えようとする点で画期的であるが、何が防貧で何が救貧かは区別が難しく、区別の仕方如何によっては逆に国の裁量権を大きくしかねないことから、この考え方は浸透していない。
※この「下級審判決」の解説は、「堀木訴訟」の解説の一部です。
「下級審判決」を含む「堀木訴訟」の記事については、「堀木訴訟」の概要を参照ください。
下級審判決
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/08/04 05:21 UTC 版)
「愛媛県靖国神社玉串料訴訟」の記事における「下級審判決」の解説
1審の松山地裁は目的効果基準に照らし、本件行為は県と宗教の結びつきが相当な限度を超えた宗教的活動であるとして違法であると判断した。2審の高松高裁も目的効果基準を採用したが、本件行為は宗教的意義はあるが公金支出は小額で社会的儀礼の程度であり、玉串料を出した知事の行為は遺族援護行政の一環であり宗教的活動に当たらないとして合憲とした。
※この「下級審判決」の解説は、「愛媛県靖国神社玉串料訴訟」の解説の一部です。
「下級審判決」を含む「愛媛県靖国神社玉串料訴訟」の記事については、「愛媛県靖国神社玉串料訴訟」の概要を参照ください。
- 下級審判決のページへのリンク