他の障害の併存と鑑別とは? わかりやすく解説

Weblio 辞書 > 辞書・百科事典 > ウィキペディア小見出し辞書 > 他の障害の併存と鑑別の意味・解説 

他の障害の併存と鑑別

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/04/10 09:58 UTC 版)

境界性パーソナリティ障害」の記事における「他の障害の併存と鑑別」の解説

BPD診断された人の約60% - 90% 以上が他の障害併存している。他のパーソナリティ障害や、不安障害うつ病双極性障害躁うつ病)などの気分障害薬物依存症摂食障害などが多い。I 軸障害積極的な治療パーソナリティ安定につながる。 2008年行われたアメリカ調査では、併存疾患として多かったのはアルコール薬物依存心的外傷後ストレス障害PTSD)、うつ病双極 I 型 障害不安障害他のパーソナリティ障害であった。また1998年別の統計では、パニック障害社交不安障害などの不安障害うつ病気分変調症などの気分障害アルコール依存薬物乱用摂食障害PTSD身体表現性障害多かった併存疾患には男女差がある。アルコール薬物依存男性多くうつ病不安障害摂食障害心的外傷後ストレス障害PTSD)は女性に多い。以下の表3.を参照されたい。 ほとんどの患者なんらかの併存疾患持っているのだが、BPD自体が、他の障害重複する症状・診断基準多く鑑別がつきにくい。統合失調症症状似た一過性の精神病症状現れることは前述した通りだが、初期の統合失調症統合失調感情障害誤診されやすい所見持ち双極 II 型障害アスペルガー症候群などの広汎性発達障害解離性同一性障害多剤併用薬物大量処方によって起こる薬剤起因精神障害とも鑑別がつきにくく、一旦BPD診断されても、後にそれらの病名診断変更になることがある。 特に双極II型障害症状類似しており誤診断も多い。北海道大学病院精神科神経科通院している患者調査したところ、初診時または2年半以上後BPD診断がついた患者が、その後双極 II 型診断変更されたのは、47例中15例(約32%)であった。またアスペルガー症候群診断変更された例は47例中3例で、約6.4%が誤診断されていた。 表2. 併存疾患診断変更BPDに多い併存疾患BPD間違われやすい疾患BPD間違われやすい疾患 統合失調症統合失調感情障害 アスペルガー症候群広汎性発達障害注意欠陥・多動性障害(ADHD) 注意欠陥・多動性障害並存でない例) 一般身体疾患 うつ病 うつ病併存でない例) 双極 I 型障害 双極 II 型障害併存でない例) アルコール依存症 薬物乱用依存症 薬剤精神病処方薬含む ※) 心的外傷後ストレス障害(PTSD) 心的外傷後ストレス障害併存でない例) 解離性障害 解離性障害併存でない例)・解離性同一性障害 不安障害パニック障害社交不安障害等) 不安障害併存でない例) 摂食障害 摂食障害併存でない例) 他のパーソナリティ障害 医原性パーソナリティ障害自己愛性・反社会性パーソナリティ障害男性のみ) ※ 下記医原性パーソナリティ障害参照。 表3. 併存する I 軸疾患パーソナリティ障害併存率 Zanarini(1998併存率(計)男性女性Grant ら(2008併存率(計)男性女性気分障害 うつ病 82.8% 75.9% 84.8% うつ病 32.1% 27.2% 36.1% 気分変調症 38.5% 37.3% 38.9% 気分変調症 9.7% 7.1% 11.9% 双極 I 型障害 双極 I 型障害 31.8% 30.6% 32.7% 双極 II 型障害 9.5% 双極 II 型障害 7.7% 6.7% 8.5% 物質関連障害 アルコール乱用 52.2% 65.1% 40.9% アルコール乱用 15.7% 18.9% 12.9% アルコール依存症 アルコール依存症 41.6% 52.2% 32.7% 薬物乱用 46.2% 60% 40.9% 薬物乱用 27.2% 34.6% 21.3% 薬物依存症 薬物依存症 17.7% 22.1% 14% 不安障害 心的外傷後ストレス障害(PTSD) 55.9% 34.9% 60.8% 心的外傷後ストレス障害(PTSD) 39.2% 29.5% 47.2% パニック障害 47.8% 41% 49.7% パニック障害 11.5% 7.7% 14.6% 社交不安障害 45.9% 49.4% 44.9% 社交不安障害 29.3% 25.2% 32.7% 特定の恐怖症 31.7% 28.9% 32.4% 特定の恐怖症 37.5% 26.6% 46.6% 強迫性障害 15.6% 全般性不安障害 13.5% 18.1% 12.2% 全般性不安障害 35.1% 27.3% 41.6% 広場恐怖症 12.1% 摂食障害 拒食症 20.8% 7% 25% 過食症 25.6% 10% 30% 特定不能の摂食障害 26.1% 10.8% 30.4% 身体表現性障害 身体化障害 4.2% 心気症 4.7% 疼痛性障害 4.2% Grant ら(2008併存率(計)男性女性パーソナリティ障害 73.9% 76.5% 71.8% クラスターA 50.4% 49.5% 51.1% 妄想性パーソナリティ障害 21.3% 16.5% 25.4% スキゾイドパーソナリティ障害 12.4% 11.1% 13.5% 統合失調型パーソナリティ障害 36.7% 38.9% 34.9% クラスターB 49.2% 52.8% 42.1% 反社会性パーソナリティ障害 13.7% 19.4% 9% 演技性パーソナリティ障害 10.3% 10.3% 10.3% 自己愛性パーソナリティ障害 38.9% 47% 32.2% クラスターC 29.9% 27% 32.3% 回避性パーソナリティ障害 13.4% 10.8% 15.6% 依存性パーソナリティ障害 3.1% 2.6% 3.5% 強迫性パーソナリティ障害 22.7% 21.7% 23.6% Zanarini(1998)、Grant ら(2008)の調査より引用

※この「他の障害の併存と鑑別」の解説は、「境界性パーソナリティ障害」の解説の一部です。
「他の障害の併存と鑑別」を含む「境界性パーソナリティ障害」の記事については、「境界性パーソナリティ障害」の概要を参照ください。


他の障害の併存と鑑別

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/06/18 16:02 UTC 版)

双極性障害」の記事における「他の障害の併存と鑑別」の解説

正常な気分変動では、悲しみ高揚はあるが著し苦痛機能障害はない。特に35歳上で初め発症した場合には、身体疾患抗うつ薬薬物影響可能性念頭に入れられる躁病エピソード素人でもわかるくらい分かりやすい軽躁病エピソードしかない場合には双極II型障害であり、また軽躁病の期間が短いとか治療薬薬物影響があるとか、長く抑うつ呈していた人が正常な気分であるときに高揚とか変な感じ訴えたりもするため鑑別難しく家族歴参考となることもある。 双極性障害では合併も多い。 双極II型場合50から60%の確率並存認められ[要出典]、2つ上であることもまれではないという。並存として多いものには、アルコール薬物依存症が約30%、過食症やむちゃ食い障害13から25%パーソナリティ障害(特に境界性パーソナリティ障害)が30から40%、パニック障害などの不安障害、などがある。その他としては、ブリケ症候群月経前緊張症候群、注意欠陥・多動性障害 (ADHD) などもある。なお、双極性障害との鑑別がつきにくい疾患もある。 境界性パーソナリティ障害 (BPD) 自殺未遂対人関係問題気分の波や衝動性など、表面上の症状似た点も多い。BPD元来精神分析的な観点から定義されているが、診断基準上は行動面の特徴診断するほかないため、判断を誤る可能性がある。見逃されやすい軽躁確実に見極めることも重要である。アキスカルらは双極スペクトラム患者がしばしばBPD誤診されていると指摘した士気低下 (Demoralization) による行動化によりBPD診断されている可能性もある。また双極性障害患者の約30%がBPD合併しているとされ、パーソナリティ障害合併率としては最も多く次いで演技性反社会性自己愛性パーソナリティ障害と続く。双極II型などの双極素因者に安易に抗うつ薬抗不安薬投与し、“薬害BPD患者作らないように注意する必要があるだろう。 自己愛性パーソナリティ障害 (NPD) 自己愛性パーソナリティ障害境界性パーソナリティ障害同様に分裂スプリッティング)が生じており、誇大的自己とそれを反転させた無価値自己とを抱えている。現実が思う通りならない事態直面する無価値自己へと「転落」して深刻な抑うつ呈し事態が思う通り展開して誇大的自己へと復帰する一転して躁的万能感を示す。自己意識連動した抑うつ軽躁交代によって、双極II型障害や、急速交代型(rapid cycler)としばしば誤診される。双極性障害における各相期の持続期間は通常4週間上であり、パーソナリティ障害では4週を越えることは少ない。パーソナリティ障害場合薬物療法奏功せず、対症療法の域を出ない統合失調感情障害 双極I型障害期に幻聴妄想を伴うことがあるが、統合失調感情障害では気分症状がない時期にも精神病症状がある。 注意欠陥・多動性障害 ADHDでは気分高揚はない。子供イライラかんしゃくはほとんどが正常か、注意欠陥多動性障害 (ADHD) などであり、流行する診断名巻き込まれないよう。ほとんどかんしゃくは非常に短期間であり、ここでいうエピソード的ではない。#子供の双極性障害参照物質医薬品誘発性双極性障害 アルコールカフェインなど、気分変動薬物使用開始中止沿って起きておさまり適切な離脱の期間をすぎて気分変動がおさまる。DSM-5では、一部抗うつ薬向精神薬躁病起こしても、症状の数が十分でないイライラといった程度では診断すべきではない、と記されるステロイドが例に挙げられている。 他の医学的疾患による双極性障害 脳梗塞甲状腺機能亢進症など、医学的疾患によって気分変動起きており、その身体疾患治療によって症状改善されるDSM-5では、躁病引き起こす最も知られたものに、クッシング病多発性硬化症脳卒中外傷性傷害例示されており、抑うつでは甲状腺機能低下症ハンチントン病パーキンソン病外傷性傷害といったものが知られるが、その関連性明確に確立されていないものもある。

※この「他の障害の併存と鑑別」の解説は、「双極性障害」の解説の一部です。
「他の障害の併存と鑑別」を含む「双極性障害」の記事については、「双極性障害」の概要を参照ください。

ウィキペディア小見出し辞書の「他の障害の併存と鑑別」の項目はプログラムで機械的に意味や本文を生成しているため、不適切な項目が含まれていることもあります。ご了承くださいませ。 お問い合わせ



英和和英テキスト翻訳>> Weblio翻訳
英語⇒日本語日本語⇒英語
  

辞書ショートカット

すべての辞書の索引

「他の障害の併存と鑑別」の関連用語

他の障害の併存と鑑別のお隣キーワード
検索ランキング

   

英語⇒日本語
日本語⇒英語
   



他の障害の併存と鑑別のページの著作権
Weblio 辞書 情報提供元は 参加元一覧 にて確認できます。

   
ウィキペディアウィキペディア
Text is available under GNU Free Documentation License (GFDL).
Weblio辞書に掲載されている「ウィキペディア小見出し辞書」の記事は、Wikipediaの境界性パーソナリティ障害 (改訂履歴)、双極性障害 (改訂履歴)の記事を複製、再配布したものにあたり、GNU Free Documentation Licenseというライセンスの下で提供されています。

©2025 GRAS Group, Inc.RSS