子供の双極性障害
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/06/18 16:02 UTC 版)
初回の発病は15-19歳からであり、12歳以下は稀と言われている。小児期における双極性障害の発生率は1 - 5%程度とみられているが、数値の正確性も含め、様々な議論や研究が行われている。こうした症例は、突然に衝動性、攻撃性を示す一方、そのような状態を示す時以外は持続的に不快気分を示す時が多く、双極I型障害、双極II型障害の診断基準を満たさないことから、「特定不能の双極性障害」「非定型双極性障害」と診断される場合が多い。DSM-IVのアレン・フランセス編纂委員長は、DSM-IV発表以降、米国で小児双極性障害が40倍に増加したことについて、「育児上の問題、子どもの発達の問題すべてが双極性障害の証拠として解釈されてしまいました」「多くの子どもが幼い年齢であっても高用量の薬を処方されていて、子どもたちには非常に有害です」と述べている。アメリカ精神医学会が定めるガイドラインであるDSM-5のドラフトでは、こうした問題に対応するため、新たに「重篤気分調節症」という診断基準が提案されている(なお、DSM-5ドラフトでは、当初「Temper Dysregulation Disorder with Dysphoria」(神経不安を伴う気分調節障害)という診断名が提案されたが、パブリックコメントの募集の後、上記のように変更された)。 DSM-5では、重篤気分調節症 (DMDD) は抑うつ障害群の章に記載されている。 アレン・フランセスは、重篤気分調節症の診断名を使用しないよう推奨する。子供の双極性障害の診断を受けた例では、ほとんどの場合が躁とうつの循環ではなくエピソードではないかんしゃくなどを起こしているのみであり、そのような見解を裏付ける検証はなされておらず、製薬会社から支援を受けた「指導的な研究者や医師」が型にとらわれないように診断するよう促したことがあるが、正常な範囲であることもあり、また従来からよく使われた診断に伴った治療法の方が合っている可能性がある。診断名がレッテルとなったり、何かを諦めることにつながったり、保険に入るのが難しくなったり、子供の人生を歪めることもあり、またとりわけ肥満や糖尿病のリスクを増加させる可能性のある不適切な抗精神病薬の使用は控えることを推奨している。
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