子供のプライバシー
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/08/20 02:23 UTC 版)
「シェアレンティング」の記事における「子供のプライバシー」の解説
デジタルデータは悪用される可能性があることから、シェアレンティングに対して批判的な人も多く、多くの親がオンライン上での書き込みに起因する不正行為を警戒している。位置情報、氏名、生年月日、画像、通っている学校などの未成年者の個人情報を公開すると、悪意のある受信者による違法行為にさらされる可能性がある。共有された情報は「なりすまし」のために悪用されることが多く、詐欺師が子供を尾け回したり、ストーカーしたり、詐欺を働いたり、さらには家族を脅迫したりすることもある。特に、入手した個人情報を用いて同僚や親戚を装い、フィッシングリンクをクリックさせてログイン情報を盗み取る「スピアフィッシング」の標的となる可能性がある。バークレイズ社によると、若い世代をターゲットにしたオンライン詐欺は、2030年までに6億7,000万ポンド(約7億9,000万ドル)の損失を生むと見られ、なりすまし詐欺の3分の2はシェアレンティングに関連したものになるという。さらに、ポルノコンテンツを制作するために、ソーシャルメディアから子供の画像を集める人もいる。 法的枠組みの中でのデータ・プライバシーの侵害も懸念される。ユーザーがソーシャルメディア・プラットフォームのプライバシーポリシーに同意すると、IT企業やその他関連組織はユーザーデータの一部をトラッキングして送信する権利を有するが、多くのシェアレンティングする親はこの事実を軽視しがちである。共有された情報は、子供に対する広告やマーケティング戦略の策定、サーベイランスシステムの新しいアルゴリズムの開発、移民法施行のための家族の追跡、一部の子供の非行の予測などに利用されうる。サードパーティーによるこのような行為は、ユーザーのデータにアクセスしてそれを販売することが、ユーザー、特に個人情報に対する自律性が低い未成年者の権利を侵害するかどうかについて、社会的な議論を引き起こしている。 また、偽者が写真を入手して未成年者の親や友人であるかのように振る舞う「デジタル誘拐(英語版)」と呼ばれる現象が、親たちを不安にさせている。ステイシー・スタインバーグ法学教授の研究における事例では、母親であるパリスさんが、見知らぬ人が息子の写真を盗み、自分がその子の親であるかのようなふりをして自分のホームページで紹介していることに気付いたという。この人物のような「デジタル誘拐犯」は、プライバシーの問題を考慮することなく、こうしたロールプレイによって「いいね!」や人気を急激に高めることに喜びを感じているとされる。
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