子供のイマジナリーフレンド
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/07/23 05:02 UTC 版)
「イマジナリーフレンド」の記事における「子供のイマジナリーフレンド」の解説
明確な性差が見られ、女児は、男児よりもイマジナリーフレンドを持ちやすいことが繰り返し指摘されている。子どものパーソナリティや気質については、かつては、内気な子供や社会性の低い子供がイマジナリーフレンドを持ちやすいと考えられていたが、近年の研究はイマジナリーフレンドを持つ子供と持たない子供の間にパーソナリティや気質の違いはほとんどないことを示している。出生順位には明確な差があり、多くの研究が、長子もしくは一人っ子は、それ以外の子供よりも、イマジナリーフレンドを持つ可能性が高いことを示している。 犬塚らの調査では、イマジナリーフレンドは子供と同性、同年齢で、人間の形をとり、友達の役割を演じることが多かった。名前が付けられて(約2分の1)、肯定的感情を抱かれ(大部分)、実在感が強く(約5分の2)、聴覚的イメージ(3分の1強)、視覚的イメージ(4分の1弱)を有することもあった。 イマジナリーフレンドの機能については、Nageraが以下の7つのことを挙げている。①超自我の補助機能 ②受け入れがたくなった衝動の発散のための手段 ③スケイプゴート ④全能感を遷延させる試み ⑤原始的な自我理想の人格化 ⑥孤独感や無視され拒絶されている感じを埋めるもの ⑦退行や症状形成の回避 イマジナリーフレンドの生成メカニズムについて、森口は以下のように述べている。「子どもが一人で遊ぶ時間があることは必須要件であろう。テレビを見る時間は少なく,きょうだいがいないか,養育者が下のきょうだいに長い時間を費やすような環境が必要である。次に,養育態度も重要であろう。子どもの心に対して働きかけつつ,子どもの行動にはあまり干渉せずに,自由に遊ばせるような養育態度が第二の必須要件である。養育者が子どもの心に対して働きかけると,子どもの社会的認知能力の発達は促進される。特に,養育者の乳児の心への働きかけは,ある種の空想的な心のやりとりを含むため,養育者にこの傾向が強いと,乳児は同様に過剰な社会的認知能力を発達させる。実際には心がないぬいぐるみや人形などのモノに対して生物学的特性や心理学的特性を帰属させ,PO(Personified Object 人格を与えられたモノ、ぬいぐるみ等)が生成される。また,過剰な社会的認知能力は,目に見えない他者の検出を促し,IF(Invisible Friend ぬいぐるみ等ではない目に見えないイマジナリーフレンド)が生成される。そして,このような生成が,ナラティブを紡ぐ能力を持つことで,一貫したストーリーになることが重要である。一時的にPOに心を読み込んだり,IFを生成したりするのではなく,それらの友達が日常的に継続し,一貫したストーリーになるために,ナラティブスキルが重要な役割を果たしている。もちろん,ある種の空想傾向の強さは必須だろうし,視覚像や聴覚像を生成する能力も必須かもしれない。これらの認知的・環境的な要件がそろったときに空想の友達は生成されるのではないだろうか。」
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