生物学的特性
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2013/12/22 13:49 UTC 版)
「C. elegans」の記事における「生物学的特性」の解説
多くの線虫が他生物に寄生することが知られるが、線形動物門に占める割合としては大半の種は寄生せず、C. elegans も自由生活性である。実験室では寒天培地上に生やした大腸菌を餌として飼育される。 性染色体による性決定は XO 型である。XX の個体は雌雄同体になり、XO の個体は雄になる。雌雄同体は幼虫期に 300 個弱の精子を作り、成虫期になると卵形成し、貯めておいた精子を使って自家受精を行う。一個体が産卵する子孫は 300 匹弱。このことは実験上、遺伝的な背景を均一にすることに役立つ。一方、雄は約 0.1% の割合で現れる。これと雌雄同体とを交配させることも可能。 雌雄同体成虫の体細胞は 959 個、雄では 1031 個。神経、筋肉、消化管、表皮、生殖巣といった組織、器官をもつ。胚は約14時間で孵化し、幼虫(L1-4)はクチクラ層の脱皮を4回繰り返し成虫になる。体の半分以上の体積を占める生殖系列細胞は 1000 個を越えることもある。 神経細胞はわずか 302 個で、頭部の神経環と呼ばれる部位に多数集まり脳に相当する領域を形作っている。これだけの細胞で物理刺激に対する回避運動や、化学物質(塩化ナトリウムなど)や温度と餌を関連付けた学習やベンズアルデヒドなどの誘引性揮発性物質に対する順応などの行動を示す。また、個々の神経がどの細胞とシナプスもしくはギャップジャンクションを形成しているかが透過型電子顕微鏡の連続切片像から完全に再構築されていることや、レーザーを照射して特定の神経細胞を破壊する実験などから、どの神経細胞がどのような行動に関わるかもある程度わかっている。
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