生物学的窒素固定
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/07/21 07:03 UTC 版)
ある種の細菌がもっている酵素のニトロゲナーゼは、大気中の窒素をアンモニアに変換するはたらきを持ち、この作用を生物学的窒素固定といい、窒素固定を行う微生物をジアゾ栄養生物(diazotroph)という。 ニトロゲナーゼによる窒素固定反応は、次式のように表される。 N 2 + 8 H + + 8 e − + 16 ATP ⟶ {\displaystyle {\ce {{N2}+{8H^{+}}+{8{\mathit {e}}^{-}}+16ATP->}}} 2 NH 3 + H 2 + 16 ADP + 16 Pi {\displaystyle {\ce {{2NH3}+ {H2}+ {16ADP}+ 16Pi}}} ATP = アデノシン三リン酸 , ADP = アデノシン二リン酸 , Pi = リン酸 この反応による直接の生成物はアンモニア(NH3)であるが、これはすぐにイオン化されてアンモニウム(NH4+)になる。生きているジアゾ栄養生物であれば、ニトロゲナーゼで作られたアンモニウムは、グルタミンシンセターゼ/グルタミン酸シンターゼ経路によって同化され、グルタミン酸塩となる。また、亜硝酸菌や硝酸菌といった硝化細菌の存在下では、最終的にアンモニウム塩は硝酸塩として、植物が利用できる形になる。 生物学的窒素固定はオランダの微生物学者、マルティヌス・ベイエリンクとロシア(ウクライナ)のセルゲイ・ヴィノグラドスキーによって発見された。 真正細菌であるリゾビウム属などの根粒菌は窒素固定能を持つ。パエニバシラス・ポリミキサ(P. polymyxa)は窒素固定能を持つ。
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