幼虫期
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/05/01 23:35 UTC 版)
「シャープゲンゴロウモドキ」の記事における「幼虫期」の解説
幼虫は自然下では3月 - 4月ごろに出現し、2回の脱皮で3齢幼虫(終齢幼虫)に変態し、孵化後約1か月ほどで蛹化する。体長は1齢幼虫で18 - 25 mm、2齢幼虫は34 - 41 mm、3齢幼虫は52 - 58 mmである。 幼虫は非常に獰猛で、成虫とは異なり水生カメムシ類(タガメなど)と同様に体外消化を行い、小動物の肉質を溶かして吸い取るように食べる。幼虫は孵化して約半日後から動くものになんでも反応して餌を捕食し、ミズムシ(甲殻類・ワラジムシ目)やアカガエルの幼生(オタマジャクシ)・クロサンショウウオの幼生などを食べて成長するほか、幼虫同士で共食いを行う場合もある。1・2齢幼虫は主にミズムシを捕食し、成長に伴ってフタバカゲロウの幼虫・アカガエルの幼生なども捕食するようになるが、特にヤマアカガエルのオタマジャクシは本種生息地において幼虫が出現する時期(3月・4月)に最優占種となっており、かつ幼虫の生育に最適な栄養素を有しているため、幼虫にとって重要な餌になっていると考えられている。 なお雑食性であるオタマジャクシはまだ小さい1齢幼虫・脱皮前後の無防備な幼虫を集団で襲って逆に捕食するケースがあるほか、都築 (2003) は自身の観察結果から「捕食中の幼虫は防御体制がしっかり取れないため外部からの衝撃に極めて弱く、オタマジャクシを捕食していた3齢幼虫がほかのオタマジャクシに体当たりされて死亡するケースがあった。1週間分の生き餌をまとめて与えたり、幼虫の数倍もある大きな餌を与えることは避け、餌は毎日様子を見ながら必要な分だけ与えることが望ましい」と述べている。3齢幼虫は1日に約20匹のオタマジャクシを捕食するほどの大食漢で、成虫の大きさは幼虫期の生育環境で決まる。 幼虫は脱皮の半日 - 1日前には食欲がなくなり、水草などに掴まってじっとするようになり、脱皮直前には適当な足場を探して体を固定する。足場がしっかりしていないと途中で抜けられなくなり死亡してしまうが、水深が浅ければ特に足場がなくてもうまく脱皮できる。脱皮直後の幼虫は体が柔らかいため自然界ではほかの生物たちに捕食されやすいが、脱皮後数時間もすると再び強い食欲で摂食活動を再開する。また幼虫は成虫よりはるかに水質悪化に敏感である。
※この「幼虫期」の解説は、「シャープゲンゴロウモドキ」の解説の一部です。
「幼虫期」を含む「シャープゲンゴロウモドキ」の記事については、「シャープゲンゴロウモドキ」の概要を参照ください。
- 幼虫期のページへのリンク