ヤマアカガエルとは? わかりやすく解説

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やま‐あかがえる〔‐あかがへる〕【山赤×蛙】

読み方:やまあかがえる

無尾目アカガエル科両生類ニホンアカガエルに似るが、背側線が鼓膜のあたりで曲線を描く。本州四国九州山地にすむ。


ヤマアカガエル

和名:ヤマアカガエル
学名Rana ornativentris
    カエル目
分布本州四国九州などに分布する固有種
 
写真(上):ヤマアカガエル成体
写真(下):ヤマアカガエル卵
説明
ニホンアカガエル説明参照。本種は水田湿地産卵するが,成体は非繁殖期には森林移動するニホンアカガエルよりも繁殖場所のまわりに残ることが少ない。移動力は強いものと考えられる区別店:ニホンアカガエルとの区別店はニホンアカガエル説明参照同所的生息するタゴガエルナガレタゴガエルとは,本種の場合,白〜黄色をしたのどのところに,黒い,くっきりした斑紋散在することで区別できるタゴ,ナガレタゴは不規則な細かい暗点密にあり,のど全体がぼんやりと暗くなっている。ただし,3種とものどが白く,黒班のないことあり。鳴き声:キャララッ,キャララッ,という意外に大きな声で鳴く
ヤマアカガエル成体

ヤマアカガエル卵


ヤマアカガエル

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/04/21 03:20 UTC 版)

ヤマアカガエル(山赤蛙[2]学名Rana ornativentris Werner, 1903[3])は、アカガエル科アカガエル属に分類されるカエルの1[4]。学名は「腹に模様をもったアカガエル」の意味[5]


注釈

  1. ^ ニホンアカガエルの背側線は真っ直ぐで、鼓膜の後方でもほとんど曲がらない[8]。また、ニホンアカガエルは本種より鼻先の尖りが強い[9]
  2. ^ ニホンアカガエルのオタマジャクシは背中に左右一対の黒点を有する[11]
  3. ^ ニホンアカガエルは平地・丘陵地に生息する[10]
  4. ^ 水田・池[7]・山際の溝[14]・湿地・道路や河川敷の浅い止水域にも産卵する[5]
  5. ^ 春先に更かした本種のオタマジャクシがヒキガエルの卵塊を集団で捕食していた事例もある[13]
  6. ^ 同種の幼虫は1齢幼虫・2齢幼虫の段階では主にミズムシ(等脚目)を捕食し、成長に伴ってフタバカゲロウの幼虫・アカガエルの幼生なども捕食するようになる千葉県生物多様性センター「千葉県シャープゲンゴロウモドキ回復計画(公表版) (PDF) 」、千葉県環境生活部自然保護課、2010年3月31日、2019年3月5日閲覧。
  7. ^ シャープゲンゴロウモドキの幼虫出現時期(3月・4月)には本種(ヤマアカガエル)のオタマジャクシが最優占種となり、かつ本種のオタマジャクシはシャープゲンゴロウモドキ幼虫の生育に最適な栄養素を有しているため[18]
  8. ^ 「湿田」とは「乾田」の対義語で、湧水などにより、雨の少ない冬でも水が溜まったままの水田[20]
  9. ^ 冬季の水田には通常は水がないため、本種やニホンアカガエルはトラクターの轍跡などに溜まった一時的な水溜りに産卵する例が多いが、その場合は降雨が少ないと、卵塊・幼生(オタマジャクシ)は乾燥死してしまう[14]。また山間部の放棄水田は乾田化し、産卵場所としては役立たなくなっている[14]
  10. ^ 東京都西多摩は準絶滅危惧。
  11. ^ 千葉県の要保護生物(C)は、環境省の絶滅危惧II類相当。
  12. ^ 滋賀県の希少種は、環境省の準絶滅危惧相当。
  13. ^ 兵庫県のCランクは、環境省の準絶滅危惧相当。

出典

  1. ^ a b c IUCN Red List of Threatened Species. 2013.1 (Rana ornativentris)” (英語). IUCN. 2013年7月26日閲覧。
  2. ^ 山赤蛙”. コトバンク. 株式会社DIGITALIO. 2020年10月16日閲覧。
  3. ^ a b ヤマアカガエル 種の解説” (日本語). 福岡県レッドデータブック. 福岡県 (2014年8月). 2020年10月16日時点のオリジナルよりアーカイブ。2020年10月16日閲覧。
  4. ^ 海上の森の確認種リスト(両生類) 分類順” (日本語). 愛知県 公式ウェブサイト. 愛知県 (2020年3月). 2020年10月16日時点のオリジナルよりアーカイブ。2020年10月16日閲覧。
  5. ^ a b c d e f g h i j 河川・水辺の生物図鑑 両生類 ヤマアカガエル” (日本語). 筑後川河川事務所. 国土交通省 九州地方整備局. 2013年2月9日時点のオリジナルよりアーカイブ。2020年10月16日閲覧。
  6. ^ a b c d e f g h ヤマアカガエル” (日本語). 太田川河川事務所. 国土交通省 中国地方整備局. 2020年10月16日時点のオリジナルよりアーカイブ。2020年10月16日閲覧。
  7. ^ a b c d e 千葉県 2011, p. 143.
  8. ^ a b 千葉県 2011, p. 140.
  9. ^ a b カエルと淡水魚 (カエルのなかま) ヤマアカガエル” (日本語). 平塚市博物館 公式ウェブサイト. 平塚市博物館. 2020年10月16日時点のオリジナルよりアーカイブ。2020年10月16日閲覧。
  10. ^ a b ニホンアカガエル” (日本語). 太田川河川事務所. 国土交通省 中国地方整備局. 2020年10月16日時点のオリジナルよりアーカイブ。2020年10月16日閲覧。
  11. ^ 河川・水辺の生物図鑑 両生類 ニホンアカガエル” (日本語). 筑後川河川事務所. 国土交通省 九州地方整備局. 2013年2月9日時点のオリジナルよりアーカイブ。2020年10月16日閲覧。
  12. ^ 鹿児島の自然を記録する会編 『川の生きもの図鑑—鹿児島の水辺から』 南方新社、2002年6月30日、258頁。ISBN 9784931376694 
  13. ^ a b c d e f g h i j k 草野保(理学博士・理工学研究科生命科学専攻助教授) (2011年8月4日). “ヤマアカガエル (Rana ornativentris )” (日本語). 東京都立大学 ウェブサイト. 東京都立大学. 2020年10月17日時点のオリジナルよりアーカイブ。2020年10月17日閲覧。
  14. ^ a b c 両生類 ハビタットとその変化” (日本語). 福岡県レッドデータブック. 福岡県 (2014年8月). 2020年10月16日時点のオリジナルよりアーカイブ。2020年10月16日閲覧。
  15. ^ 西川潮、伊藤浩二『観察する目が変わる 水辺の生物学入門』ベレ出版、2016年8月4日、電子書籍。ISBN 978-4860644802
  16. ^ 月刊アクアライフ編 『水辺の生きもの 川と池—写真で見る飼い方ガイド』 エムピージェー マリン企画、2004年6月10日、87頁。ISBN 9784895125307 
  17. ^ 川上洋一『絶滅危惧の昆虫事典【新版】』東京堂出版、2010年7月15日、初版発行(初版印刷:2010年6月30日)、84-85頁。ISBN 978-4490107852
  18. ^ a b 猪田利夫(Toshio Inoda); 長谷川雅美(Masami Hasegawa, 東邦大学理学部生物学科教授); 上村慎治(Shinji Kamimura, 中央大学理工学部教授); 堀道雄(Michio Hori, 京都大学理学研究科名誉教授) (2009年9月). Dietary Program for Rearing the Larvae of a Diving Beetle, Dytiscus sharpi (Wehncke), in the Laboratory (Coleoptera: Dytiscidae) (英語). The Coleopterists Bulletin (ResearchGate) (63): 343, 347-348. doi:10.1649/1152.1. オリジナルの2020年2月1日時点におけるアーカイブ。. https://web.archive.org/web/20200203031042/https://www.researchgate.net/publication/232678564_Dietary_Program_for_Rearing_the_Larvae_of_a_Diving_Beetle_Dytiscus_sharpi_Wehncke_in_the_Laboratory_Coleoptera_Dytiscidae 2020年2月1日閲覧。. 
  19. ^ 日本のレッドデータ検索システム「ヤマアカガエル」”. (エンビジョン環境保全事務局). 2013年7月26日閲覧。 - 「都道府県指定状況を一覧表で表示」をクリックすると、出典元の各都道府県のレッドデータブックのカテゴリー名が一覧表示される。
  20. ^ 市原市自然環境マップ作成委員会(監修)『市原市自然環境マップ』財団法人千葉県環境財団(編著者)、市原市環境部環境管理課、2012年2月、初版第1刷、3頁。2020年10月16日閲覧。
  21. ^ 中村有、若林恭史、長谷川雅美「里山におけるニホンアカガエルとヤマアカガエル個体群の絶滅リスク評価」『日本生態学会大会講演要旨集 第51回日本生態学会大会 釧路大会』、日本生態学会、2004年7月30日、 doi:10.14848/esj.ESJ51.0.352.0
  22. ^ 佐賀県レッドリスト2003 (PDF)”. 佐賀県. pp. 44 (2003年4月). 2013年7月26日閲覧。
  23. ^ レッドデータブックながさき2001 (PDF)”. 長崎県. pp. 365 (2001年). 2013年7月26日閲覧。
  24. ^ 埼玉県レッドデータブック2011動物編 (PDF)”. 埼玉県. pp. 115 (2011年). 2013年7月26日閲覧。
  25. ^ 改訂・熊本県の保護上重要な野生動植物-レッドデータブックくまもと2009- (PDF)”. 熊本県. pp. 296 (2009年). 2013年7月26日閲覧。
  26. ^ レッドデータブックあいち2009 (PDF)”. 愛知県. pp. 199 (2009年). 2013年7月26日閲覧。
  27. ^ 京都府レッドデータブック・ヤマアカガエル”. 京都府 (2002年). 2012年11月15日閲覧。


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