幼虫の生息場所について
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2017/09/08 10:18 UTC 版)
「アカマダラハナムグリ」の記事における「幼虫の生息場所について」の解説
本種の幼虫は、古くから藁葺き屋根の屋根藁から発見され、このような場所や堆肥などで腐植を餌にするものとされてきた。これらは広く知られたハナムグリ類一般の食性とほぼ一致するものである。 ところが、本種の幼虫が、実は動物食を中心とする大型鳥類の巣で成長することが、近年になって知られることとなった。そもそも鳥の巣に生息する昆虫については、欧米では20世紀中頃より研究が進んでいたが、日本ではごく限定的な研究しか行われてこず、21世紀に入ってようやく継続的な調査が行われるようになった。本種がそんな中、鳥の巣に生活する種であると判明したのは、最初はオオタカやハチクマなどの猛禽類の巣で発見されてからであった。 2012の時点で、本種が宿主とすることが分かっている鳥類は、以下の通り。 ウ科:カワウ コウノトリ科:コウノトリ ミサゴ科:ミサゴ タカ科:ハチクマ・オオタカ・アカハラダカ・サシバ・クマタカ・ノスリ?(未確定) 他に永幡他(2013)はハシボソガラスの巣から発見した幼虫の死体などが本種であろうと推定している。 例えば那須他(2012)の調査したコウノトリの巣の例では、以下のような状態であった。該当のコウノトリの巣は電柱に作られたもので大きさは最大直径で約180cm、厚さ45cm、中央の巣の中心部は直径110cm。外側の部分は枝が交互に組まれたもので隙間が多く、中心部分は草や土や腐植からなる堆積物があり、その厚みは20cmにも達した。この堆積物は容量で68l、重さは5.6kgであった。この中から発見されたアカマダラハナムグリ、及びそれと推定されたものは成虫3、成虫の入っていたもの、空のものを合わせて土繭が286など合計291個体(相当)に達した。他にコガネムシ類ではシラホシハナムグリとコカブトムシが少数含まれていた。特に土繭は巣底の部分と巣材の枝の隙間の多いところで発見され、枝に付着した形、あるいは複数の繭が互いに接着した形が多かったという。これは鳥の巣という構造の中で繭が脱落しないための適応である可能性が示唆されている。
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