幼虫の食性
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/05/02 03:53 UTC 版)
幼虫は主に昆虫類を捕食して成長する。飼育下ではバッタ・コオロギなどの昆虫類を与えないと羽化率(成虫まで育つ割合)が低下することが知られているほか、多摩動物公園昆虫園(東京都日野市)ではゲンゴロウの成虫・幼虫ともに養殖したコオロギを与えて飼育することで好結果を得た実績がある。 1齢幼虫 - 主にミジンコ・アカムシ(ユスリカの幼虫)・ボウフラ・イトトンボ類のヤゴなどを食べる。 2齢幼虫・3齢幼虫 - ホウネンエビ・小魚(ドジョウ・メダカ・キンギョなど)・オタマジャクシ(カエル類の幼生)および小さなカエル・水生昆虫類(ヤゴなど)・水面に落ちた昆虫類を食べる。 大庭伸也が島根県内の水田地帯で野生のゲンゴロウ幼虫の食性を調査したところ、1齢・2齢幼虫は主に昆虫類(ヤゴ・マツモムシなど)を食べ、3齢幼虫に入ると昆虫類に加えてオタマジャクシ・メダカ・ドジョウなど脊椎動物を捕食することが判明した。また大庭が飼育条件下でトノサマガエルのオタマジャクシとヤゴを同数ずつ与えて実験したところ、1・2齢ではヤゴのみを捕食し、3齢幼虫になってからオタマジャクシも捕食するようになったほか「ゲンゴロウ・クロゲンゴロウの幼虫はヤゴのみを与えて育てても成長可能であるが、オタマジャクシのみでは幼虫期間が長期化し生存率も低下する」という結果が出た。以上の点から大庭 (2011) は「ゲンゴロウ・クロゲンゴロウの生息地保全には豊富な水生昆虫が存在する水田を維持・管理する必要がある」と結論付けている。 なおオタマジャクシは生物濃縮により農薬が蓄積されている場合があり、市川 (2018) は「無農薬で稲を栽培している水田以外で採集したオタマジャクシをタガメに与えると死亡する可能性がある」と指摘しているほか、関山恵太は「成虫・幼虫を問わず水田脇などで採集された小魚・オタマジャクシなどには残留農薬が含まれており与えると死亡する危険性がある。観賞魚店で販売されているメダカなども魚病薬などゲンゴロウに有害な薬剤が残留している恐れがあるため、数日間は(別容器で)ストックして体内の残留薬剤を排出させてから使用したほうがいい」と指摘している。またイモリ・サンショウウオなど有尾類の両生類は幼虫にとって有毒である場合がある。
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